列車ダイヤについて -- 4-10 TrainLogアプリの測定値をもっと正確にする!?
2018年7月10日
TrainLogアプリの測定値をもっと正確にする!?
TrainLog(速度・加速度の測定と記録ソフト)というアプリを、リリースしています。
現在の最新バージョンは、ver.3.0です。
このコラムでは、TrainLogアプリの測定値をもっと正確にできないかということについて述べます。
現在、アプリには含まれませんが、
あくまで将来にむけての可能性のひとつとしてのものです。
gpsSpeed がGPSで測定可能な場合は基本的には、速度はGPSで測定したものをそのまま使っています。
動き出した直後とか、トンネルを抜けた直後など、実際の速度より著しく低い速度を表示することがあるので、
一時的にはアプリで修正している部分があります。
GPSが使えない、トンネルの中などでは、加速度センサーで測定した加速度を積分して、速度を測定しています。
この場合、勾配があることが測定精度を下げる原因になります。
携帯端末を傾けた時と、水平を保ったまま、ある方向へ移動しはじめた時とで、加速度センサーの値は同じです。
携帯端末には、ジャイロセンサーがついているので、傾けた(回転した)ことは検知できるのですが、
ジャイロセンサーはドリフトが大きすぎて、ゲームアプリを使っている時のように、大きく傾けた場合は、有効に
検知できるのですが、鉄道の傾き(勾配)は例えば 35‰勾配(鉄道ではかなりきつい勾配で、御茶ノ水から秋葉原にむかう箇所の
勾配位です)でも、一般的な言い方では、2度位ですから、ジャイロセンサーの誤差のほうが大きくて、加速度センサーのみで
測定したほうが妥当な値が得られます。
それでも、35‰勾配というと、1.23km/h/secの加速度に相当しますから、無視するわけにもいきません。
そこで、TrainLogアプリの測定値をもっと正確にする方法として、ふたつ考えてみます。
1. 携帯端末を水平に保つ
そば屋の出前機のように、物を水平に保つ装置に携帯端末を載せます。
2. 路線の勾配の状況を調べて、加速度センサーの値を修正する
鉄道は、毎回まったく同じ場所を走るので、何回か測定して、携帯端末の気圧センサーなどを使って
高度の変化を記録すると、およその勾配がわかります。このデーターをつかって、加速度センサーの値を修正します。
出前機は持っていないので、このコラムでは、2. について述べます。
もちろんこれら以外にも、いろいろな可能性はあると思います。
例えば上下方向の加速度の周波数を測れば、もっと直接的に速度を測ることができそうだと思われるかもしれません。
しかし、台車に直接加速度計を取り付ければ車輪車軸の回転数や、モーターの回転数に直接比例する周波数が測定できるかもしれませんが、
通常の座席に座った状態で、テーブルの上などに携帯端末を置いた状態では、速度による、上下方向の加速度の周波数の変化は
ほとんどありませんでした。
また、3次元レーダーとか他の自動運転に使うようなセンサーを使えば、直接的に正確に速度を測ることが出来るかもしれません。
しかし、TrainLogアプリは携帯端末で、それなりに速度・加速度を測る目的で作っていますので、
ここでは、測定値をもっと正確にする可能性のひとつとして、上記の2. について述べます。
京成押上線は、京成高砂・青砥と押上の駅を結んでおり、押上の駅からは、都営地下鉄浅草線に繫がっています。
青砥から押上に向かう電車は、荒川の鉄橋を渡った後、八広の駅は高架になっています。そして、2000年頃〜2015年頃
にかけて連続高架工事がおこなわれ、現在は上下線とも高架になり、次の京成曳舟駅の駅も高架です。
京成曳舟駅の駅を出てからも高架で進み、東武鉄道亀江戸線の上を越したあたりから、下り坂になり、
地上に降りてきます。さらに下って地下のトンネルに入り、押上の駅は地下です。
この付近を走る電車の速度と加速度を示します。
京成押上線を押上に向かう電車の速度・加速度を、表示します
最初に停まる(速度がゼロになる)のが、京成曳舟駅の駅です。
京成曳舟駅の駅を出発します。青色の線が速度で、ピンク色の線が、GPSで測定した速度です。
駅を出発した直後は、加速度センサーで速度を測っており、少しするとGPSで測定した速度も立ち上がり、両者はほぼ同じになります。
その後は、GPSで測定した速度を速度としており、ピンク色の線が、水平になってゼロになるところでトンネルに入っています。
2番目の、速度と加速度の間にあるグラフは、気圧センサーで測定した、高度のグラフで、トンネルにはいる前の区間で、
500m位走行する間に、およそ15m位高度が下がっていることがわかります。完全に地下になった後、押上の駅まではほぼ平です。
500m位走行する間に、およそ15m位高度が下がっているというのは、あくまで測定値に基づいての話です。
工事の図面など、正確な勾配がわかる情報がないか探してみたのですが、みつかりませんでした。
500m位走行する間に、およそ15m位高度が下がっているというのは、30‰勾配の下り坂ということになります。
グラフでは、京成曳舟駅の駅を出発した後、60km/h位まで加速し、その後減速して、トンネルにはいるあたりで、35km/h位になります。
本当は、そのままの速度でしばらく走って、押上の駅の手前で減速して停まるのですが、
グラフではほとんど減速していません。そして、押上の駅に停まったところで、アプリが電車が停車中と判断して、突然速度がゼロになっています。
なぜこのようになるかというと、下り坂で加速度センサーをキャリブレーションするので、平になったところでは、
速度が正しい値より高くなるからです。
加速度のグラフでは、ピンク色の線が携帯端末で測定した加速度です。青色の線が、キャリブレーションに使う加速度の値です。
GPSで測定した速度が得られる区間では、加速度の表示を正しくするため、加速度センサーで得られる速度を、なるべくGPSで測定した速度に
近づけるように、加速度の値をキャリブレーションしています。
下り坂でキャリブレーションすると、加速度センサーで得られる速度が低くなるので、キャリブレーションに使う加速度の値を低くして、
加速度センサーで得られる速度をGPSで測定した速度に近づけようとします。
トンネルに入って平坦になったところで再度キャリブレーションすると、キャリブレーションに使う加速度の値も元に戻るはずですが、
トンネルに入ると、GPSで測定した速度が得られなくなるので、キャリブレーションできなくなります。
押上の駅に停まったところで、アプリが電車が停車中と判断すると、今度は、加速度がゼロと判断して、加速度センサーをキャリブレーション
します。
青色のグラフの値が元に戻っているのがわかります。
ここで、キャリブレーションに使う加速度の値を、上のグラフで下がっている部分を、
0.25m/sec/sec 上げてみます。
0.25m/sec/sec というと、 0.9km/h/sec です。30‰勾配というと、1.058km/h/sec ですから、ほぼ近い値です。
京成押上線を押上に向かう電車の修正した速度・加速度を、表示します
正確な、速度・加速度がわからないので、断定できませんが、
修正したグラフのほうが、自然なように思います。
時期は未定ですが、将来のバージョンでは、東海道・山陽新幹線に限って、勾配のデーターに基づいて、
加速度を修正するようにする予定です。