列車ダイヤについて -- 3ー90 掛川を出ますと次は浜松に停まります
2022年10月1日
3ー90 掛川を出ますと次は浜松に停まります
東海道新幹線の下りの「こだま」に乗っていると次のような車内放送があります。
”まもなく掛川です。お出口は左側です。東海道線と天竜浜名湖線はお乗り換えです。
掛川を出ますと次は浜松に停まります。
Ladies and gentlemen we will soon make a
brief stop at kakegawa”
この車内放送の「掛川を出ますと次は浜松に停まります。」の部分に注目したのが、今回のコラムです。
掛川をどのようなアクセントで発音するかです。
日本人は、言葉のアクセントの話が好きですが、明快なルールがあるかというとそうではありません。
掛川だけでなく、姫路もどのようなアクセントが正しいかよく話題になります。
東海道新幹線の案内は、掛川をフラットなアクセントで発音しますが、
地元では、浜松と同じで、カケガワのケにアクセントを置いて発音する人が多いそうです。
山陽新幹線の案内では、姫路は、ヒにアクセントを置いて発音しますが、
地元の人はフラットなアクセントで発音します。しかし、JR神戸線の東姫路の駅名のヒメジの部分は、
ヒにアクセントを置く人が多いようです。
例えばスペイン語の場合は明確なルールがあります。
ラテン系の人はルールを守りそうにありませんが、(個人の感想です)アクセントに関しては
比較的ルールが守られているようです。(個人の感想です)そのルールとは、
スペイン語の正書法(書く上でのルール)でスペイン語学士院協会
(Asociación de Academias de la Lengua Española)で検討され、
王立スペイン学士院(Real Academia Española)によって刊行されています。
日本では、明文化されたルールは無くても、自主規制に多くの人が従う傾向にあることや、
通貨は共通でも言語は各国で異なる、ヨーロッパの事情や、
言葉は共通でも通貨は各国で異なる、中南米の事情なども含めて、
業務をデジタル化しようとする時、どのような事が課題になるかについて、考察してみます。
日常の生活では、言語が異なることは各種の問題を起こしそうですが、
ITシステムを作る上では、通貨が異なることで起こる問題のほうが大きいことがあります。
スペイン語のアクセントやñや ¿por qué? のような記号や、ポルトガル語のçなどの入力が正確に扱えないと
ITシステムが作れないかと言うと、意外とそうでもありません。
通貨が異なることは扱いが面倒です。ペソという通貨単位のように、色々な国で使われているのですが、
それぞれ別の通貨で対米ドルの換算レートが異なります。
エルサルバドルがビットコインを正式通貨にする以前の話ですが、
コスタリカのコロン(¢と表記)とエルサルバドルのコロン(¢と表記)は、別の通貨で対米ドルの換算レートが異なり
コスタリカのコロンがおよそ2倍の価値を持っている時期だと¢¢と表記する人がいました。
人間は、初見でも理解するのですが、システムは理解しません。
また米国英語のビリオンはミリオンの千倍ですが、スペイン語のビジョンはミジョンの100万倍です。
英語のビリオンに相当する数字は、ミル・ミジョン(100万の千倍)と言います。
メキシコの人は、アメリカの人と話す機会が多いので、スペイン語のビジョンを英語のビリオンの意味で
使う人が時々居ます。会計システムを使うと、いくら細かなことはことは気にしないラテンの人でも、
気にせざるを得ないくらい、処理結果がむちゃくちゃになることがあります。
それでも、ヨーロッパもふくめて、1バイトで表記できる言語が大半なので、
日本語の全角スペースの問題は発生しません。
日本では、習近平氏をシュウ・キン・ペイと発音することが多いですが、もちろん現地でも世界でも
ほとんど通じません。これは、中国語と日本語がどちらも漢字を起源とする部分があるからかもしれません。
ハイチの首都の名前はポルトープランスというフランス語起源の発音で呼ばれることが多いですが、
