列車ダイヤについて -- 3ー93 5万円給付はマイナポータルで?!
2022年11月1日
3ー93 5万円給付はマイナポータルで?!
電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金が、住民税非課税世帯等に対し、1世帯あたり5万円
給付されることになりました。
対象となる世帯には、市区町村から、給付内容や確認事項が書かれた確認書等が届き、
中身を確認して、市区町村に返送することで、給付されます。対象となる世帯に、確認書等が届くことで、
プッシュ型給付と呼ばれるそうです。
コロナ感染症が広まったことで、特別定額給付金10万円が給付された時、事務手続きに手間取ったことで、
マイナンバーカードの保有率を高め、行政をデジタル化する必要があるといわれました。
また、マイナンバーカードを使ったマイナポータルでの申請も混乱しました。
その後の、生活支援のための給付金の支給にはマイナンバーカードは使われていません。
昨年の住民税非課税世帯等に対する、1世帯あたり10万円の支給世帯の多くが今回の5万円支給の対象と
なるので、確認書を郵送するほうが確実で、地方自治体の業務もスムーズに進むのなら、
今回郵送方式を使うことに問題はありませんが、
なぜマイナンバーカードの保有率を高める必要があるのか、なぜマイナポータルに公金受取口座を登録する
必要があるのかについては、大きな疑問が残ります。
マイナンバーカードを使うアプリで、コロナワクチン接種証明書アプリは比較的評判が良いアプリです。
一度接種証明書をダウンロードしたら、3回目4回目の接種を受けた時、再度ダウンロードするのではなく、
プッシュ型で証明書の内容をアップデートして欲しいと思いますが、全体的にはスムーズに動く
評判の良いアプリです。なぜスムーズに動くかについて、次のふたつの理由があると思います。
ワクチンの接種記録は、個人毎に作られるもので、給付金のように世帯毎に支給するものでないので、
一人に一枚発行されるマイナンバーカードと相性が良かった。
マイナンバーカードを持っていない人は紙の証明書を使うということで、マイナンバーカードを
持っている人だけに対象を絞った。そして、マイナンバーカードを持っている人が、
接種証明書アプリと紙の証明書を併用しても問題が起きない。
これらのふたつの観点で、今回の緊急支援給付金の給付を考えてみると、世帯あたり5万円給付するためには、
世帯全員の所得を把握する必要があり、さらにだれが世帯主で、その人の振込口座の情報が必要です。
マイナンバーカードを持っているいないにかかわらず対象世帯に給付する必要があるので、
アナログの手続きも必要ですが、2重に給付しないようにするなどの確認が必要です。
鉄道の乗車券も、紙の乗車券とIC乗車券がありますが、両方買う人は基本的にいません。
間違えて買った人の払い戻しを考慮する程度でかまいません。一方で、給付金の支給は、2重に支給
するわけにいきません。特別定額給付金の際のように、オンライン申請した申請書をすべてプリントアウトして
目視で重複がないことを確認するのなら、デジタル化しないほうが良いということになります。
世帯全員の所得を把握するのは、大変です。DV被害者などで、本来なら別世帯として登録しているはずの
人は、給付対象に含める必要があるし、住民税が課税されている人の扶養親族等のみを別世帯としても、
給付対象にはなりません。
世帯に給付するという考え方を維持する限り、所得税法の納税者と生計を一にするという規定と、
住民基本台帳法上の、「世帯」の規定を整理して考える必要があります。
さらに、所得を世帯単位で把握するのか個人単位で把握するのかという問題も
かかわってくる可能性があります。
一方で、特別定額給付金のようにすべての人に支給する場合、世帯主が1枚書類を記入するのと、
子供の分も含めて何度もマイナポータルで手続きするのとどちらが利用者にとって便利か
考える必要があります。マイナンバーカードによる委任状により他人がおこなう手続きについて、
利便性とセキュリティーが両立するよう慎重に手続きを規定する必要があります。
アナログ的な方法で、行政事務をおこなっている場合臨機応変に対応することができますが、
ITシステムは、臨機応変には対応できません。
給付金の支給をスムーズにするために、マイナンバーカードの保有率を高め、行政をデジタル化する必要があると
いわれていたけれど、実際は給付金の支給には使用していません。そして今度は2年後に、健康保険証の発行を停止し、
マイナンバーカード健康保険証に切り替え、マイナンバーカードの保有を事実上強制するという考え方も、良くありません。
マイナンバーカードの保有率を高めるのは、行政のデジタル化のためのひとつの手段であって、
目的にすべきではありません。
マイナンバーカード健康保険証で、マイナンバーカードの保有を事実上強制する前に、マイナンバーカード
を使った給付金の支給がなぜ上手くいかなかったのかを検証する必要があります。
給付金の支給が上手くいかなかったから、公金受取口座をマイナポータルに登録しようというのは解決になっていません。
