列車ダイヤについて -- 3ー73 日本ではなぜデジタル化が進まないのか?ーーその2
2022年5月10日
3ー73 日本ではなぜデジタル化が進まないのか?ーーその2
「日本ではなぜデジタル化が進まないのか?」
それは、アメリカの製品やシステムを取り入れているだけで、
アメリカの考え方や、物事の進め方を取り入れていないからだと思います。
デジタル化が社会に大きな影響を与えると感じたのは、20世紀末に、
インターネットが広まった時です。
日本は、光ファイバーケーブルなど、通信網の整備にお金をかけました。
アメリカの情報スーパーハイウェー構想では、通信網の整備よりも、検索サイトで要約した情報を
リスト形式で表示することが、著作権法の著作権者の許諾なしに複写できる場合に該当するかどうかなどの規定の作成に力
をいれました。連邦政府は、法律や政策の制定に注力し、通信網の整備などは民間資本を中心に行いました。
光ファイバーケーブルによる、通信網の整備が始まった頃、基幹ネットワークの整備はできるが、
各家に届ける、ラストワンマイルが大変だといわれました。
最近のことですが、日本政府が大号令をかけて、携帯の利用料金が大幅に下がりました。
また、5Gの整備を重点政策にするようです。しかし、新しい携帯会社の中には、
4Gの通信網の整備も十分でないところもあるようです。
人口カバー率で、96%と99.9%では実際にはかなりの差があります。
携帯の契約なら複数の会社と可能なので、安い契約もする人が居るというレベルで、もしLCCで
料金は安いけれども安全性・信頼性に問題があるとしたら誰も利用する人はいません。
ラストワンマイルが大変という状況は、30年経っても根本的に変わっていないようです。
「誰一人取り残さない」、 デジタル化の実現というのなら、税金を使って5Gを整備するのではなく、
新しい携帯会社を使う人が困らないような政策をとれないか考えるべきです。
4Gの通信網がカバーされていなくても、携帯端末がWiFiに繋がった状態ならばほとんどの機能を使う
ことができます。不便なのは、通話が非通知になることと、SMSのメッセージを受け取ることができないことです。
SMSのメッセージを受け取ることができないと、2段階認証で、SMSでパスコードを送るサイトが使えません。
通信パケットの量としてはそれ程ではないので、通話とSMSに限って既存の携帯会社にローミングの義務を課す
などのルールを決める方法がとれるかもしれません。あるいはプラチナバンドと呼ばれる電波の周波数の
割当をやり直す方法がとれるかもしれません。
霞が関で5Gのデモを見て便利そうだったので、5Gの整備を重点政策として税金を投入しようというレベルの政治家では、
「誰一人取り残さない」、 デジタル化を実現することは不可能です。
携帯電話の販売店は、携帯電話会社とは別の会社で、以前から問題になっていた、携帯端末を実質1円などで販売して、
他社から乗り換えの客の数を増やすことで報奨金を得るというビジネスモデルはあまり変わっていないようです。
日本全体での、携帯の契約数はそれ程増えることは期待できないので、携帯電話会社間で、CMにお金をかけて
客を奪い合っている状況です。新聞の宅配が、新聞社とは別の会社で、景品を配って
他社から乗り換えの客の数を増やすことで報奨金を得るというビジネスモデルとそっくりです。
業界全体が自滅するかもしれません。
家電量販店でも、シリーズのなかの一番高いモデルしか店舗に在庫がないという話をよく聞きます。
そしてネット通販で納期が翌日のモデルを店舗で注文すると、納期が2週間というような例があります。
そうすれば一番高いモデルが売れて、効率の良い営業ができるという考え方が間違っています。
在庫を削減するとしても、店とネットのハイブリッドのモデルなどを考えなければなりません。
リスクを取ることを恐れて過去のやり方にこだわるのが良くないです。
本屋の閉店が問題になっていますが、ネット通販が広まっただけでなく、
売れ筋商品しか置かない、あるいは返本を前提に、出版取次が指定する本をならべるという
委託販売の仕組みにこだわったことで、業界全体が自滅しているのかもしれません。
日本でネット通販で本が販売されるようになったのは25年位前のことです。
東京の大手の2社の出版取次の会社が取次を断り、出版社も直接卸すのを断ったそうです。
現在はネット通販業者が独占禁止法にふれるのではないかがよく話題になりますが、
この時の出版取次の会社の行為が独占禁止法にふれるかどうかは話題になりませんでした。
