列車ダイヤについて --  3ー56 感染症法の分類と、行政のデジタル化の話

                                      2021年11月1日  

    3ー56 感染症法の分類と、行政のデジタル化の話
    
  
  感染症法(正式名称:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では、感染症は、
  一類から五類までに分類されており、コロナウィルス感染症は、
  第二類感染症で、対人措置としては、入院(都道府県知事が必要と認めるとき)等、対物措置としては、消毒等、
  さらに、医師が患者を診断後、土日・祝日を問わず、「直ちに」保健所に電話連絡またはFAXし、のちに保健所に届出用紙を郵送することになっています。
 
  インフルエンザは、第五類感染症で、発生動向調査のため、医師が患者を診断後、7日以内に保健所に届出用紙を郵送することになっています。
  
  現在、コロナウィルス感染症を第二類感染症から変更することが話題になっています。  
  それはそれとして、感染症に対する対応を一から考え直すべきではないかと思います。
  
  コンビニの各店の棚に、鮭おにぎりがいくつ、ツナマヨおにぎりがいくつあるかまでリアルタイムに管理できる時代に、
  インフルエンザの状況は一週間経って郵便がきてはじめて確認できるというのはどう見ても時代遅れです。
  東京オリンピック・パラリンピックでは、スタッフが装着したウェアラブルデバイスの情報を
  アリババ・クラウドで集計して、熱中症対策が行われたことが話題になりました。
  感染症対策も、最新のデジタル技術を使って根本から見直すことに着手すべきです。
  
  コロナウィルス感染症については、HER−SYSのシステムで、感染状況が確認できますが、
  インフルエンザについても、リアルタイムで感染状況が確認できるシステムをつくることは、難しくないと思います。
  行政のデジタル化を進める時、何をおいてもまず着手して欲しい項目です。
  
  感染症は、一般論として、感染者から誰かに感染するのが早いか、感染者を見つけて治療するか隔離するのが早いかで、
  全体の感染状況が劇的に変わります。
  リアルタイムで感染状況が確認できるシステムを作ることで、全体の感染者が減少することによる費用対効果を測定すると、
  感染者の減少による、医療費の削減のような、直接的な効果だけで、元がとれるかもしれません。
  
  医療情報は個人情報です。まず、医療情報を関係者で共有する際の個人情報の保護について、
  医療情報を共有することによる、社会的なメリットとの関連で議論し、法的な根拠を明確にしなければなりません。
  続いて、電子カルテの情報が共有されない現状を分析しなければなりません。
  システム的なことが原因なのか、最新の治療方法などを他の医療関係者に開示したくないという、医療関係者の認識が
  原因なのか、などを分析する必要があります。
  感染症は、情報共有のメリットが高い分野です。どのような情報を共有するかを具体的に検討する必要があります。
  HER−SYSのように再度データーを入力するのでは、業務量が増えるし、入力ミスも発生します。
  診察中に電子カルテに入力し、医療機関で、誰かが確認したら、ただちに情報が、他の医療機関、保健所、都道府県、厚生労働省で
  共有できるようになると、感染症に対する対応が早くなります。
  毎年、インフルエンザについてシステムを運用して訓練していれば、将来、未知のウィルスによる感染症に対しても、
  即座に対応できます。
  コロナウィルス感染症のワクチン接種については、接種予約システムが提供されました。
  一部に問題もありましたが、便利なシステムでした。しかし、インフルエンザの予防接種は、
  相変わらず、従来通り各クリニックに電話して予約する方法のところがほとんどです。
  せっかく作った、ワクチン接種予約システムなので、インフルエンザの予防接種にも使用してシステムを
  改善していけば良いと思います。
  
  コロナウィルス感染症に対応した人が、マスコミで紹介されるようになりました。
  例えば、エクモ治療のチームなどは、他のチームでは置き換えられない、どうしてもがんばってもらうしかないという印象です。
  
  保健師の人は、献身的に業務をおこなっていて、かつ業務量が増大しているのはよくわかります。
  しかし、他の人の協力が得られるのではないかと思います。全国で保健師の人は、およそ5万人です。
  看護師の人はおよそ120万人です。
  もし、看護師の人が月に1回か2回、保健師の人の業務を協力して行えば、倍の業務をこなせます。
  しかも、病院の現状を知る看護師の人と感染症全体の状況を見る保健師の人が情報共有することで、お互いにメリットがあります。
  