スペイン語ではプエルトプリンシペ(王子の港)と、言葉の意味を優先した発音で呼びます。
ITシステムを作る時も、データーをどのような構造で保持するかという部分と、
どのような手順で、どのようなUIのシステムで処理するかという部分があります。
行政のデジタル化では、システムのクラウド化など、システムの構造に関する議論がよく聞かれますが、
どのようなデーターをどのような関連性で保持し、いつまで保持するのかをまず決める必要があります。
データーの保存期間も明確に矛盾のない方法で決めておかないと、参照するレコードが削除されていて、
保存期間内のデーターも参照できなくなります。作成したデーターは永久保存するのが、
一番確実なルールです。
データーをリアルタイムに更新できる形でクラウドに保存しておくと、それなりの料金が発生しますが、
ある期間過ぎたデーターは、読み取り専用で保存して統計処理できるようにすると、低料金で、各種の
統計データーが入手でき、システム化の恩恵を受けることができます。
また、データーの構造や関連性は、システムを超えてできるだけ共通化しておくことで、
システム化の恩恵を受けることができます。ただし、漏洩防止の対策は厳重に行う必要があります。
国葬と国葬儀は同じか異なるかが話題になっていますが、行政のデジタル化を進めるにあたっては、
データーの構造とともに、あるいはそれ以前に法律も含めて言葉の定義を明らかにする必要があります。
類似語検索の機能があるから解決できるということではなく、ITシステムを作る以前の段階で、
法律も含めて、行政で使用する言葉やデーターを規定する必要があります。
一方、業務手順や、そのためにどのようなUIのシステムにするかは、
自治体の規模や、業務量により異なります。どのような産業が盛んかで、部門毎の業務量も異なるでしょうから、
従来の業務処理手順、業務量を考慮して、地域毎に最適のUIのシステムにする必要があります。
例えば東海道新幹線では、当たり前のことですが、ダイヤは各駅で共通のものを使用しています。
しかし、ホームで案内をする駅員さんが見ている業務用ダイヤのフォーマットは駅により異なります。
一部の駅では、柱に貼り付けてあったりしてホーム上の誰でも通行できる通路から眺めることができます。
「のぞみ」が停まる駅でも、品川のように下り電車のホームと上り電車のホームが別々の駅と、
東京駅や新大阪駅のように折り返す電車がある駅では、見やすいフォーマットが異なります。
企業の財務情報の場合もデーターは共通でなければなりません。
会社の経営成績を示す財務諸表と法人税の確定申告をする申告書、銀行からお金を借りるための
資金繰り表ではそれぞれ強調する箇所やフォーマットは異なりますが、
財務データーの数字は共通でなければなりません。粉飾決算になります。
また、行政のサービスを受ける一般の住民の人は、各人が本当に各種の要望を持っています。
また言語の話になりますが、私は、暗記科目が苦手で、英語が不得意でした。
英会話の機会もなかったので、興味がわかなかったのですが、
ある時、イギリス人の比較言語学の教授と毎週話すようになり、英語を含む言語学に興味を持つようになりました。
大きなきっかけとなったのが、
It’s me と言った時に、英文法によると、It’s I が正しいと言われた時です。
be動詞の前と後の名詞の格は同じなのだそうです。名詞を修飾するのが形容詞で
動詞を修飾するのが副詞というような説明も、その先生から聞いてはじめて理解しました。
国語(日本語)の授業はまったく興味を持って聞いていなかったのかもしれません。
このように、何に興味を持つかは、各人で異なりますから、どのようにデジタル化された
行政サービスに対する理解を得るかをサービスを受ける人の視点で考えなければなりません。
マイナンバーカードの普及率が低い自治体には、デジタル田園都市国家構想の交付金を交付しない
というのは、マイナンバーカードが普及している場所で、新しいデジタル化のサービスを試そうという
考えだと思います。合理的な考え方のようにもみえますが、
