列車ダイヤについて --  3ー65 部分最適と全体最適の話?

                                      2022年1月25日  

    3ー65 部分最適と全体最適の話?
    
    
    現在、オミクロン株の流行で、第6波のなかにあります。
    保健所の業務が逼迫しているということで、コロナ感染症に感染した本人が、
    濃厚接触者に通知してほしいと言われています。
    保健所の人が大変なのはわかりますが、本当に感染した本人がこのようなことをするのが可能でしょうか?
    現実的に出来るのは、家族などに対してだけだと思います。
    医療の専門家でない人が、他人にこのようなことを伝えられるかという疑問があります。
    さらに、2年前から疑問だったのですが、保健所の人が聞き取り調査を行なったとして、
    感染者が知り合いでない人と偶然に接触していた時、どうやって濃厚接触者を特定するのだろうということです。
    警察の捜査のように、防犯カメラの映像を集めて調べるわけではないので、濃厚接触者は特定できないだろうと
    思っていました。
    
    一方、現在の1日の感染者数は日本では5万人程度です。軽症者が1週間位治療が必要だとして、30万人余りの
    人が治療が必要です。日本の医師の数は、32万人位です。
    あくまで数字の問題でいえば、1人の医師が毎日1人の感染者に状況を聞き取れば良いレベルです。
    このように、誰もが一切の悪意がなくまじめに働いているのに、全体的に見るとどうなっているのだろうという
    事がたくさんあります。
    
    コロナ感染症第6波をどにように収束させれば良いかについては、良いアイディアが思いつかないので、
    話題は、以前から考えていた、部分最適と全体最適の話に変わります。
    
    トラック運転手の数が不足して、日本の物流が危機に瀕していると言われます。
    しかし、約6割のトラックは空で走っています。
    タクシーも客を運んだ後、空で本拠地まで戻ってくるのが問題になっていますが、
    貨物ではもっと日常的に、荷物を運んだ後、空で戻ってきます。
    
    鉄道の話題になりますが、例えば鹿島貨物と呼ばれる、鹿島臨海工業地帯に行く貨物列車が走っています。
    JR鹿島線というと、風が吹く時などによく運休になるので、ローカル線というイメージがあります。
    また、北浦の鉄橋を渡る時、海のなかを走っているようなイメージということで、乗り鉄の人達に話題になります。
    2両編成のワンマンの電車などが走っています。単線ですが、途中の駅の行違いの設備などを見ると、
    線路有効長が長いなと思います。実際、鹿島貨物は20両連結位の貨物列車が、(26両連結が可能かどうかは確認していません。)
    東京貨物ターミナル駅、隅田川貨物駅、越谷貨物ターミナル駅と鹿島サッカースタジアムの隣にある駅との間で走っています。
    そこで、JRの電気機関車を鹿島臨海鉄道のディーゼル機関車に付け替えて、神栖まで走っています。
    ハイキューブの40フィートコンテナを積むこともできます。コンテナの中身は見たことはありませんが、
    基本的に空で来て、工業地帯の工場の生産品を積んで戻るそうです。
    
    旅客列車でも、朝は上りが満員で、夕方は下りが満員といわれますが、
    貨物列車の場合、年間を通じて、下りは空で、上りは荷物を運んでいるあるいはその逆という例が多くあります。
    そもそも貨物輸送にこのような大きな、片方向きの輸送になるのかについて、
    受け取った荷物を消費するから、人の輸送とは違うともいわれますが、本当に世界的にみても、
    、片方向きの輸送になるのか、時間軸をうんと伸ばして長期的にみても、片方向きの輸送になるのかは、
    輸送に関わる人もあまりよくわかっていないのかもしれません。
    
    全体最適で考えれば、運賃を下げてでも、空のコンテナで何か運ぶほうが良いと思われます。
    ただ、空のトラックの情報を得て、正規の運賃より安い価格で運ぶ業者を斡旋するというのは、
    やるべきでないと思います。正規の運賃で運ぶ業者の利益が失われて、安全面で問題になることもあります。
    
    一方で、斡旋業者も、場合によっては規則に反する行為を行なっているかもしれませんが、自身の利益を確保したいだけで、
    犯罪行為を行うほどの悪意があるかどうかは不明です。
    
    全体最適で考えれば、空のコンテナで何か運ぶというのは、脱炭素の観点からも推進すべきことなので、
    正規の運賃で運んでいる人の利益が失われない形で推進していく必要があります。
    
    どのようにするのが良いかといえば、行政のデジタル化を進めて、個々の状況をコストをかけずに把握するとともに、
    多数の人が納得できるルールに基づいて、全体の行動が実施されるように導くことだと思います。
    
    まず、個々の状況をコストをかけずに把握する事に関してですが、
    旅客輸送についても、20世紀には交通動態調査といって年に何回かサンプリングで行なっていました。
    現在は、IC乗車券のデーターなどを使ってもっと詳細に、継続的にデーターを収集することができます。
    貨物輸送のデーター収集については、あまりくわしくないですが、ひとつひとつのコンテナの動き、ひとつひとつの
    荷物や貨物の動きを継続的に把握する仕組みを作ることだと思います。
    コロナ感染症の患者では、PCR検査をした医療機関の電子カルテの情報をリアルタイムで共有する仕組みをつくる
    ことだと思います。
        
