列車ダイヤについて -- 3ー74 ITシステムの価格
2022年5月15日
3ー74 ITシステムの価格
日経新聞の5月12日付けの記事に、デジタル庁「新霞が関ネット」、またも1者応札の課題
という記事がありました。1者応札になると競争がないために価格が高止まりした懸念もある。という記事です。
今回のコラムは、この記事を読んでの私個人の感想です。(記事自体の主張ではありません。)
デジタル庁が一元調達する新たな政府ネットワーク、「ガバメントソリューションサービス(GSS)」
に関して調達案件7件の落札金額は、およそ1億円のものから57億円のものまであります。
国債の残高が1,000兆円を超すとかいっているので、もっとどんぶり勘定かと思ったら、
意外と細かい単位で調達しているという感じです。
ひとつの案件で、1億7000万円強という2位の5億2800万円を大きく下回る金額を提示した企業が、受注を獲得しました。
自家用車であれば、170万円の車と528万円の車はあきらかに異なります。
ITシステムの価格はけっこういい加減という感じです。
ITシステムの価格をもし自分が決めることになったら、もっといい加減になるかもしれないという感じです。
工場で製品を作るとしたら、原価は材料費、直接労務費、製造間接費で構成され、
材料費は外部からの仕入れ値で決まります。プログラムを作る場合、材料費にあたるものがありません。
それなら、制作時間をもとに計算した直接労務費が基準になるかというと、そうもいきません。
建て売り住宅なら、1軒目より2軒目のほうが、工期が短いといってもあまり差がありません。
システム・インテグレーションなら、1つ目は6ヶ月で2つ目は1週間ということもあります。
そこで、プログラミングなら信用できそうなお客さんに聞いてみるとか、システム・インテグレーションなら、
ハードウェアーの価格の2倍を請負金額にして、適当に内訳を考えたりします。
もちろんもっと真面目に見積もりを作る人もいると思います。
ITシステムの価格はけっこういい加減な面があると思いますが、それで良いと思っているわけではありません。
作って欲しいと思うITシステムがあります。
会計検査院の検査のうち、書面検査の際、AIを使用してすべての仕訳を全数検査するシステムを作って欲しいと思います。
AIの精度に問題があるかもしれませんが、検査の速度に関しては、どんな優秀な人間より優秀です。
現在はサンプリング検査しかできないでしょうが、AIを使用すれば仕訳の金額の大小を問わず全数検査が可能になります。
税金が関連する仕訳が発生した時点で、すべての仕訳の写しが会計検査院に保存されるだけで、
行政や政治家の考え方がかわります。後になって証拠隠滅のために帳票書類を破棄することが
無駄なことだとなると組織のカルチャーが変わります。
20世紀に、メインフレームが広く使われていた頃は、保守契約がコンピューターメーカーの収入源でした。
例えばネットワークアダプターカードなどを、部品として売ることはありませんでした。
必ず、修理として受付、保守担当者がカードを交換にいきます。
さらに、突発的に修理費用が発生するより、保守契約料金として年額にするほうが、予算化しやすいでしょうということで、
保守契約の締結を強く薦めていました。その結果、原価1万円位のカードを50万円位の価格で修理していました。
21世紀になって、クラウドコンピューティングが盛んになり、日本のコンピューターメーカーの
売上は減少しました。、クラウドコンピューティングはアメリカの企業の世界シェアが大きいですが、
それ以外の製品でも魅力的な日本製の製品が少なくなりました。交換インクで利益をあげるという
インクジェットプリンターのビジネスモデルも上手く機能していません。看板もインクジェットプリンターで
印刷しているので、水でにじまないインクジェットプリンターは存在するのですが、家庭用のものはありません。
スマホの画面が明るい屋外ではまったく見えません。(個人の視力の問題かもしれません)
写真を撮っても何を撮っているのやらわからない状況です。(??)
