列車ダイヤについて -- 3ー94 コロナから何を学ぶ??
2022年11月10日
3ー94 コロナから何を学ぶ??
コロナ感染症はまだ収束していませんが、3年間近く、いろいろな問題が発生した経験から
何かを学んで、将来に活かさなければなりません。
実験のために、感染症を起こしてデーターをとることはできないので、3年間近い経験を活かすことは重要です。
戦争や自然災害の経験についても、同じことが言えます。
日本で第二次世界大戦を経験した人は現在では少なくなりましたが、以前に聞いた
戦後の復興の話は貴重で説得力がありました。そのなかの多くの人が、何か新しい技術などをとりいれた時、
先輩はやった経験がなくて、しかも明日までに何とかしろといわれたら、とりかかるしかない。
やってみれば意外と出来ることもある。自分がすごかったわけではないと言われました。
何とかしろといわれても、どうにもならなかった人も多いでしょうから、実際はやはりすごい事だと思います。
一方、戦争の時の話はあまり聞きませんでした。話す人も少なかったのですが、
たまに話す人は、戦争を経験したら、地震も津波も怖くなくなるというような話で、私はあまり
聞きたいと思いませんでした。しかし、そのなかで貴重だと思った話があります。
その人は中島飛行機でエンジンの設計をしていた人で、戦時中は陸軍で働いていました。
終戦を迎えた時の最後の命令が、「資料をすべて焼き捨てろ、燃やせないものは地面を掘ってうめて、
明朝までにここが飛行場だったとわからないようにせよ」だったそうです。
滑走路があるので、誰が見ても飛行場だとわかるのでばかげた命令だと思ったけれど、
言われた通りにして解散命令が出たとたんに逃げたそうです。
それから80年近くたって、国会の議論を聞いているといまだに資料を廃棄したり、記憶がなくなったり
する人が多くいてあまり変わっていないようです。
関西地区の人で、阪神・淡路大震災とその後の復興を経験した人はすごい人が多いという人がいます。
それから30年近く経ってデジタル化が進んでいるので、今回のコロナ感染症に関連してデジタル化した記録
を保存して将来容易に分析できる形で保存する国と、責任追及をおそれて紙の資料を廃棄する国とでは
発展の度合いが大きくかわると思います。
コロナ感染者の全数把握をやめることが決まった時、HER−SYSへの入力もやめて、
紙の届け出書をFAXで送るほうが良いと言った人もいました。
これでは、将来データーを使った分析を行うことができません。紙の資料でオペレーションをおこない、
後で保存のためにシステムに入力するという考え方では、入力の時間が加わるだけで、
業務の効率があがらず、データーを有効に使うこともできません。
保健所の積極的疫学調査は人手がかかって大変だったけれど、感染症の拡大防止に有効だったと言われてきましたが、
データーを分析してエビデンスを示す必要があります。
COCOAのアプリは、使用は中止するが、有効性の検証のためにアンインストールせずにおいてほしい
という発表がありました。実際に検証しなければなりません。アップデート後にバグが長期間放置されたのは、
開発・検証体制に問題があったと思いますが、本質的にCOCOAのアプリが有効だったのかについて検証してもらいたいと思います。
BLEのAPIについてはAppleとGoogleが作ったものをそのまま使うという前提でアプリを作成したので、
開発体制に問題があったわけではありません。しかし感染症の濃厚接触者の検出について効果的だったのかどうかは、
濃厚接触者の追跡自体が感染症の拡大防止に有効だったのかどうかとあわせて検証する必要があります。
もし、携帯端末のBLEを使うアプローチ自体が失敗だったのなら、失敗だったという検証結果を発表しなければなりません。
これについては誰の責任でもないと思います。検証してみたら有効だったということになったら、インフルエンザの
拡大防止にも使うことを考慮すべきです。個人情報の保護の仕組みも利用者の考え方を聞いて変更する必要があります。
コロナ感染症に対する考え方も2年前とは変わっています。どこで感染したか誰から感染したかがもっと
具体的にわかってもかまわないという考え方の人もいると思います。
プログラムは利用者の要請にあわせて変更しながら継続的に使用することで、大きな効果が得られます。
有効性の検証の結果、新たな活用方法が見つかったら積極的に活用すべきです。
医療分野でのデジタル技術の活用はあまりズムーズに進んでいない印象があります。
最近ランサムウェアによるサイバー攻撃で病院の業務が止まるという問題がありました。
