列車ダイヤについて --  3ー49 マイナンバーを有効に活用しよう

                                      2021年9月10日  

    3ー49 マイナンバーを有効に活用しよう

  
  「マイナンバーを有効に活用しよう」というのが今回のコラムです。
  「マイナンバーカードを有効に活用しよう」ではないことに注目してください。
  どうしても、細かなことだけが気になって、肝心なことが気にならない人がこのコラムを書いています。
  しかし、マイナンバーとマイナンバーカードには、大きな違いがあります。
  マイナンバーカードの普及率は30%余りなのに対し、
  マイナンバーは、ほとんどすべての人に割り当てられています。
  マイナンバー通知書は無効になりましたが、マイナンバー自体は無効になっていません。
  
  マイナンバーを、ほとんどすべての人に割り当てることにも税金が使われており、
  すでに5年以上経っています。すでにいろいろなところで、有効に利用されていて当然です。
  マイナンバーカードが普及しないから、有効に利用できないと言っている時ではありません。
  
  マイナンバーカードが普及しないから、マイナンバーを有効に活用できないと言っている人の発想では、
  万が一にマイナンバーカードが普及しても、やはり有効に活用できないと言うための新たな理由をみつけて、
  予算を獲得し続けることになると思います。
  
  運転免許証は、成人に限れば、多くの人が持っています。
  運転免許証にもICチップが付いており、写真も付いています。
  以前から考えていたことですが、運転免許証の番号と、マイナンバーをシステム的に内部で結合し、
  運転免許証をマイナンバーカードとしても使えば良いのではないかと思います。
  
  最近埼玉県内の保健所で、コロナ感染者のカルテを作るのを失念するという問題が起きました。
  マイナンバーカードがあればこのような問題は起きないという人がいますが、
  そうではありません。
  最初の保健所で、健康保険証の確認はしているはずです。
  システム上で、健康保険証の番号と、マイナンバーを紐付ける仕組みがあれば、感染者の一元管理は可能です。
  逆に、マイナンバーカードを確認していても、感染者を一元的に追跡する仕組みがシステムになければ、
  問題が起きます。もともとコロナ感染者の統計情報を管理するはずだったシステムを使って、
  急遽、感染者の健康管理をしようとするところに無理があります。
  マイナンバーカードさへ普及すればすべての問題が解決するような認識だと、仮に普及しても、
  皆が使い始めた時点で問題が発生するだけです。
  現行の各システムにどのようなデーターが収納されどのように利用されているのかを理解していないと、
  役にたつシステムはできません。出来上がったシステムには必ず、抜けが発生します。
  
  色々なメーカーが納品した、地方自治体のシステムをクラウド基盤の上に、5年かけて再構築するそうですが、
  同じクラウド上のシステムなら、自動的に情報共有できるということはありません。
  システムのなかにどのようなデーターがどのようなフォーマットで収納されているかを調査し、
  必要なデーターフォーマットの共通化を行わないと、情報の共有はできません。
  住民票や戸籍のシステムで、氏名の読みがなが任意になっているのを、必須にするような
  地道な活動を確実に行なって、データーの整合性を確保しなければなりません。
  
  現在のシステムのデーターフォーマットを自治体の人が正確に把握していれば問題ありませんが、
  結局、納入メーカーに問い合わせないとわからないとなると、
  クラウド基盤の上に構築するシステムが現行システムのベンダーが全て参加する、マルチベンダー体制に
  なります。以前のシステムのベンダーがまちまちだったので、統合システムの開発がマルチベンダー体制になり、
  責任の所在がはっきりしないのが、トラブルが相次ぐ原因というのは、最近よく聞く銀行のシステムの話ですが、
  自治体システムでも同じことが起こるリスクがあります。
  
  色々な事が、後手に回るというのは最近2年間位毎日のように聞く言葉です。
  先手をとったのは、GoToトラベルなど、極わずかです。
  先手を取れば必ず結果が良くなるというわけではなく、後手に回ったもののなかでも結果が良くなったものもあります。
  
