列車ダイヤについて -- 3ー54 縦割りの弊害と予算・決算の話
2021年10月15日
3ー54 縦割りの弊害と予算・決算の話
行政改革担当が替わったので、縦割りでもよいことになったのかどうかはよくわかりません。
しかし、縦割りの壁・国境の壁・バカの壁などは、無いなら無いほうが良いです。
国の一般会計の予算案が出来上がると、一斉に報道されます。
しかし、決算についてはどのようになっているのかあまり報道されません。
決算の報告はもちろん行われています。
憲法に、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、
その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と規定されています。
また、財政法には、「内閣は、歳入歳出決算に、歳入決算明細書、
各省各庁の歳出決算報告書及び継続費決算報告書並びに国の債務に関する計算書を添附して、
これを翌年度の11月30日までに会計検査院に送付しなければならない。」と規定されています。
現在(2021年10月15日・令和3年10月15日)、最新の決算は、令和2年11月20日に
国会に提出された、令和元年度の決算になり、令和2年度の決算は概要が公開されています。
いずれも財務省のホームページで見ることができます。
歳入と歳出について、総説・一般会計・特別会計・政府関係機関について公開されており、
さらに、国の債権の現在額総報告、国の債務に関する計算書等の説明と付表が公開されています。
詳細に記述されており、国の財政状況がよくわかるかというと、私にはさっぱりわかりません。(個人の感想です)
こういう決算書をみていると、各省庁とも、国全体の財政状況より自分が関係する部分の決算を良くしようという
縦割りの壁ができるのではないかと思います。(個人の感想です)
決算書についての解説は後回しにして、私でもわかる財務書類について先に説明します。
民間企業の財務諸表として、令和3年6月23日に提出された、JR東海の有価証券報告書を見てみます。
会社のホームページでも、金融庁のEDINETのシステムでも見ることができます。
最初にどこを見るかは自由ですが、私は、第5 経理の状況から見ます。
例えば、連結貸借対照表の、建設仮勘定の数値が、令和2年3月末には、8,900億円だったものが、
令和3年3月末には、1兆1千億円あまりになっています。中央新幹線の工事がどのくらい進んでいるかわかります。
個別財務諸表の附属明細表の有形固定資産等明細表には、
建設仮勘定の当期増加額の主なものは、中央新幹線 品川・名古屋間建設です。と記載されています。
中央新幹線建設長期借入金が、3兆円で、中央新幹線建設資金管理信託が設定されています。
中央新幹線の建設の推進のため、鉄道・運輸機構より資金を借り入れ、分別管理を目的として信託を設定していることも
記載されています。中央新幹線建設長期借入金については、5年以内に返済すべき金額が無いことも記載されています。
中国の恒大集団の負債のように、毎週返済を迫られるような状況ではないこともわかります。
次に、東京都財務局から、令和3年9月に発表された、新会計制度に基づく、
普通会計財務諸表、全体財務諸表、付表を見てみます。
公会計は、予算に基づかないと支出できない、一般会計が単年度主義である、道路建設のように
収益を目的としない事業があるなど、民間企業とは異なる点があります。
しかし、地方自治体の新会計制度は、複式簿記を使っていること、財務諸表の表示の形式が
民間企業のものに類似しているなどの特徴から、分りやすいです。
JR各社になる前は、鉄道事業は国鉄(日本国有鉄道)によって行われていました。
国鉄が経営破綻した理由について、JR各社初代社長の方々のインタビュー記事などでは、
よくふたつの理由があげられます。
ひとつは、鉄道建設公団が新線を建設し、それを国鉄が運営したことで、
建設グループは建設のことだけを考え、国鉄は運営だけを行い、設備計画に参加できなかったことです。
ふたつめは、収益と費用の測定がずさんだったことです。
各線区の収支係数をつかって、経営状況を判断したのですが、
北海道のローカル線では、年一回の調査期間中に、北海道周遊券を持った人がひとり利用するだけで、
収益が倍になることもあったそうです。
また、間接費は、一括して線路の営業距離に基づいて配賦されたため、
北海道のローカル線に、都会の複々線の区間の何倍もの間接費が配賦されたそうです。
そして、3月の決算から半年以上もたったころ、実態をまったく反映しない、
各線区の収支係数が発表されるので、経営の意欲がわかなかったそうです。
それから30年以上経っているので、もう国の経済システムにそのような問題はないかというと、
そうでもありません。
高速道路は、独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構が所有しており、
