列車ダイヤについて -- 4-5 ダイヤグラムはなぜ直線なの?
2016年10月1日
ダイヤグラムはなぜ直線なの?
東京~新横浜付近の東海道新幹線のダイヤグラムを表示します。
横軸は時間、縦軸は距離ですから、東京~品川間はゆっくり走っており、品川~新横浜間は少し速くなり、
新横浜~小田原間はさらに速くなることがわかります。
実際に電車に乗っていると、駅を出発して、徐々に加速して行きます。そのうちに速く走るようになり、
また駅が近づくとだんだん減速してゆきます。
この様子を厳密に正確に描くと、駅を出てしばらくはダイヤグラムの傾きがゆるく、
速度が速くなるにつれて傾きがきつくなり、また減速して傾きがゆるくなって駅に到着するのではないでしょうか?
しかし、ダイヤグラムは駅と駅の間は直線で結びます。それはなぜか考えてみようというのが今回のテーマです。
東京~新横浜付近の東海道新幹線のダイヤグラムです
同じ区間を、TrainLogで記録した、列車の速度と加速度のグラフで表示します。
TrainLogで記録した、速度と加速度です
青色のグラフで2番目の山が、品川~新横浜間です。
実際に電車に乗っている時の感覚に近く、品川を出てしだいに速度が上がってゆき、7ー8分たったあたりに、
(鶴見川橋梁のあたり、まもなく新横浜というアナウンスが流れている頃です。)200km/hを越えて
品川~新横浜間での最高速度になり、そのあと新横浜に停まるために減速します。
同じ区間を運転曲線で表示します。
TrainLogで記録した、運転曲線です
同じく、速度の変化がわかりますが、速度と加速度のグラフと比べると、加速・減速が急激なような印象を受けます。
実際の速度・加速度は同じです。グラフの横軸が速度と加速度のグラフでは時間なのに対し、
運転曲線では、距離なので、そのような印象になります。
運転曲線は、運転の際どの地点をいくらの速度で走るかをみるためのグラフなのでこのように描かれます。
なお、ピンク色の線は、横軸は同じく距離で、縦軸は前の駅をでてからの時間です。
それでは、横軸を時間にとって、縦軸を距離にとって描くとどのようになるでしょうか。
(品川~新横浜間のみ表示しています。)
実際の時間と距離で描いたダイヤグラム
ダイヤグラムを、実際の時間と距離で描いてみると、運転曲線のピンク色の線を90度回転させた
かたちになります。
電車の走行の様子を厳密に正確に描くと、このようになると思いますが、一般に
ダイヤグラムでは駅と駅の間は直線で結びます。
本当の理由は知りませんが、直線で結ぶほうが見やすいからではないかと思います。
しかし、厳密に正確に描いたダイヤグラムも意外と直線に近いという印象も得られます。
駅を出発してすぐの箇所と、駅に到着する直前の部分を除けば、ほぼ直線になっています。
駅と駅の間を直線で結んでも、そんなに実際の列車の位置とかけはなれるわけではありません。
以前は、停車駅・通過駅とも、駅で主に列車の時刻を管理していました。
駅と駅の間の区間で、時刻と距離を正確に管理するという概念はそれほど厳密ではなかったように思います。
現在も採時は駅でおこないます。たとえば、「三島13分45秒、13分46秒、1秒延通」
というように停まる駅も通過する駅も運転中は常に確認しています。
そして現在は、駅と駅の間でも、列車が現在走っている位置は正確に把握されています。
東海道新幹線では、カーブで車体傾斜するために、東京駅を起点として何メートルの位置を走っているかを
正確に測定しています。さらに、4-4で紹介したCBTC(Communications-Based Train Control)といわれる、
無線を使った列車制御システムが導入されると、すべての列車の現在位置が総合指令所で把握できるようになります。
そうすると、駅と駅の間でも、あるべき列車の位置と現在の実際の列車の位置を常に監視して遅延を最小にするように
制御するようになるかもしれません。
現在でも、列車の遅延状況を可視化するクロマティックダイヤ図(Chromatic Diagram)が東京メトロや小田急線の
一部の区間で使用されていますが、もっと広範囲に一般的に、当日の運行計画のダイヤ(実施ダイヤ)と、
実際の運行状況(実行ダイヤ)をリアルタイムで比較し、差異を最小にする運行管理形態になるかもしれません。
そうなると、駅と駅の間は直線で結ぶダイヤグラムとともに、実際の時刻と距離に基づいて曲線で表示する
ダイヤグラムも併用されるかもしれません。
ビッグデーターという言葉が話題になります。駅と駅の間の、列車が現在走っている位置は正確に記録はしていなかった
時代から、現在では正確に記録するようになり、さらに進んで総合指令所でリアルタイムに把握できるようになると、
しだいに扱う情報量が増えてゆきます。現在、列車がどの位の混雑度かということを、空気バネの圧力で測定し、
ブレーキ力を調整するために利用していますが、今後この情報も総合指令所や駅で利用できるようになるでしょう。
ビッグデーターの時代では、データーを正確に収集することも大切ですが、大量のデーターを分かりやすく表示することも
あわせて大切です。場合によっては、駅と駅の間は直線で結んだほうが役立つというように、場合場合に応じて、
分かりやすい、誤解を生まない表示方法を選択することが必要です。
最後に、現在駅の案内では、次の電車は**行きで、停車駅は##、##というように表示されます。
案外ダイヤグラムで示すと、どの電車がどの電車に接続するかというような関係がわかりやすく表示されるかもしれません。
大型の表示装置が広まってきているので、現時点で関連する列車にしぼって分かりやすい表示にすると、案外文字より、ダイヤグラムのほうが
分かりやすいかもしれません。
駅で時刻表をもらえますかといって、いきなりダイヤグラムを渡されてもほとんどの人はびっくりすると思いますが、
携帯のアプリで興味がある人が使うということなら、
現在いる駅からこれから利用としている方面の列車に絞って、列車ダイヤと混雑度を表示し、実施ダイヤと実行ダイヤを濃淡分けで表示するなど
工夫をこらせば、ダイヤグラムが鉄道関係者だけでなく一般の人にも使われるようになるかもしれません。