  1990年台、東京近郊のJRの信号システムと列車運行管理システムは、後手に回っていました。
  規模が大きく複雑過ぎて、自動化出来ていませんでした。東海道本線の上下ホームがそれぞれふたつある、横浜駅などは、
  駅の中にポイントを動かすためのシステムがあり、デザインなどをする人が使うドラフターのような板に、
  ダイヤグラムを貼り付けてあり、定規をずらしながら、次の列車にあわせてポイントを切り替える人がいました。
  そのような状況の中で導入された、ATOSの運行管理システムは、ダイヤ管理システムと駅の進路管理システムを
  分けるという画期的なシステムでした。導入当初こそトラブルが相次ぎましたが、ダイヤが乱れた際の案内などに
  威力を発揮し、現在では無くてはならないものになっています。
  
  同じように後手に回ったものに、JR貨物の給与計算システムがあります。
  乗務手当の計算方法が特殊で、カストマイズなしに要求を満たすパッケージソフトは無く、
  国鉄時代のソフトが使われていました。さらに、新システムの開発を請け負ったベンダーが、
  カストマイズの見積もりを誤り、システムが予定通り完成せず、訴訟になりました。
  その後、なかなか開発を請け負う会社がなく、長いこと国鉄時代のソフトを改修しながら
  使いつづけることになりました。
  
  後手に回ったわけでは有りませんが、計算基準が複雑でわかりづらいと頻繁に議論になるのが、
  JR貨物がJR旅客会社に支払う線路設備使用料の計算です。
  アボイダブルコストという、JR貨物が使用しなかったら、発生しなかったはずのコストを払うという
  考え方ですが、実際は、例えば、軌道使用料は、機関車走行キロによって計算するとか、
  電車線路設備の電気関係施設使用料は機関車が使っているパンタグラフの数に走行キロ数をかけたが量を元に
  計算するなど独自の基準です。第三セクターの路線では計算方法が異なるし、JR旅客会社でも会社によって
  微妙に異なるようです。
  
  一般的な話として、一見システムに問題があるように見えるけれど、実はもともとの業務手順に、
  はっきりしない部分があったということがあります。
  行政システムでは、システム化以前の手順をいっさい変更なしに、システム化しようとして、
  結局出来上がったシステムが実際には使われていないということがあります。
  
  Suicaのカードはよく使われているカードです。カードに使われている技術も大事ですが、
  成功の秘訣は、カードの位置づけにあります。
  定期券でなければ、盗難等のケースでも事前にチャージしていた金額以上の被害はありません。
  無記名式のカードなら個人情報はほとんど保存されていません。
  記名式のカードなら、盗まれたカードを無効にして、新しいカードを発行することもできます。
  1人で何枚でもカードを所持できるという仕組みも、発行者側の管理を簡単にしています。

  COCOAのシステムは、バグがあったために話題になりましたが、そうでなければ、
  役に立たないシステムを開発し、導入のためのプロモーション活動を行い、
  役に立っていないのに、保守費用を払い続けていることが、話題にもならないという、
  悪い行政システムの標本になっていました。
  COCOAで使われている、Bluetooth Low Energyの技術はウェアラブルデバイスでも、
  使用可能です。現在体育の授業の時は、万が一感染者が出た時、濃厚接触者を判別するために、
  先生が、スマホ動画を取り続けているそうです。ウェアラブルデバイスや、スポーツ選手の養成の際に用いる
  Real time Kinematic の GNSS デバイスで接触や、位置確認をするほうが
  はるかに容易で、かつデーターが正確です。
  屋内では、スマホで複数の Wi−Fi のアクセスポイントの電波の強度を測定することで、
  誰が何処に居たかの記録をとることができます。同じ仕組みはオフィスでも使えます。
  プログラミングの授業では無理でも、パソコンクラブ・同好会などには、
  十分プログラミング可能な技術をもった学生・生徒が居ると思います。
  個人情報を保護するといっても、同じフロアーで仕事をしている人が感染したら、
  周りの人はわかるし、逆に感染拡大防止のために通知しなければなりません。
  プログラミング技術のみならず、個人情報保護の実際についても学習できます。
  