道路管理会社が高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を行う場合において、
道路整備特別措置法に基づき当該高速道路について行うその道路管理者の権限の代行その他の業務を行うとなっています。
長期的将来には、この法人は解散し、高速道路は、道路管理会社の資産になりかつ、高速道路の
通行料は無料になるそうです。
現在も、サービスエリアの商業施設などは、高速道路管理会社の資産で、事業活動に使用されています。
問題は、道路の部分の扱いです。
本来は、国道と同じ国土交通大臣が所有するものですが、現在はこの法人が代行して保有しているそうです。
道路は固定資産税が課されません。これは市道などで、市が市に税金を払うのでは事務経費が無駄なので、当然です。
国道も同様で、駅の自由通路のように公衆の通行の用に供するものにも固定資産税は課されないので整合性がとれています。
しかし、高速道路は通行料を徴収します。鉄道・運輸機構が所有する整備新幹線には固定資産税が課されます。JR各社の
収益事業に使われるからです。長期的将来には無料になるといっても、管理費・修繕費は必要です。
あるいは通行料の収入が、無駄な高速道路の新設につながるおそれもあります。
高速道路事業全体の経理の状況が一元的にわかる報告書がないことで、組織がそれぞれ自分の組織を守ることに
つながるおそれがあります。
国の特別会計の歳出総額は、およそ500兆円(純額で およそ250兆円)で、そのなかには、
国債償還費等(およそ100兆円) 社会保障給付費(およそ70兆円、法律に基づく給付そのものを指し、事務費等は含みません)
があります。
国債はいっさい発行してはいけないというのも実情に合わないと思いますが、無限に発行しても良いというものではありません。
まず、中央新幹線建設長期借入金のように詳細がどうなっているかを開示し、議論をしなければなりません。
一般会計の社会保障費、特別会計の社会保障給付費、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、日本年金機構の
業務の内容や、財務諸表等を見ても、将来の年金給付がどうなるのかわかりません。
日本の年金全体がどのようになっているのかがわかる報告書を開示し、議論をしなければなりません。
国の予算は、4月から翌年3月までの12ヶ月ですが、出納の閉鎖は4月末です。これは予算案が可決されない場合に、
翌年度予算が執行できないからなどの理由によります。
4月に帳簿をとじてから、3ヶ月かけて、期末の修正仕訳にあたる処理を行い7月31日に歳入歳出主計簿の締切りをおこない、
それから会計検査院の検査を受けます。
民間の上場企業等の場合、3月期決算の会社では、6月末に有価証券報告書を提出します。
さらに証券取引所のルールとして、決算後30日以内、
遅くとも45日以内に決算短信を開示することが望ましいとされています。(決算の45日ルール)
つまり、4月末には、業績の概要が明らかになります。
さらに、有価証券報告書にも、法定開示の他に、適時開示・任意開示の制度があり、所定の重要な決定事項などは、
迅速に開示する仕組みがあります。
国の財務書類についても、歳入歳出決算の他に、一般会計財務書類と連結財務書類が財務省のホームページで開示されています。
半年以上経ってから、歳入歳出決算書に基づいて国会で審議するのではなく、迅速にわかりやすい財務諸表について審議してほしい
と思います。国の会計も、徴税に関しては、基本が申告期日までの現金納付、口座引落しの場合は、1ヶ月あまり後でも良いというように
迅速なのですが、給付は迅速でなく、さらに決算が皆が忘れるのを待っているのかと思うほどゆっくりです。
岸田首相の所信表明演説で、「新しい資本主義」が発表されました。
どのようなものかよくわかりません。(個人の感想です)
新しい資本主義は、小泉首相以来の新自由主義の経済とは異なるといわれています。
安倍首相のアベノミックスは、レーガノミックスの流れを継ぐ、新自由主義の経済だと思っていました。
安倍内閣も「成長と分配の好循環」を掲げていたので、違うのかもしれませんが、
トリクルダウン理論の説明もあったので、分配のやりかたは、岸田首相とは異なると思います。
「新しい資本主義」について、「成長と分配の好循環」「成長も分配も実現するため政策を総動員する」と聞くと、
「成長と分配の好循環」と同じなのかとも思います。
一番知りたい、安倍・菅内閣の経済政策を変更するのか継続するのかがわかりません。
小泉政権では、経済再生・財政再建はこの順番であって、まず経済を再生しなければならないと言われたことがありました。
岸田政権では、次の成長のためには分配しなければならないとすると、今の成長のためにも分配が必要です。
結局まず分配をやろうとしているのかが、曖昧です。
説明しないのも問題でしたが、丁寧に説明しても、真意は不明というのも同じレベルで問題です。
賛成か反対かは次のレベルの問題として、主張の内容・主旨は明らかという時代もありましたが、