  また、感染症の状況をリアルタイムで共有するシステムがあれば、一部の業務が不要になるのではないかと思います。
  
  感染症の話ではありませんが、鉄道では、運行状況を把握しているのは、各駅ではありません。運行管理センターです。
  駅で、電車が止まったり、ホームドアが開かなくなったりすれば、情報の入力は行います。
  駅と駅の間で電車が動かなくなると、運転士の人が、情報の入力は行います。
  しかし、全体の情報を把握して、これからどうするか決めるのは、運行管理センターです。
  運行管理センターでは、通常は各線区を二人位で監視していても、トラブルが起きた場合は、その線区に皆が
  集まってきて対応にあたったり、通常から業務を交替でおこなって、運転司令の人だけでなく
  電力司令担当の人などもいつでも運転管理ができるように訓練しています
  昔は、駅長の人どうしが鉄道電話で連絡をとって、列車を次の駅まで運転することもありましたが、非常に能率が悪かった
  そうです。駅の人も、全体の状況や、運転の見通しは、運行状況のモニターなどを見て確認します。
  
  コロナウィルス感染症について、マスコミの人が、病院に取材にいったり、医師の人に話を聞くことが多くあります。
  駅員の人に話を聞いているような印象で、貴重な情報なのですが、感染の全体像はわかりません。
  コロナウイルス感染症対策分科会などの人が、感染症の全体像を説明することがあるのですが、
  話が一般的です。鉄道の運行管理センターでは、たいてい前面の壁に、全体の線路の図があって、現状が表示されていますが、
  このようにコロナウィルス感染症の全体像が一目瞭然になるという感じはありません。
  
  感染状況の予測や分析についても、満足できる情報が提供されませんでした。
  最近になってようやく、大きく改善するかもしれないという状況になりました。
  
  神奈川県と県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクールの共同プロジェクト、
  「新型コロナ感染者情報分析EBPMプロジェクト」において、簡易モデルに続いて、
  主要モデルも発表されました。パランティア・テクノロジーズ社のデーター分析の技術も使用するそうです。
  1週間先までの予測は独自モデルを使い、市町村別の人流やワクチン接種率などの入力値を用いて、
  重回帰分析の統計処理によって予測します。8日後以降の予測は、COVID−19 感染予測(日本語版)
  が提示する変化率を用いて算出するそうです。
  「科学的根拠によるデータエビデンスに基づく施策実現のために」というに値するすばらしいプロジェクトです。
  重回帰分析を行うので、どの要素が感染者の増減に関連しているか、予測とともに、過去のデーターを用いての
  解析も大いに注目です。
  感染症の波がくるたびに、飲食店の自粛がおこなわれましたが、飲食店は自粛して、多くの人が満員電車で通勤していることに
  違和感がありました。ぜひデータエビデンスに基づく施策を実現してもらいたいと思います。
  
  ワクチン接種証明のアプリも、「TOKYOワクション」など地方自治体のものなどのほうが、政府が導入するものより
  広まるかもしれません。地方自治体のアプリには、LINEを使用するものが多くあります。
  すでに多く使われているものを利用するのも良いアイディアです。
  
  政府が導入するワクチン接種証明のアプリはマイナンバーカードが前提になります。
  一部の携帯端末では、マイナポータルのアプリが使用できません。
  例えば、Rakten BIG s はサポートしますが、 Rakten BIG はサポートの対象外です。
  大きさが5ミリほど違いますが、機能はほとんど同じです。もちろんどちらも、おサイフケータイ、NFCをサポートします。
  昔、政府のサイトにアクセスするには、Internet Explorer を使う必要があった時代を
  思い出させるような対応です。 
  「誰一人取り残さない」デジタル化の実現を目指すといっても、このような状況では、政府のデジタル化はスムーズ進みません。
  
  政府が導入するワクチン接種証明のアプリの基礎になる、VRSの記録にミスがあるそうです。
  ワクチン接種の際、バーコードを読んで記録しているのだと思っていましたが、実際は数字を読んでおり、
  読み取りエラーがあったそうです。なぜ、このようなシステムになったのか、分析しなければなりません。
  VRSの記録のミスは修正されるそうですが、年金記録のような問題が残ることになるのではないかという懸念があります。
  TOKYOワクションのように、接種を受けた本人がシステムに入力する方法も、
  一般に正確性は高いです。
  政府のシステムは、本人に本人の個人情報がどのように記録されているかを開示しないという姿勢のものが
  ありますが、地方自治体のほうが、直接住民と接する機会が多いので、現実的なシステムの
  開発が可能なのかもしれません。
  