独占にこだわり新規参入を排除しようとしたことが、自分の首を締めているのかもしれません。
昔は街の電気屋さんが、修理してくれたそうです。ラジオが鳴らなくなったといって持っていくと
まずラジオを叩いていたそうです。ラジコは叩きようがありませんが、昔のラジオは木の箱にはいっていて
叩きやすかったそうです。その後修理センターに送って直すような仕組みになりましたが、
製品がデジタル化して、問題が再現しなかったり、間違えた使い方だったりであまり上手く機能していないようです。
製品がデジタル化しているから、マイクロコードのアップデートなど店で修理できる範囲が広がったととらえて、
サブスクの修理契約などを広めている店もあります。
このように社会の変化や製品や技術の変化にあわせた新しいビジネスモデルを考えることが大事です。
スマートホンがでてきたことで、日本製の携帯電話がほとんど無くなったと言われています。そうではないかもしれません。
日本製の携帯電話のOSは独自のものでした。スマートホンがでてきた後でも、ボタンがある携帯電話のほうが、
画面もボタンも見ないで操作できて使いやすいという人もいました。
日本製の携帯電話は、スマートホンに負けたのではなく、アプリのダウンロードサイトとか音楽配信サイトを作るなどの
ビジネスモデルを確立できなかったことで、アメリカの企業に負けたのだと思います。
NHKの受信料の徴収もよく問題になります。アパートを貸している人で、借りている人が出ていって、
リフォームが必要な期間空き家にしていると、大家のところに今すぐ現金で受信料を払えという人が来るそうです。
空き家のなかにテレビ受像機を置いていなくても、共同アンテナがあって受信できる状態なら、
お金を払えという人もいるそうです。押し問答の様子を何分か録画して、不退去罪で告訴するというとしばらく来なくなる
とか言っていましたが、このようなことにお金をかけるのが良くないです。
有料放送が悪いというのではなくて、空き家の庭に誰かがワンセグ携帯をもって立っているのをみたら、
受信料徴収の人は誰からお金をとるのか、それがストリーミング配信の携帯だったらどうするのかなどの
規定が明快でないことが良くないです。規定を改めようとすると議論になって世間で話題になるのが良くないと考えて、
何も改定せず、個人情報を保護した上で、誰が受信しているお金を払うべき人かを特定する
技術の開発も行わず、昔ながらの方法で、現場に受信料徴収の目標のみを与える方法が良くないです。
そして、NHKのテレビ放送を無料でみている人はたくさん居ます。海外向け国際放送NHKワールドJAPANは
受信料自体は無料です。4億人近い人が利用しているそうです。
世界中で70億人の人から受信料を得られるかもしれないのに何もしません。
NHKに限らず、テレビ放送全体が、総務省から電波の認可を受けるものが限られているということで、
業界全体が、自滅するかもしれません。
過去は無視して今始めて映像を見ようという人が、テレビアンテナを建てるかどうかが疑問です。
インターネットでTVerを利用する人が多いと思います。10年程前に始まった、地デジ放送が
4K8Kに対応していない状況と、日本でデジタル化が進まない状況は、今後どのようにしようとするかの
方針が定まっていないからということで原因は同じかもしれません。
テレビ放送の番組の録画も方針が定まりません。ストリーミング放送を録画する手段がネットで
いろいろ記述されてますが、サブスクなどの有料でもかまわないので、NFTなどの技術も活用して、
著作権法の規定からみて合法的に利用する人に、よほど簡単な、録画した番組がメディアの破損で
なくなるなどの不便のない仕組みを作らなければなりません。
アメリカでは新しい会社の創業が多いので、過去の仕組みを改めようという動きはなくても、
新しい仕組みを作ろうという動きがさかんなのかもしれません。
日本では、何かアメリカと異なるものを作るとガラパゴスといわれることがあります。
しかし、実際ガラパゴスで上手いこといっているものもあります。
例えば東海道新幹線のN700系電車です。京浜東北線の電車並の加速度です。
東北新幹線のE5系電車の加速度を大きく上回っています。世界中の高速鉄道のなかで、
最高の加速度です。電車のモーターと車軸の間にはー組のギアがあるだけなので、
モーターの出力を増やします。変電所の設備も増強する必要があります。貨物用の機関車で
出力を増強したが、変電所の設備の増強と総合的に考えた結果、以後の機関車では