特別定額給付金の支給に際し、同じ人が複数回マイナポータルで申請したもの、紙の申請書と
マイナポータル経由の申請が重複して行われたもの、受取口座の情報が間違えていたものの件数をだして、
給付金の支給が上手くいかなかった原因を明らかにして、同じ問題の発生を防ぐ対策をたてなければなりません。
ITシステムは再現性が高いので、給付金の支給にしても、COCOAにしても、
まず問題の原因分析が先です。COCOAは仕方がないとしても、特別定額給付金の支給にマイナポータル
を使えば、問題が発生することはITの専門家なら事前に予測できたはずです。
なぜ突然マイナポータルを使うことを決めたのかを検証して公開しなければなりません。
目先を変えて、マイナンバーカード健康保険証で、マイナンバーカードの保有率を
高めようとしても、新たな問題の発生を招くだけです。
10年位前、システム・インテグレーションなどの複数年にわたるプロジェクトの収益認識に
「工事進行基準」という考え方が導入されました。(現在は、IFRS15号をとりいれた収益認識基準が、
使われています。)「工事進行基準」には、実際の進行によるものと、原価比例法によるものがありました。
建築工事では、実際の進行が比較的容易にわかりますが、ソフトウェアの開発では、
なかなか明らかにならないので、原価比例法によることが多くありました。
人件費の測定は、給与等の支払い伝票によらなければなりません。
実際に開発者がどのようなことに時間を使っているか測定したいと考えるプロジェクトマネージャーが
増えました。各開発者が実際どのような作業に時間を使ったかを入力するシステムを開発した
プロジェクトもありました。いろいろな理由でほとんど入力されないシステムもありました。
もともと社内で使うシステムなので、いいかげんなシステムもありましたが、
「とりあえず入力率の向上をめざす」と言ったシステムはほとんど失敗しました。
プロジェクトマネージャー本人は入力してなく、秘書に入力を依頼していたシステムもほとんど失敗しました。
組み立て工場で、作業時間をストップウォッチで測定するのも、最初は反対が強かったのですが、
標準原価計算の仕組みを説明し、次工程が要求する以上の仕掛品の在庫を作るなとか、
作業が終了した時点で、原価を集計しなくても標準原価で仕訳を切るといかに事務作業の効率が上がるか
を関係者すべてが理解した工場では、作業時間の管理が定着しました。
「マイナンバーカードの保有率を高める」ことを目的にするのは、「とりあえず入力率の向上をめざす」と同じで
失敗するシステムの兆候のように思えます。大臣や政務官の人に、最近どのようなことにマイナンバーカード
を使いましたかと質問してみて、「自分でマイナポイントの申請をするのに使った」なら、
マイナンバーカードは広まるかもしれません。「使っていない」とか「秘書に申請を頼んだ」という返事なら、
広まらないかもしれません。利用者がマイナンバーカードを利用することの利便性を
見出すことができれば、自然とマイナンバーカードの保有率が上がり、プロジェクトは成功すると思います。
行政のデジタル化を進めるためには、部分的にデジタル化して現場で進めていくのではなく、
まず、デジタル化の目的、法律との適合性、手続きの正当性を文書にまとめて、
誰が聞いても納得できるように説明する必要があります。
アジャイル開発で現場でデジタル化を進めているという人も居るでしょうが、そのような場合、
多くはすでにITシステムが使われていて、関係者の間で、漠然とであってもデジタル化の目的が共有されている
ことがほとんどです。行政でもノーコードやローコードで業務効率を改善している例が多くあり、すばらしいことです。
それらは、当事者間では業務手順が十分に共有されており、業務改革の目的もすでに共有されているように感じます。
「はじめてのプログラミング」は自分が使うプログラムを作るという基本に沿った良い取り組みです。
しかし、その延長でマイナンバーカードやガバメント・クラウドなどのプロジェクトにつながるわけではありません。
まずしっかりとした企画が必要です。
全国的な給付金の給付のようにアナログ処理が多く残っていて、全国的にデジタル化を
進めるばあい、まず関係する法律や規則の改定も含めて、デジタル化の目的を規定する必要があります。
中央省庁が主体の事業で、全国の市町村の窓口が進めるような事業では、中央省庁で企画している人は
処理手順を理解していないのではないかと思われるものも有り、まず文書で事業の目的を
矛盾がないように規定する必要があります。
アメリカ人は、目的などよく聞くといいかげんでも、聞く人が納得するようなプレゼンテーションが上手
な人が多くいます。日本人はどちらかというと、プレゼンテーションが下手で、まず現場でやってみましょうという人
が多いのですが、事務処理のデジタル化には不向きな考え方です。
話がかわりますが、アマゾンのサイトで買い物をすると、日本のサイトと違うと感ずる点があります。
人によっていろいろあるでしょうが、私は、アマゾンジャパンが販売する商品はもちろんマーケットプレースが出展する