  特別定額給付金の一律給付がスムーズに進まなかったのは、マイナンバーカードが広まっていなかったのと、
  マイナンバーカードと銀行の預金口座の番号が紐付けられていなかったからといわれました。
  実際は、マイナポータルから申請した人が世帯主かどうかの確認にも手間取ったそうです。
  このような状況がデジタル化の推進を妨げます。
  まず、業務が進まなかった本当の理由を、誰にもわかるように説明するのが出発点です。
  過去のシステムの失敗の原因を究明せず、同じようなシステムで予算を獲得することに尽力していると、
  行政のデジタル化は失敗します。
  
  マイナンバーカードには、釈然としない点があります。
  マイナンバーを使って、政府が個人情報を管理することを恐れる人も居ますが、
  日本では、違法に個人情報を盗み取ろうとしたり、詐欺行為を働く者がいることが、
  もっと現実的な問題になると思います。
  身分証明書として、件保険証にも運転免許証にもなるそうですが、もしマイナンバーカードを落とした時、
  どうやって自分だということを証明するのだろうという点です。再発行までの期間一時的に、
  身分証明書、件保険証、運転免許証すべてが無くなるだけでも相当不便です。
  それから、マイナンバーカードを発行する時、申請する人が本人だということを証明するものは、結局
  他の証明書だということです。例えば、外国国籍で日本に居住する人がマイナンバーカードを申請するとします。
  申請時に写真を撮って、交付時に確認しますが、それは、申請者と受取人が同一であることを確認しているだけです。
  受け取りの際の本人確認書類がパスポートだとすると、パスポートが偽造なら、結局マイナンバーカードが
  偽造されたのと同じ結果になります。
  
  個人情報が盗まれることについては、仮にマイナンバーと医療情報などの個人情報が漏洩したとしても、
  マイナンバーを変更することで、かなり危険を軽減できます。
  マイナンバーと住所・氏名が結びついて、誰の医療情報かが特定されると、どちらも変更できないものなので、
  一生情報漏洩の危険にさらされます。
  
  マイナンバーカードの表面には、住所氏名が記載されており、身分証明書としてのICチップがあります。
  そして、裏面には、マイナンバーが記載されており、専用のケースにいれると、外からマイナンバーは見えないようになっています。
  マイナンバーは、他人に見せて良いものなのか悪いものかが、いかにも中途半端です。
  専用ケースに入れると、一般のカードケースに入らなくなるので、持ち歩くのが不便です。
  年末調整の書類にも、所得税の確定申告の書類にも、住所・氏名とマイナンバーを記載します。
  住所・氏名とマイナンバーを同時に開示するリスクが曖昧です。
  このような曖昧な部分に、多くの場合システムや行政処理自体の、個人情報漏洩のリスクがあります。
  
  マイナンバーあるいは、マイナンバーカードを使うことで、どれほどの利便性があるのかも不明です。
  ただ便利になりますというのではなくて、例えば、法人のマイナンバーを使うことで、
  これほど便利になりましたと示してもらえば、納得できます。
  法人のマイナンバーは公開されており、番号自体に情報漏洩のリスクはありません。
  どれほどの利便性があるのかを公開することで、個人のマイナンバーの利便性についても理解が深まります。
  
  行政機関が行う企画で、ふるさと納税のように、広く話題になって、賛成・反対の意見が出るものがあります。
  一方、マイナンバーは一部の反対意見の他はほとんど話題になりません。
  マイナンバー通知書を配るのにも、アベノマスクを配るのにも税金が使われています。
  マイナンバーと預金口座の口座番号と紐付けようとしていることからみても、
  マイナンバーの目的は徴税ではないかと思われます。
  もし、徴税が目的なら、曖昧な利便性を宣伝するより、ストレートに、徴税の公平性を訴えるほうが、
  マイナンバーの利用が広まるかもしれません。
  世界全体がデジタル化している中で、旧来の考え方で、行政のデジタル化を進めようとすると、
  行政のデジタル化の弊害が顕在化するかもしれません。
  