再度出力を控えた例もあります。N700系電車は、東海道新幹線の線路の状態とダイヤを
考えた世界に唯一のガラパゴスです。
東海道新幹線では、他にもよく思い切ったということがあります。
車体の幅です。線路の軌道の幅は世界標準で、それまでの世界の鉄道技術の集大成といわれますが、
車体の幅は、ヨーロッパの標準より50センチ程広いです。ヨーロッパの電車は標準軌でも、
車体の幅は日本の在来線と同じか少し狭いものがほとんどです。
試験電車を走らせるよりはるか前の、土木工事を始めるまえに決めないとならないので、
もし、後になって試験走行で車両の安定性に問題があり、やっぱり無理だから車体の幅を狭くするといったら大ひんしゅくです。
それまでの世界の鉄道技術の集大成といわれるものの、車体の幅を広くしたり、
専用の電車しか走らない特性を利用して、ATCを使用するなど、
世界初の取り組みがいくつもあります。
このように、考え方や技術を参考にするのではなく、出来上がったものをそのまま取り入れることが増えました。
デフレ経済のなかで、急いで設備投資する必要はないので、リスクを避けて、
アメリカの製品をそのまま取り入れる一方で、ビジネスモデルは以前のままでは成果をあげることはできません。
会計基準でも、限りなくIFRSの基準に近い日本基準を維持する必要があるのかどうか、何も検討されません。
アメリカも独自の会計基準を使っていますが、中身がまったく異なります。
IFRSの会計基準も日本の会計基準も基本的に、制定される日付の順番で基準の番号がつけられます。
会計の勉強を始めたころ、例えば税効果会計について調べようとして、まずどの基準が調べようとすることに
関連するのかがわからなくて困りました。
アメリカのFASBのコーディフィケーションは、貸借対照表はXX番台というような決め方で、最初みたとき
わかりやすいと感じました。将来どうなるかはわかりませんが、独自の考え方があるというのではなく、
限りなく世界基準に近い日本基準を維持する必要があるのかどうか、何も考えずに続けるのが良くありません。
連結財務表は、会社によって3種類の基準で作成されて、本当に会社間の比較可能性が確保されるのか、
税務書類は、使用する会計基準によらず、日本基準の単体の財務書類(会社計算書類)に基づいて、
会社によっては、連結納税の申告書をつくることで、事務作業の生産性の向上をさまたげていないか、
誰も検討しません。
会社の経理部門で使われているERPも、本当に会社の業務の流れを検討して最適のものが使われているかどうか
疑問な場合があります。大企業では、ドイツ製のERPを使っている会社がたくさんあります。
しかし一般に海外製のERPでは、日本では非常に一般的な売掛金の月締め請求に対応していないケースがあります。
導入するサイトでアドオンで開発しているなど、ERPの導入目的も全社的なベストプラクティスも検討せず、
「右へならえ」でERPを導入していることがあります。
そんななかで新しい動きがでてきました。
シャープが中小企業向けにソフトウエアをサービスとして提供するSaaS事業に乗り出し、
2022年夏をめどに、製造業向けのERPサービス「IT Solution Cloud Service」の提供を始めるそうです。
内製した基幹業務システムを外販し、新たな収益源にするそうです。
これはすばらしいと思います。
ERPは、大企業より、中小企業のほうが効果を発揮します。
大企業では、すべての事業活動をひとつのデーターベースで管理することは不可能です。マイクロサービスのような構成にすることが不可欠です。
中小企業なら事務系の処理を本当にひとつのデーターベースで管理することも可能です。
RDBは論理的に本当にひとつのデーターベースの時、データーの整合性の管理などの実力を発揮します。
自社で使用していた実績に基づき製造業向けのERPサービスを開始します。ERPは以前
MRP(Manufactuaring Resource Planning)といわれたように、
組み立て加工工場の管理に適しています。
シャープでは、2016年に、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループの傘下となり経営体制が変わって以降、
IT部門の位置づけを大きく見直して、人員を増やし、管理部門の位置付けから、他の事業部門と同じ扱いにし、
社内の使用実績・経験に基づき外販も始めるそうです。
日本の経営者より、台湾の経営者のほうが、IT技術・IT部門の重要性をよく理解しているようです。