商品もすべて書籍以外は商品の情報の登録情報のなかに、ASIN(Amazon Standard Ientification
Number)が記入されていることです。書籍は、すでにISBNコードで世界的に唯一の商品で
あることを特定することができます。書籍以外もすべての商品について、世界的に商品を唯一に特定できる仕組みを
作りました。アメリカ人はあらゆる物に記号番号をつけて管理するのが好きです。
20世紀には最初はアメリカ人が考案した記号番号でも、日本人が非常に上手に利用したものがありました。
部品にP/N(Part Number)をつけて管理し、あわせてBOM(Bill of Materials)
部品表を管理するものです。最初は事務所にもどってP/Nを調べて発注しないと修理ができないということで
すごく不評でしたが、自動車工場などで、よく使われるようになり、部品の重さの違いで、完成車の重量の
正確な計量で部品のつけ忘れや付け間違いを見つけるシステムも作られました。また、QRコードも
バーコードで管理しきれない多くの種類の部品を管理するために日本で開発された技術です。
それから、GPSはアメリカの技術ですが、カーナビを最初に製品化したのは日本のメーカーです。
現在でも、中央銀行が発行するデジタルキャッシュが、アジア・オセアニアの海洋諸国で静かに広まっています。
エル・サルバドルとは状況が異なります。そのようなデジタル化の動きに積極的に関与すべきです。
20世紀の終わり頃に、アマゾンが日本で書籍の販売を始めようとした時、有名な出版取次店2社が
アマゾンに書籍を売ることを拒否しました。アマゾンジャパンの社長に取材に来た週刊誌の記者が
「どうするのですか?大阪の取次業者を使うのですか?」と言ったのがヒントになって、
日本でECサイトを開設することができたという話を聞いたことがあります。
有名な出版取次店2社がアマゾンに書籍を売ることを拒否したことは、優越的地位の乱用になるのではないかと
思います。公正取引委員会が問題にしなかったので、どのような事情があったのかはわかりませんが、
アメリカの会社だから、GAFAだからダメというのではなく、利用者の利益の観点で考える必要があります。
この時に出版の再販制度などを見直していれば、現在の書店の閉店などを防ぐことができたかもしれません。
IT関連の書籍で、かなり大きな書店にいっても在庫がなくて注文で入手までに時間がかかるものが、
アマゾンだとすぐに購入できることがあります。
現在、アマゾン薬局が日本に進出することが話題になっています。これもGAFAだからダメというのではなく、
利用者の利益の観点で考える必要があります。ひょっとすると、マイナ保険証よりも利用者の役に立って
医療費の削減に貢献するかもしれません。多くの種類の商品を備えて在庫切れを起こさないようにする技術や
ロジスティックスの技術でアマゾンは優れています。期限切れで廃棄する薬の量を減らすことができるかもしれません。
薬剤師へのオンライン相談や、複数の病院での薬の飲み合わせの問題なども、ITの技術を利用した
新しい取り組みがあるかもしれません。
日本での医療分野へのIT技術の導入をみていると、コロナワクチンの接種でVRSのシステムを開発したのに、
インフルエンザワクチンの接種では以前通り紙の書類を使っているなど、デジタル化がスムーズに進んでいません。
コロナ感染者の全数把握をやめて医療関係者は助かっているそうですが、行政のデジタル化の観点で見ると、
病院で受付をして診察してカルテも作成していいるのに、なぜ全数把握のための入力がそれほど大変なのか
を分析する必要があります。デジタル化の方法に問題があると思います。
マイナンバーカードのプロジェクトを見ると、住民基本台帳に記載されたすべての人に唯一の番号を付して
行政事務の効率を向上しようといわれたのですが、何のために行っているのかほとんどの人は理解していないと
思います。もし、公的個人認証サービスの民間利用を進めて、マイナンバーカードを保有して、2種類のパスワード
を5年おきに変更すれば、他の金融機関などで使っているいっさいのパスワードは使う必要ありませんといえば、
1年以内に、マイナンバーカードの保有率は80%を超すと思います。
それがなぜできないか、誰にもわかるように説明する必要があります。
マイナンバーカードの保有率を高めて、皆でコンビニで住民票の写しを取得しましょうという説明を
何度も聞きたいのではなくて、利用者として持っている疑問に答えてほしいと思います。
自治体マイナポイントに参加していない市町村に住んでいる場合、マイナンバーカードは持たないほうが
よいということなのかという疑問にも答えて欲しいと思います。税務署は国税庁の指示のもとに業務を行う機関で
県税事務所とは異なるということでスッキリしているのですが、総務省と市町村の関係はどのように規定されている
のかというそもそもの法律の規定がスッキリしていなことがいろいろな疑問の原因のように思います。
マイナンバーカードの保有率を高めることが目的で、そのために消費税の税率を上げて、社会保障関連の予算として
マイナポータルのシステム投資にあてるのなら、どちらもやめて欲しいと思います。