  例えば私は、銀行のワンタイムパスワードを表示するアプリは、古い携帯端末だけに導入して、
  家でPCで処理を行う時にだけ使用しています。モバイルで使えないので不便ですが、
  振込などは、家でしかできないことにして、不便を許容することで、携帯端末を落とした時のリスクを軽減しています。
  このように、利便性や個人情報保護の安全性を個人で判断して、各自が希望する形で利用できるようになるのが、
  本来の行政のデジタル化です。すべての行政手続きを1枚のカードを携帯することで行う、発想自体が
  時代遅れのように感じます。
  マイナンバーカード以前の住民基本台帳カードの時代から含めると、1枚のカードを身分証明書として使用し、行政手続き
  を行うという発想は10年間かわっていません。
  スマートフォンの機能は10年間に急速に進歩していますし、2台持ちの人も増えています。
  ウェアラブル端末を持ち歩く人も増えています。
  すでに割り当てたマイナンバーは、そのまま行政の事務手続きに使うとしても、
  現在のモバイル情報機器の現状にあわせて、マイナンバーカードを発行して、マイナポータルで手続きを行うという
  発想を根本から見直すことも含めて議論を深めるべきです。
  ふるさと納税では、総務省と地方自治体の対立など、かなり議論があることで、内容を知っている人が多いのにたいして、
  マイナンバーカードについては、国民総背番号制とか、国家が情報統制を行うなどの過激な議論と、
  総務省のテレビCM以外、具体的な内容はほとんど話題になりません。
  まず皆が何を希望しているのかの、根本的な議論が必要です。将来、携帯端末にマイナンバーカードの情報を
  導入することについても、携帯電話会社は安全で便利ですとしか言いませんが、
  PINナンバーでアクセスが管理されているとしても、一部の古い機種では、SIMカードを抜き取った状態で、
  パスコードなしでWi−Fiで使用できる端末がありました。具体的な利便性と落とした時に他人が使用するリスク、
  新しい携帯端末で使用できるまでの日数とその間の不便を具体的に示して、
  各自が自分にふさわしいマイナンバーの使い方を考えるための情報を提供すべきです。
  
  マイナンバーカードに関して新しい動きもあります。民間のアプリで会員登録にマイナンバーカードを
  使うものが現れました。従来の方法は、運転免許証と自分の顔の写真を撮って送っていたので、
  マイナンバーカードのICチップの情報とパスワードだけで会員登録できれば便利です。
  会員登録の安全性が確保されているので、毎回使用する時も、マイナンバーカードのICチップの情報とパスワード
  により利用できるはずです。マイナンバーカードを携帯端末に保持できるようになれば、
  ひとつのパスワードを記憶しているあるいは保持しているだけで、多くのアプリに安全にアクセスできるようになります。
  本当に安全が保証されるのなら、健康保険証や運転免許証として使用できることよりはるかに大きな
  マイナンバーカードを利用する動機づけになります。機能をわかりやすく説明すべきです。
  
  民間だけでなく、例えば、選挙の際に、マイナンバーカードを提示すれば、全国どこからでも投票できるという
  ようなことも考えてみるべきです。本人だということを確認する機能に問題はないはずで、
  一回だけ投票したことも確認は容易なはずです。住民票を移していない20才台の人の投票率のアップにつながります。
  もちろん誰が何処に投票したかを絶対に追跡できないことが、大前提になりますが、
  このような具体的な事項について議論を深める必要があります。
  
  マイナンバーカードを、すでに3人に1人が所持しているそうですが、この先所有する人が増えるかどうかは不明です。
  デジタル化に限らずあらゆる事業活動は、利用者が、これは便利だ使ってみようと思うことが推進の原動力になります。
  天気予報は、誰でもただで毎日入手できるのが当たり前と思っています。有料の天気予報アプリが広まるとは思えないのですが、
  実は、3、000万人程の利用者が居ます。予報が詳細でかつ精度が高いのと、スポーツイベントなど、
  企業に対する売り込みが上手だったのが、広まった理由だそうです。
  民間のアプリは、利益がでなければやめるというのが大きな歯止めになります。
  しかし、行政のアプリでは、同じ内容で、表紙を替えるだけで、毎年予算が確保できると考える人が居ます。
  マイナンバーカードは、個人情報の漏洩のリスクもさることながら、
  持っていたら、使ったら便利だったという体験をした人が少ないのが問題です。
  住民基本台帳カードがなぜ広まらなかったか、マイナンバーカードは何が違い、何が出来るのかを、
  誰でも納得できるように説明するところから始める必要があります。
  誰も、必要性を感じないものはやめるという選択肢も含めて、多くの人の意見を聞く必要があります。