とりあえずの対策として、以前の紙のカルテでオペレーションを継続しているそうです。
20年位前、サイバー攻撃への対処法という議論をしているとたいてい、紙にまとめたり
ホワイトボードをつかってアナログで業務を継続するという話になっていました。
同じ頃アメリカでは、9.11テロの後、新しく調達したPCを、データーをバックアップしていたクラウド
に接続して業務を継続したことが話題になりました。それを見てアメリカでは業務のデジタル化が進むだろうと
思いました。最近の日本の病院のサイバーテロのニュースを見ていると20年前と変わっていない
印象です。完全復旧までに3ヶ月位かかるという話を聞くと、そもそも病院にとってデジタル技術の
必要性が低いという印象です。仮に金融機関であれば、ネットの復旧に3ヶ月かかるから
それまでは来店してもらうことで業務を継続しますと言っても、利用者が納得しません。
また役所の職員の人が、住民基本台帳ネットワークにアクセスして得た20人近い人の住所などを
不法に外部に漏洩するという問題がありました。それが1年近く続いたということが大きな問題です。
いかに技術的に完全なセキュリティーを導入しても、合法的にシステムにアクセスできる人が
不正を働くと情報の漏洩を防ぐことができません。
職務分掌や、システムや情報へのアクセスログの監視で、個人情報の漏洩を防ぐ体制を確立する必要があります。
20年位前には、システムだけ導入して、それに応じた業務手順書の改定などを適切に行うことを
考慮しないために、多くの問題が発生していました。
同じ頃たとえば、アメリカ軍の座間基地にあった、コンピューターのネットワークへの不正アクセスを監視する部隊は
24時間アクセスログを監視していました。当時はAIなどの技術がなかったので、
大量の警告が出ます。それらを全部リアルタイムで当事者に確認して本当の問題ではないことを確認するのが
監視部隊の仕事です。それだけの人手をかけてでも業務をデジタル化することの有効性を理解していました。
それから20年位経って住民基本台帳ネットワークのデーター漏洩の問題のニュースをみると、
行政のデジタル化に対応する業務手順書の改定などが追いついていないのだろうと思います。
健康保険証を原則廃止してマイナンバーカードを健康保険証として使うことが話題になっています。
それにあわせて病院の診察券が廃止されるかどうかが、日本で業務のデジタル化が進むかどうかの
指標になるような気がします。
コロナ感染症が問題になって以来、いろいろな場所の受付などで非接触のシステムが導入されました。
病院こそ一番に非接触システムを導入するべきではないかと思いましたが、現実にはほとんど導入されていません。
受付の人はひとり受け付ける毎に消毒しているのかどうか知りませんが、診察券を受け取って
順番にカードホールダーに入れておき、順番がくると紙のカルテと一緒に診察室に持っていくという
従来のオペレーションが続いている病院が多くあります。
マイナンバーカード健康保険証の導入にともなって病院の診察券を廃止するかどうかは、
非接触での受付ということの他に、病院の経営姿勢やデジタル化への取り組みなど
各種の病院の考え方があらわれてくる事のように思います。
マイナンバーカード健康保険証は読み取り機にかざすだけなので、診察券を受け取って
順番にカードホールダーに入れておくという現在の方法は使えません。カルテと一緒に診察室に持っていき、
その後会計にまわすという業務の流れをすべてデジタル化する必要があります。
マイナンバーカード健康保険証は厚生労働省の命令なので従うが、業務手順は変更したくないということになるか、
業務手順を見直し、経費の削減と利便性の向上を達成するかが、病院の診察券を廃止するかどうかに
象徴的に現れるような気がします。一時話題になったように、マイナンバーカード健康保険証の読み取り機の
設置にお金がかかるから初診料を高くするという考え方では、利用者にメリットがありません。
業務をデジタル化することのメリットは実感していないけど、中央省庁の命令に従って一部の手順をデジタル化
するというのは、20年前にe−Japan戦略が失敗した時にも見られた光景です。
コロナ感染症では入院病床が有効に利用されないことも問題になりました。
地域の病院全体の入院病床をデジタルで管理し有効に使用するシステムを開発する必要があります。
患者が入院したら、回復するまで治療する必要があります。次の患者が来たから追い出すわけにはいかないので、
まずこの3年間どうなっていたのかをデーターをもとに分析し、どのようにするかを考えないと
批判だけでは将来も問題は解決しません。国民皆保険はすばらしい制度ですが、