皆が裸足で暮らしている島に行って、「この地域には市場がない。なぜなら靴を履いている人がいない」
いったセールスの人の発想に類似してます。
「この地域は素晴らしい市場だ。なぜなら靴を履いている人がいない」 というセールスの人の発想が
必要だと思います。
垂直測位サービス 「Pinnacle」が、2022年10月より、東京エリア、大阪エリアで始まります。
このサービスに注目しています。
JAXAの「みちびき」が2010年に最初に打ち上げられた時はずいぶん話題になりました。
技術的にも、GPSの衛星のようにほぼ円形の軌道で12時間で周回しているのに対し、
楕円率の高い楕円軌道を24時間で周回するというアイディアはすばらしいと思います。
地球の中心に固定した座標系での移動速度も、場所によってかわるので、時刻の情報をつくるのも大変だと思います。
しかし、それから10年経って、すごく話題になっているかというと、そうでもありません。
たしかに携帯電話の位置情報の精度は上がっていますが、アプリでどのような衛星が居るかを表示すると、
北斗の衛星がたくさん出てきます。よく知らないだけかもしれませんが、「みちびき」の存在感が薄いです。
日本の都市部で位置情報サービスを提供するなら、携帯の基地局のような地上のたくさんある場所から電波を
だしたら良いのではないかと思っていました。超長い物差しより、短い物差しのほうが精度が良いのではないかと
思います。GNSS(GPS)のサービスは、高度の情報の精度が低いと感じていました。自分で津波対策の
高度情報の表示がある場所を歩いてみた感じでは、精度はそれなりに高いのですが、高度の変化に対応するのが
遅いように感じます。垂直測位サービス 「Pinnacle」のように気圧を使うと、高度の変化への対応が速いです。
気象庁や空港で発表している気圧は1hPa単位ですが、1hPaでおよそ10メートルの高度の差になります。
0.1hPa単位で発表してくれれば、およそ1メートル単位の精度のアプリが簡単に作れるのにと思っていました。
「Pinnacle」では、自前の基地局で気圧を測定し変動をAI処理して、高度の測定に使っています。
このようなソリューションが日本で開発されても良いような気がしますが、アメリカのバージニア州に本社がある
NextNav社の技術だそうです。まだ一部の地域でしか使用できませんが、全国的に利用できるようになったら
やってみたいことがあります。
東海道新幹線に乗って、位置情報サービスで測定した位置を記録してみます。線路がどこを通っているかは
決まっているので、誤差がどの程度かがわかります。速度も計測してみます。GNSS(GPS)のサービス
の電波のドップラー効果で測るのですが、今の携帯でもかなりの精度で測定できますが、微分して加速度を計算して
加速度計で測った値の変化に対応するレベルのものはまだありません。さらに高度も測定します。
今も時々気圧計で高度を測っていますが、在来線ではかなり正確に測定できますが、新幹線だと気圧が下がります。
例えば近鉄の新青山トンネルなら、気密構造とは思えない電車でもかなり正確に高度が測定できますが、
東海道新幹線の関ヶ原トンネルでは、岐阜羽島の駅を通過する時にキャリブレーションして、
トンネルの入口で、130メートル位を表示していても、出口手前の一番高度が高い付近で、250メートル位の
表示になります。こちらは新幹線の速度が変わらない限り、「Pinnacle」でも同じような気がしますが、
どうなるか試してみたいと思います。
このような一度使ってみようかと思う、皆が興味をもつサービスを開始し、そしてそれを広めていかなければいけません。
「みちびき」のように皆が注目し、技術的にもすごいのだけれど、特別の受信機が必要だったりして、
10年後にみた時、広く皆が価値を理解して使っているわけではないようなサービスが日本には多くあります。
行政のデジタル化もまず皆が興味をもつようなサービスを開始し、さらに多くの人が安価に容易に利用できて
多くの恩恵がえられるような環境を整えて10年後には生活のインフラの一部になっている
という状況にしていかなければなりません。