岸田政権の新しい資本主義の主旨が、賛成・反対の前提となる、主張の内容が明らかでなければならないというレベルで意味不明です。
新しい資本主義の内容があまり具体的になっていないのなら、逆に幸いです。
通常国会で、4月になったら、すぐに令和3年度の決算のレビューをはじめてもらいたいです。
単式簿記のほうが簡潔で良いとか、集計に時間がかかるというのは、
経理を紙と鉛筆と暗算と筆算で行なっていた時の話です。
経理こそ、民間ではすでにデジタル化の恩恵を十分に受けている分野です。
行政のデジタル化は、役に立たないアプリや役に立たないカード(個人の感想です)を配布することではなく、
まず経理の迅速化に取り組むべきです。
4月1日には、期末の修正仕訳を除く部分で、連結財務諸表が作成されているのが、現代の常識です。(個人の感想です)
四半期開示は負担が大きいので見直すという発言がありましたが、発想が逆のような気がします。
過去には、銀行は、1円でも勘定があわないと帰宅できないという話がありました。
原因は、手書き伝票の書き間違い・読み間違いなどが多く、最初の入力から、デジタル化を徹底したところ、
現在は勘定があわないケースは大幅に減少したそうです。
経理も同じで、行政手続きが何段階もの下請け構造になり、しかも手書きで時間をかけてやっていると、誤謬が発生します。
誤謬が頻繁に発生して、原因解明が出来ない状態になると、それに紛れて不正を行う者があらわれます。
財務諸表の開示についても、四半期開示を負担なしに行う仕組みをつくるべきです。
国庫の出納の閉鎖が4月末というのも、原則3月末にして、最小限の例外的手続きを定めるべきです。
常に、帳簿がふたつ開いた状況が存在すると、会計の期間帰属が曖昧になり、処理の曖昧さにまぎれて、
不正を行う動機づけになります。
3月末に帳簿を閉じて、4月1日に財務諸表が完成するような自動化された仕組みがあれば、
不正が紛れ込む余地がなくなります。
令和4年度の本予算が可決されたら、長期の休みをとって、次に集まったら令和4年度の補正予算を審議するというのを
改めて、通常国会を長期に延長して、4月1日から、直ちに令和3年度の決算のレビューを開始し、
あわせて令和4年度の予算に基づく事業の進捗状況のレビューも開始すべきです。
持続化給付金や雇用調整助成金の不正受給者については発表がありましたが、「中小企業デジタル化応援隊事業」の
不正疑惑については、具体的な発表がありません。警察で捜査が行われていることなどを理由に、
皆が忘れるまで待ってから、形式的な発表をするようなやり方を改めるべきです。
経理の日計や週計の情報を集計するのは、現在のシステムなら簡単です。
日々の予算と実際の進捗状況の表を作成して公表し、短いPDCAサイクルを頻繁に回すことが、
日本の強みともてはやされた時代がありました。日本が2周回遅れといわれ、イノベーションが重要
といわれるようになると、過去の日本の強みはすべて悪いものとされるようになりましたが、
良いものは引き継ぎ現在に適応するかたちで継続すべきです。
過去のやり方はダメで、イノベーションが必要だというだけで、過去のやり方を実行しているのが一番ダメです。
民間企業では、決算日から2ヶ月以内に、株主総会の承認を得て確定した決算に基づく法人税申告を行わなければなりません。
会計監査人の監査を受ける等の理由が有る場合でも3ヶ月以内に申告しなければなりません。
会計監査人の監査では、無限定適正意見が得られるように、健全な経営を行う努力をします。
コンビニでは、POSレジを導入して、分単位で在庫を管理することで、無駄な在庫の削減が可能になります。
このように管理会計の情報を財務会計と有機的に結合して経営の効率化をめざします。
POSレジにより、各店とセントラルキッチンさらに輸送中の在庫の管理をするのは、
コロナ患者の病床の使用状況をリアルタイムで管理するのと、同じ考え方です。
令和元年の秋に考えた予算に基づいて、令和2年の4月から令和3年の4月まで出納し予算を使い切り、
7月末になってやっと主計簿の締切りをおこない、令和3年の11月になってから、
納税も配当も行う必要がないので、決算の中身はどうでも良いと思っている(個人の感想です)、
会計検査院に何を言われても何も改める気が無い(個人の感想です)人が集まって決算の審議を
行なっても何のアウトプットもでません。
来年どのような新しいIT技術が出てくるかもわからないのに、5年先のクラウドシステムの絵を描いて
予算を獲得するのでは、何のアウトプットもでません。
一度やると決めたら、鉄道のダイヤと同じで、分単位・秒単位で、実施ダイヤと実行ダイヤの差異の分析をおこない、
日々の業務の進捗状況を分単位で管理し、集計・報告するシステムを構築し、残業ゼロで行い、
予実管理に結びつけることで、無駄を廃し、日々発生する新しい事象に対応した改善策を考案することで、
ボトムアップ的に日本型の新しい資本主義の内容が具体的になると思います。