保険診療点数が決まった事以外のサービスを行っても収益につながらないのは、
新しい取り組みを阻害するという弊害を生むリスクがあります。誰でも均質な医療を受けられるという
メリットを継続しつつ、新しいサービスも開始できるような仕組みを考える必要があります。
コロナ感染症の波が来ると、2−3ヶ月先の感染者数の予測が発表されます。研究のために発表するのは良い
ことですが、行政の観点でみると、何のために発表しているのか不明です。
個人で感染しないように注意するのはすでに行っています。これ以上何も変えることはありません。
医療機関では何かの指標として準備をするのかもしれませんが、流行の波が来るたびに病床の不足が
問題になります。これでは、感染者数の予測を発表する意味がありません。
そしてコロナから学ぶのは、医療関係にとどまりません。
公共交通機関も利用者が激減して多くの会社が赤字になりました。しかしこれからは利用者が減ったことを
有効に利用する段階にはいります。着席サービスを開始する会社もあるし、
東京の近郊に限れば、以前は多くの列車を運転していてとても乗り入れる余裕がなかったような区間でも、
直通電車が乗り入れる余裕が出来る場合があります。山形新幹線に見られるように東京駅に直通するようになると
利用者が増えます。相鉄と東急のように新しい路線が開通して相互乗り入れが始まるケースもありますが、
スポーツのイベントがある日だけ直通列車を運転すると交通渋滞が解消する可能性のある区間もあります。
このような場合に定期列車に影響を与えずに臨時列車を走らせるダイヤの組み方など、
新しい業務のやり方に積極的に取り組んだ企業がこれから発展すると思います。
20世紀には、日本は工場の品質管理で大成功し、世界の注目をあびました。
アメリカでは”Japan as No.1:Lessons for America”という本が出版される
など、いかに強いアメリカを取り戻すかが話題になりました。しかし日本がやっていたことを、そのまままねることは
ありませんでした。MPUのデザインやクラウドサービスの開始など、ファブレスで研究・開発に集中しました。
MPU(CPU)も設計までで、製造は台湾などに外注しました。
日本も海外進出しましたが、円高で安い労働力が得られる開発途上国での生産に切り替えるというもので、
技術の流失もあり、競争力を失いました。
最近アメリカで、電気自動車の会社がSNSの会社を買収したことが話題になっています。
買収した側のCEOの人は「鳥が自由になった」と言っていますが、これからどうなるか注目です。
単なるお金もうけだけではなく、クルマとITの技術の統合がより重要になるという面があると思います。
日本でも、ソニーとホンダが合弁会社を設立しました。
日本は現場力が強かったから、また国内の工場を復活しようという動きがありますが、単に20世紀の
やり方に戻すという考え方ではなく、これから何が必要になるかという視点で新しいやり方を考察する必要があります。
アメリカのGAFAの企業の時価総額が話題になりますが、広告収入に頼るビジネス・モデルは
転換期を迎えているような気がします。20年位前には、検索内容などから、利用者が関心をもっている
エリアに特化した広告を掲載するというアイディアも技術も新鮮だったのですが、
現在は相当普遍化した技術で、変化が必要な時期にきている印象です。
それをどのような時に感じるかと言うと、ブラウザーで記事を読んでいる時、ページの切り替えの時に
頻繁に広告が入ったり、記事を読みづらいと感じる位置に動画広告が入っていたりするからです。
さらに記事が表示された後、ページの先頭に広告が表示され記事のメニューバーをクリックしようとする時、
間違えてクリックすることがあるのも迷惑です。このページの先頭に広告を表示する仕様は、
最近、「えきねっと」のフィッシングサイトを検索のトップに表示する詐欺にも悪用されました。
このように利用者が、何かおかしい、あまり魅力を感じないというような仕様は、
技術がマンネリ化して転換期を迎えている兆候のことがあります。
このような視点で、マイナポータルなどの行政のデジタル化をみてみると、
e−Japan戦略と同じような企画だったり、20年前位にアメリカでGAFAの企業が新しく考えだした
アイディアやシステムをそのまま導入しようとしている印象を感じることがあります。
利用者の利便性の向上を中心に、現在の技術の動向とこれから何が必要になるかを考え、
アメリカのシステムをそのまま取り入れるのではなく、何が日本の強みかを検討して
新しい行政サービスを創造する必要があります。