普通に物を見るように反射光で見ることが出来る、Kindleのような画面のスマホができると思っているのですが、
なかなか出てきません。画面が光るために電池を使う必要がなくなれば、レジでバーコードを表示して待っている時、
画面が消えるのを心配しなくてもよくなります。
20世紀には、IT業界のサポートセンターは比較的しっかりしていました。
例えば、インターネットの初期のころ、突然ネットが繋がらなくなって、
インターネットサービスプロバイダーに問い合わせたことがあります。受付の後、すぐに詳しい人に替わりますということになりました。
原因は、IPアドレスの競合です。DHCPのサーバーが割り当てたIPアドレスを固定のアドレスとして指定している人がいます、
ということでした。その人を見つけて対策するのは時間がかかるので、DHCPのサーバーが割り当てないように設定変更します。
20分程かかるので、30分後にモデムとPCの電源を入れ直してください。
直ればそのまま使えます、もし直らなかったら、サポートセンターではなく、自分に直接つながる番号に電話してくださいとの
ことで30分後に問題は解決しました。
インターネットの技術レベルは今とは違って初歩的なレベルでしたが、インターネットサービスプロバイダーが本当に
電話線とインターネット回線の接続点だった時代で、複雑なトラブルはすぐに設定した人に替わって対応していました。
コンピューターのサポートが機能していないと最初に感じたのは、21世紀になってITバブルがはじけたころです。
システムを再起動した時、ディスプレーが動かなくなりました。一旦電源を切ればよいのですが、それでは面倒なのと
保証期間中だったので、店に修理に持っていきました。点検の結果不具合は再発しないというだけで、
不具合の症状を書いた紙といっしょにメーカーに送ってくれといってもやってくれません。
結局、メーカーに電話して、メーカーに送るときの宅配便の料金を負担すれば、メーカーの修理部門に直接送る
ことができることがわかりました。2日後に返送されてきたので、不具合が確認できなかったのかと思ったのですが、
実際は、不具合を確認して部品交換して修理完了していました。
店に修理を頼むと2週間以上かかる時もあったのでびっくりしました。
店に商品を卸すような配送システムと、基本が一品ごとの宅配のシステムは倉庫などが根本的に異なるそうで、
修理品の配送は時間がかかるそうです。さらに、デジタル製品は、点検の結果不具合が再発しないことが多いので、
店からメーカーに直送するのではなく、地域毎のセンターにいったん集めて確認することもあるそうです。
製品やサポートの競争力がなくなって、売上が下がったのか、ITバブルがはじけて売上が下がって、
サポートなどのコストを削減したのかはわかりませんが、日本のデジタル化は周回遅れといわれるようになりました。
20世紀は行政は基本的にアナログで、運転免許証の管理や、国勢政調査など一部の作業には
コンピューターが使われていました。時には中央省庁が発注したシステムが
いつまでたっても完成せず、大問題になったこともありました。
21世紀になってITバブルがはじけたころから、行政のデジタル化が話題になるようになりましたが、あまり成果
はあがりませんでした。
令和4年度の総務省の予算の概算要求で、「マイナンバーカードの利便性向上、申請促進・交付体制強化」
は、1,200億円あまりなので、最初にでてきた政府ネットワークと比べても規模が違います。
事業が始まってからすでに6年以上経っているので、総額はかなりの額です。
今の所、あまりめだった成果は上がっていないようです。
2022年度に予定している、マイナンバーカードの情報をAndroidの携帯に搭載するのは
ひとつの転機になるかもしれません。マイナンバーカードの申請数が増えて保有する人が増えても
あまり行政のデジタル化は進みません。日常的に保持する人が増えることが鍵になります。
携帯はほとんどの人が日常的に保持するので、マイナンバーカードを日常的に保持する人が増えます。
日常的に利用する人がどの位増えるか、注目です。コンビニで住民票が取得できるとか、
健康保険証として使えるだけでは、保持しているだけで、あまり使われないというおそれもあります。
日本人はiPhoneが好きな人が多いので(個人の感想です)、いずれiPhoneの携帯にも搭載する必要があります。
入札の状況が明らかになりシステムの調達費用が明らかになるのは、大きな進歩です。しかし、本当に知りたいのは