デジタル庁の人はデジタル技術に詳しい人が多いのでしょうが、それだけでは不十分です。
給付金を配布するというと、外注のコールセンターを開設し、マニュアルを渡してオペレーションを行い、
マニュアルを最後まで読んでも納得しない人はすべてカスハラとして対応しても問題は解決しません。
デジタル庁に居るような専門家の人こそコールセンターでデジタルサービスについての意見を聞くべきです。
「聞く力」が現在の内閣の強みだそうです。野党の質問を途中で打ち切り、しゃべりたいことだけをしゃべるのに比べれば、
大きな進歩です。しかし、聞くだけではまだ不足です。デジタル庁に居るような専門家の人が最後までフォローして、
デジタルサービスに関する課題を解決すれば、世間の人が何を期待しているかがわかります。
新幹線や高速道路を作るより、デジタルサービスの品質を向上してほしいといって居る人が、どれだけいるかの
具体的データーを持って、霞が関の人や政治家の人を説得しなければなりません。
デジタルサービスの品質を向上しなければ、有権者や将来の有権者が政権にそっぽを向くことを
説得するのが、本来のデジタル庁の人の仕事です。
アメリカの製品やシステムをそのまま取り入れるのは良くないですが、
アメリカの考え方や、物事の進め方をそのまま取り入れるのも良くないかもしれません。
現在ロシアの政権がやっていることは、一方的に悪いと思いますが、
アメリカが自由主義経済が唯一正しいと考えることにも問題があるかもしれません。
強い野党がないと、健全な民主主義は育たないというのと同じで、いろいろな
経済の考え方について議論する機会がないと、健全な自由主義経済は育たないのかもしれません。
イギリスが香港の人に恨まれていないのが不思議です。
植民地化の長い歴史を考えると恨まれても不思議ではないと思います。
日本も参考にすべきかもしれません。
AIの技術が人間の仕事を奪うのが問題という人がいます。
しかし、外注のコールセンターを開設し、マニュアルを渡してオペレーションを行うような、
AIで出来るような仕事をする人を増やしている、組織のやり方に本質的問題があると思います。
どのくらいの通話が保留になっているかを表示するシステムを設置することが
デジタル化と思う人がいますが、組織のトップなら、「聞く力」をもった専門家が
利用者の要望を直接きいて対処する仕組みこそ考えるべきです。
「日本ではなぜデジタル化が進まないのか?」という問に対して、今からGAFAの企業に
追いつくことはできないという人がいます。
しかし、デジタル技術は基本的に、最初に作るのがすごく困難で、コピーするのが非常に容易な技術です。
人間国宝の人の匠の技は誰も真似できないというような業種と違って、
法律や権利関係、サービスの提供方法をよほど上手に決めないと利益を出すのが難しい業種です。
アメリカが優れていたのはこのような社会的な仕組みをつくることや、
現状が赤字の企業にたいしても資本投資するような金融の仕組みであって、
デジタル技術が後発組であることはそれほど問題ではない一方で、
開発途上国が日本を追い越すことも容易な状況です。
単純作業をやる人の人手が不足するから外国人を雇用するとか、
正社員を削減して、人材派遣の人にマニュアルがあればできるような
単純作業をしてもらおうというような発想が、日本の生産性を下げているのかもしれません。
新しいシステムやネットワークを導入しても、お金がかかるだけで何も変わらないかもしれません。
岸田さんに投資するのが良いようです。担保があるようなハードウェアーにだけ投資するのではなく、
将来の収益性・成長性に注目して投資するのが良いようです。
日本の銀行はあまり得意ではないかと思っていましたが、岸田さんの話を信用するなら
大丈夫かもしれません。
ダイバーシティーとか、多様な働き方を認めるような社会に変えることが生産性向上の鍵かもしれません。
デジタル技術を霞が関の仕事のやり方にあわせるアプローチでは、かえって業務の品質が下がります。
霞が関の仕事のやり方をデジタル技術に合わせて変革するという心構えが必要になると思われます。
デジタル化について、2回コラムを書きました。私の考えは共通で、
デジタル化を自分に都合よく取り込むことができると考えている人は失敗すると思います。
最初のコンピューターが計画された時から現在までの90年間より、これからドラえもんが誕生するまでの
90年間のほうがデジタル化が社会に与える影響がはるかに大きいと認識すべきです。
デジタル化は、それほど大きな社会現象だと思った人達が新しい社会を作ると思います。