  霞が関のオフィスで、現場を見ずに、法律のみ見て、デジタル化の仕組みを考えている人は、
  何か問題があると、そのシステムについては、極力話題にならないようにして、
  新しいシステムを作るための予算の獲得を考えます。
  現行システムの改善は、現状を分析しないと提案できませんが、一から画期的なシステムを
  作るといえば、誰でも提案できます。問題のある悪いシステムを作り続ける、プロジェクトマネージャー
  の思考パターンです。
  COCOAのシステムについての徹底的な検証を行わなければ、今後作る行政システムは、
  すべて失敗するといっても過言ではありません。(もし、どんどん良いシステムがでてきたら、
  ここで言ったことは忘れて、新しいことを言います)

  ATOは、列車の自動運転のシステムで、20世紀から使われています。
  通常、電車のマスターコントローラーのブレーキは7段とか8段のものが多いですが、初期のATOの電車
  では、20段から30段にする必要がありました。オーバーランすると思って人間が介入した時、通常の
  ブレーキと異なるので慣れて無くてうまく操作できないというトラブルがありました。
  相互直通運転を開始するにあたって、従来の7段とか8段のブレーキの車両に、ATOをとりつけたときにも
  初期不良が発生しました。山手線のインテロスという制御システムを使った電車にATOをとりつけたときにも
  初期不良が発生しました。そのたびに情報を公開し、報道陣も同乗する公開試運転などを経て、
  順調に使用されています。
  
  ITについて考える時、シンギュラリティーのような、20年30年を考えた議論も大事です。
  一般的なシステムの使用期間である5年間を考えた議論も重要です。
  あわせて、初期故障の内容を公開し、対策をたてるための議論も重要です。
  5年間を考えていかに予算を獲得するかの議論に専念し、COCOAのシステムのように
  不具合が発生すると、皆が忘れるように、誰も使って無くても話題にせず、
  次のシステムの予算獲得に専念するということを繰り返していては、
  失敗つづきのデジタル化になります。(ひょっとすると成功するかもしれません??)
   
  マイナンバーカードも、事前に、どのような業務にどのような仕組みで利用するかを
  ユーザーの意見を反映して決めておく必要があります。
  マイナンバーカードを持っているだけで、ほとんど使っていないという人もいますが、
  それなりに使っているという人も居ます。
  事業所得の確定申告を行なっている人は使っている人が多くいます。
  マイナンバーカードを使って、eTaxで確定申告を行うかどうかで、
  青色申告控除の額が変わります。控除額については、eTaxでおこなえば、従来通りで、
  それ以外の人が不利になりました。
  しかし、レシート等の帳票書類を保管しておくだけでよく、台紙に貼り付けて提出する必要がないというのは、
  現実的にはかなり手間を省くことができます。
  
  マイナンバーカードを徴税のために普及させようとしているというなら、それを説明して、
  どのように便利になるかを説明するべきです。
  徴税というとイメージが悪くなるので、
  特別給付金の給付に便乗して、銀行口座の登録を進めるというようなやり方が、
  非常に悪いやり方です。
  
  マイナンバーカードは、マイナポイントで一時的に話題になっただけで、その後は普及率はあまり上昇
  していません。運転免許証をマイナンバーカード相当の身分証明書にできないか、
  番号の連携を希望する人のみ連携する、もちろんマイナンバーカードが好きだという人には、
  運転免許証とマイナンバーカードを発行する、あるいはマイナンバーカードのみ所持するようにします。
  未成年の人には、本人や親が希望する人に、マイナンバーカード
  を発行することにして、マイナンバーカードの位置づけについて、学校で話し合うなど、
  まず、利用者が納得して使おうとする仕組みをつくることが、あらゆる行政手続きのデジタル化に
  欠くことができません。