    次に、収集したデーターに基づいて、迅速に判断する仕組みをつくらなければなりません。
    部分最適になっている人の多くが、他人を騙すということより、自分が不当な扱いを受けて、
    損失を被るのは避けたいと思っていることを考えると、迅速に多くの人が、それなりに正しいと思うような
    解決策を直ちに提示する必要があります。
    旅客輸送についても、自動運転の車が広まると、現在のように自家用車を保有するということはなくなるともいわれます。
    個々の車の脱炭素化を図ることも重要ですが、車の製造時にも温暖化ガスが排出されることを考えると、
    車の数を減らして、自動運転の車を公共交通機関のように利用するのが、全体最適化かも知れません。
    社会の脱炭素化だけを考えると、皆が自宅にこもって、一切移動しなければよいのですが、
    皆がどのような社会の状態が最適だと考えているかをまず第一に考える必要があります。
    さらに、社会の脱炭素化の観点からは素晴らしいことでも、自動車産業で働いている人の
    雇用を考えると、すぐには実施できない事もあります。
    
    いろいろな箇所で、いろいろなレベルで、 部分最適と全体最適の問題があります。
    鉄道の旅客輸送では、各駅停車と急行列車の間での輸送人員のアンバランスという問題があります。
  一般に、急行列車のほうが、各駅停車より混みます。東海道新幹線であれば、「のぞみ」のほうが、「こだま」
  より混みます。新幹線の車内を仕事ができるレンタルオフィスのスペースと考えるなら、
  一般に長く使うほど、料金が高くなります。 現在の運賃を基本とする収益だけでなく、
  移動中の車内を、作業ができるスペースあるいは、新しいオフィス機器の使用デモを行う場所ととらえて、
  複数の収益源を見つけるとともに、各列車間の輸送人員のバランスをとることも検討材料です。   
    
    また、情報収集したら、すみやかにデーターを処理して、皆にとっての最適解を提示しなければなりません。
    2年前マスクが不足していた頃、台湾では、どこの店にどれだけマスクの在庫があるかをオンラインで表示し、
    さらに、マスクの買い占めが必要無いことを周知し、一人あたり1日あたりの購入枚数を制限しました。
    日本では、マスク不足がかなり解消しはじめた頃に、各戸に、アベノマスクを配布しました。
    データー処理と最適解の提示に、迅速性を欠くと、不満の原因になります。
    
    コロナ感染症では、全体最適が、感染症の収束ということで、皆の考えが一致しているので、
    経験したことのない事とはいえ、部分最適と全体最適の両立が可能な分野のように思います。 
     
    経済分野では、部分最適と全体最適の両立はさらに困難になります。
    以前、外資系のIT企業に勤務していた事があります。
    その頃、会社の目標は、「毎年、毎年、2桁成長」でした。
    毎年、1割以上売上をのばしていたら、7−8年で、2倍を超えます。
    本当に、そんなに事業規模を大きくする必要があるのかどうかは、わかりませんが、
    成長分野の企業は、常に事業規模の拡大を図っていないと、事業分野での売上シェアが下がるという危機感
    を持ち、経営者としての能力を疑われることを恐れるために、部分最適をめざします。
    
    本当に、GDPを増やし、経済を成長させ続ける必要があるのか、明快な答えはありません。
    しかし、計画経済よりは、自由な競争を原則とする自由主義経済が良いとほとんどの人は思っています。
        
    皆が違法行為、脱法行為をしてまで利益を得ようとは思っていないのですが、自分だけが損をするのは
    避けたいと思っています。株式取引をする人は、企業の利益剰余金が増えて、配当が行われたり、
    取引所における株価が上がれば良いと基本的に思っていますが、さらにほとんどの人は、
    どのような理由であれ、自分だけは、株価が下がった時に買って、上がった時に売りたいと思っています。
    株式取引を行う人にとって、自分が所有する株がバブルになるのは悪いことではありません。
    しかし、バブルは、いつ弾けるかはわかりませんが、必ず弾けるので、経済全体には良いことではありません。
    一方で、火山噴火と温泉のような関係で、資産評価額のバブルが起き、それが弾けるから、
    新たな経済成長がはじまるという人もいます。
        
    部分最適と全体最適を両立させるには、情報の透明性を高め、行政の統計情報の信頼性を高める必要があります。
    持続化給付金のように、不正に受給した人がいる一方で、いつまでたっても給付されないという
    問題を解決する必要があります。
    AIや、量子コンピューターを用いた文書の解析で、持続化給付金が給付されるべき申請の
    何割に給付されたか、不正な申請の何割に誤って給付されたかの情報を公開する必要があります。
    そのような情報を公開すると、行政に対する信頼性が下がると考えるのは、間違いです。
    公開されないので、自分だけは損をしたくないという考え方から、
    部分最適をめざし、誰も悪意がないのに、著しく全体最適に反する結果をもたらすことがあります。
    
    オミクロン株の流行の、第6波のなかで、「保健所の業務が逼迫しているということで、コロナ感染症に感染した本人が、
    濃厚接触者に通知してほしい」と言ったことは、
    そのようなことが起きないほうが良いことは間違いないですが、
    業務が逼迫しているのに、何も情報を公開せず、平常時の手順のみを公開するのに比べると
    大きな進歩の第一歩だと思います。