行政のデジタル化で皆がどれだけの利便性を得られたかのデーターです。
韓国では国民番号の付与とカードの所持が急速に進みましたが、
北朝鮮のスパイを峻別するためという特殊な事情も大きく影響しました。
日本の社会の事情を反映した、行政のデジタル化による生産性の向上を、何かの指標で測定する仕組みが必要です。
アフターコロナの時代に、ビフォアーコロナの時代を回復するというアプローチではなく、
新しい時代をつくるというアプローチで望まなくてはなりません。
飲食店はコロナ感染症で大きな影響を受けました。大きなファミリーレストランのチェーンでも
営業赤字、経常黒字という状態だったところがあります。
時短補助金などがなくなって、客数が回復しないと経常赤字になるおそれがあります。
QRコードでアクセスして各自の携帯に表示されたメニューからオーダーするようになった店もあります。
紙のメニューを季節商品に合わせて印刷するのはかなりの負担になっていましたが、
オーダーシステムを装備したテーブルなどはなかなか導入がすすまなかったのですが、
コロナ感染症を機会にかなり導入が進んだ印象です。
交通機関も、コロナ感染症で大きな影響を受けました。地方の公共交通機関は
存続の危機になっています。ビフォアーコロナの時代を回復するというアプローチではなく、
地域に必要な機関とならなければ存続できないと思います。
ひとつのアイディアですが、無人駅をリモートオフィスとして活用できるのではないかと思います。
IT企業を中心にテレワークが盛んですが、自宅でのテレワークはいろいろ不都合があるという人もいます。
無人駅の駅舎なら使っていないのだから低額で貸し出しても問題ありません。
通信環境はそれなりに備わっていることもあるし、鉄道線路に沿って
有線の通信環境を整備するのは容易な場合もあります。そして一番やってみたらと思うのが、
数少ない列車の時刻に合わせた、定時勤務です。IT企業は残業が問題になることがありますが、
ブラック企業ではなくても、目の前でエラーがでていると、エラーがなくなるまでコンパイルを繰り返すような
ことがあります。作業全体の観点からやるべきことを整理して、翌朝作業するほうが効率が良いです。
長い目でみたら、定時勤務のほうが生産性が上がるのではないかと思います。
この列車を逃すと帰宅できなくなるというような環境が良いのではないかと思います。
駅を利用する人に試作品を渡してアンケート調査すると、少数でも対面調査の効果が出る可能性があります。
あるいは地域の学校に出張してプログラミングの授業を行うと双方に利益があります。
データーの使用量が少ない場合、月額使用料が無料になるといっていた携帯電話会社が、プランを変更しました。
ガッカリしました。以前からいつまでも無料ではない、フリーレントのようなものだという発言があったので、
契約違反とか法律上問題があるという話ではありません。
近所の人と話すのがただなように、誰とでも一定量まではただでコミュニケーションでき、
売上がなくても、多く利用する人や他のグループ企業の利益への貢献でビジネスが成り立つことが証明されれば、
社会が変わるかと思っていたので、やはり普通の会社だったという意味でガッカリしてます。
携帯料金を下げるという政治家が毎日テレビに写っていた間はただにして、あまり登場しなくなると
やめてしまうというのにもガッカリしてます。
携帯電話会社は基地局の整備など設備投資にお金がかかるが、運用中の費用はあまりかからず、
限界利益を確保するのは容易という意味では、鉄道と類似しています。
鉄道で限界利益が確保できない区間は、タヌキしか乗ってないような区間で(個人の感想です)
すでにバスが主たる交通機関になっているという場合を除いて、
バスに替えても赤字になります。オンディマンドタクシーなどのほうが適しています。
通学で鉄道を利用する人がある程度居るなら、4両編成の電車でもワンマンで運転できる鉄道のほうが、
スクールバスの運転手を確保するより実現可能性が高い場合があります。
今は廃止が話題になってない路線でも、区間ごとに区切れば赤字の区間は相当あります。
しかし、黒字の区間だけ残しても、クルーズトレインや貨物列車の運転が不可能になります。
地域にどのような設備が必要かという観点で検討する必要があります。
富岳というスーパーコンピューターがあります。アーキテクチャーはArmですが、CPUの半導体は
独自設計です。GPUを使用していないことでユニークな設計です。
その性能の良さに注目して、アメリカの研究所で導入の動きがあります。
半導体の重要性が世界中で話題になっています。
半導体の製造費用は基本的に設計費用です。実際の製造は製造専門の会社に頼む会社が多いです。
つまりひとつのCPUの価格は、設計費を製造数で割ったものになります。
スーパーコンピューターの性能が世界1位でないとダメなのか、2位ではダメなのかの議論より、
理化学研究所に一台導入されている富岳を世界中に、1,000台導入し、ノード数を増やすには
どうすれば良いかという議論が、日本の半導体の開発能力の向上に必須です。
基礎研究では世界トップのものも、世界中に、1,000台導入し、量産の基礎を築くところで
躓くことが問題になるので、デジタル化の進展のためにはビジネス化を強力にすすめるべきです。
Web3.0の議論を始めるそうです。議論する事は良いことで、日本で議論しても無駄だろうというべきではありません。
ぜひ世界基準の設定に資するような議論をして、欧米のような議論をしていたが成果物がなく、
結局欧米で出来上がった製品を導入するというようなことにならないようにして欲しいです。
インターネットが広く世界的に広まった上で、RFCの存在が大きいです。
どのような仕様にするかの過程を公開し、広く意見を求めるというプロセスです。
RFCのコンセプトは、米国の国防省傘下の、ARPA(後のDARPA)がつくったARPANETプロジェクトで生まれました。
国防省傘下だから、防衛のためのシステムというのではなく、広くネットワーク技術を研究するプロジェクトらしい
のですが、それでもシステムの仕様を公開して議論するというのはなかなか思いつくことではありません。
しかも、税金を投入するシステムだから、最良のものをつくるためには、システムの仕様を公開して議論するのが良い
という主張を認めた、アメリカの行政機関や政治家の発想もすごいと思います。
学者のメンバーの選定に口をだしたり、大学でどのような研究をしたら、ファンドからお金をだすかに
政治が介入するような状況ではとてもすぐれた成果は得られません。
行政のデジタル化を進めるためには、使用する上での不安を取り除くための
サポート体制も重要です。コールセンターなどのサポート体制が十分でないことが、問題です。
とくに行政サービスでこの傾向があるように感じます。
予算が付いたからかもしれないような異常に暇そうなコールセンターと
いくら電話しても繋がらないコールセンターとで柔軟に人材を配置することができていません。
縦割りの弊害の象徴のように思います。
また、コールセンターの人がマニュアルを読んでいるだけで何も業務の内容を理解していないこともあります。
公務員の天下りが問題になった頃からとくに激しいように感じます。
天下りできなくなったので、成法人を創立して、人材派遣で、元の役所のコールセンター業務に
人材派遣しているのではないかと思います。(個人の感想です)
行政に限らずデジタル化に関しては、パスワードの管理に不安を持っている人が多いのですが、
明快な指針がありません。定期的な変更が必要というサイトと必要ないというサイトがあります。
銀行のキャッシュカードは4桁の数字という単純なパスワードですが、変更は必要ないといわれます。
本人が所持していることと、パスワードという2段階認証だからという説明が多いのですが、
大丈夫なのか不安になります。それなら、携帯電話に認証機能を集中すれば、本人が所持しているし、
PINコードや、生体認証による認証があるので、キャッシュカードより安全なので、
パスワードの変更は不要ということになります。
「誰一人取り残さない」というのが、デジタル庁のキャッチフレーズです。
すばらしいことです。デジタル技術は、高速・大量処理は得意ですが、データーのフォーマットが異なるだけで
まったく処理できないことがないというように、例外に弱い面があります。
非常に不得意で困難な、「誰一人取り残さない」を課題として捉え解決する姿勢は素晴らしいものです。
デジタル化にどれ程の予算が必要で、実際に使用するとどのようになるのかについて、
十分な情報が得られ、安心して利用できることが重要です。使い方がわからない人や、
パスワードの安全性に疑問をもつ人への問い合わせに丁寧に対応する必要があります。
デジタル庁が出来て、システム毎の入札の状況などが公開されるようになったのは、一歩前進です。
しだいに、霞が関の業務の進め方が行政のデジタル化に対応したものに変革していくかもしれません。