列車ダイヤについて --  3ー44 鉄道会社の経営について考えること

                                      2021年7月20日  

    3ー44 鉄道会社の経営について考えること

  
  鉄道会社を経営したことはありません。鉄道会社で働いたことも、取引をしたことも、
  桃太郎電鉄もやったことはありません。(??)
  鉄道を利用することはよくあるので、経営についても利用者として考えてみたというのが今回のコラムです。
  
  1.大都市近郊の鉄道
  
  東京近郊の鉄道も、コロナウィルス感染症の影響で、利用者が落ち込み、
  働いている人の賞与の額が減額されるなど、大きな影響がでています。
  
  しかし長い目でみると、経営にそれほど大きな影響はないのではないかと思います。
  
  あくまで、利用者としての感覚ですが、
  定期券の利用者が落ち込んでも、それほど利益は減らないのではないかと思います。
  定期券の利用者は、ほぼ毎日利用してくれることで鉄道会社には大事な存在ですが、
  運賃が半額あるいはそれ以下なので、利益への貢献が少ない面もあります。
  朝のラッシュ時に利用が集中するので、混雑緩和のための設備投資が必要になることを考えると、
  他の利用形態で利益が確保できるのなら、定期券の利用者が落ち込んでもかまわないと
  考えている鉄道会社もあるかもしれません。
  
  東京メトロの東西線や、東急田園都市線のように、朝のラッシュ時に混雑で困っている線区では、
  あまり言わないだけで、利用者が多少減っても良いという面もあるかもしれません。
  2040年から2050年頃まで、利用者が増加し、その後減少するというのは、
  鉄道の地上設備の法定償却年数が60年のものが多いことを考えると、中途半端です。
  2018年度以上の利用者数になることはないとすれば、それに応じた経営計画を立てるという
  ことになるかもしれません。
  
  国土交通省が7月9日に発表した2020年度の都市鉄道混雑率調査結果によると、
  3大都市圏主要区間の混雑率は2019年度と比較して20ポイントから60ポイント位大きく低下しましたが、
  それでも平均で100%を超えています。まともな姿になったとも言えます。
  
  羽田空港アクセス線のような新路線開業の計画があります。
  東京オリンピック・パラリンピックでサッカーの試合がおこなわれる、鹿島サッカースタジアムまで、
  観客輸送の臨時列車が計画されたことがあったように、大量輸送では、鉄道は他の輸送手段で代替不可能な
  強みがあります。
  JR東日本の車内でビジネスを行うための車両や、JR西日本のクルーズトレインの食事のルームサービスなど、
  コロナ禍が開発のきっかけになったサービスもあります。
  
  2.地方の鉄道
  
  地方の鉄道でも、コロナウィルス感染症の影響で、利用者が落ち込んでいますが、
  その影響は、大都市近郊の鉄道の比でなく、会社の存続が危ぶまれるレベルのものがあるようです。
  
  もっとも、すべての区間で、タヌキしか乗っていない位ガラガラというわけではなく、
  同じく都市鉄道混雑率調査結果によると、JR信越線の新津から新潟間、JR可部線の可部から広島間では、
  混雑率が130%を超えて、2020年度では、田園都市線の池尻大橋から渋谷間より混雑しています。
  鉄道の大量輸送のメリットが発揮されている区間もあります。
  
  全体的に見て、移動の自由を確保するために、税金の投入を含めて、地方の公共交通の体系を考え直す時期が、
  コロナ禍をきっかけとして早まったようです。
  
  1986年に鉄道事業法が公布される以前は、地方鉄道法という法律がありました。
  その第二条には、
  「地方鉄道ハ人力又ハ馬力其ノ他之ニ類スルモノヲ以テ動力ト為スコトヲ得ス」
  「地方鉄道は、人力又は馬力その他これに類するものをもって、動力となすことを得ず」
  と規定されていました。
  もし、現代も使われていれば、時代錯誤の条文が数多くあって扱いに困ったと思います。
  地方鉄道法が、最初に施行されたのは、1919年です。
  しかし、1921年に施行された、軌道法、1901年に施行された鉄道営業法は、
  今も有効です。
  鉄道営業法も、漢字カナ体で記述されています。
  鉄道事業者の人は、それなりに読み込んで理解しているのでしょうが、
  一般の鉄道利用者は、とても読みこなすことはできません。
  
  鉄道事業法は、漢字ひらがなで記述されているので、読むことはできます。
  しかし、鉄道事業者のための法律です。
  
  鉄道利用者や一般の人が、自分の移動の自由は法律でどのように保証されているのか
  知ろうとしても、何を見るとよいのかわかりません。
  
  法律の制定を含めて、地方の鉄道を含む公共交通のあり方を議論する時期になっています。
  
  3.新規の鉄道の開業
  
  全国新幹線鉄道整備法に基づく新幹線の建設を始めとして、
  新しい鉄道の建設の計画があります。
    
  東海道新幹線を建設した当時のテレビドラマを見ると、よくでてくるシーンがあります。
  島秀雄技師長が、総額3,000億円とする東海道新幹線の建設費の見積もりを、
  十河信二総裁に提出すると、1,500億円で見積もりをやり直せと言います。
  1,500億円の見積もりで国会の承認を得て、工事を開始し、実際の工事費の総額は、3,800億円になりました。
  
  当時は、インフラが圧倒的に不足していて、各種の建設計画があった、インフレ率が高く、
  その後の減価償却費の経営への負担が軽かったので、当時としてはよく使われた手法です。
  
  今回の東京オリンピック・パラリンピックの開催経費のニュースを見ていると、その頃の
  レガシーを引き継いでいる人が計画しているのかと思います。
  
  新しい鉄道を建設すべきでないと言っているわけではありません。
  例えば、山形と秋田の間を鉄道で移動しようとすると、
  特急「いなほ」が走っていた昭和の時代より、今のほうが遅くなっています。
  山形と秋田の間の新しい鉄道や新潟と秋田間の新しい鉄道、あるいは
  北海道新幹線の、新函館北斗駅と在来線の函館駅の間の、複線の片側の線路を
  標準軌の幅にして、札幌と函館の間に、シャトル便を走らせるとか、
  新しいアイディアがあります。
  現在は、単線でもそれなりの輸送量を確保するIT技術も確立されつつあり、
  新しいアイディアを取り入れて、全国新幹線鉄道整備法を見直すのがよいのではないかと思います。
  日本列島改造論の時代に制定された法律をそのまま維持するための仕組みを考えるより、
  新しい法律を制定することも含めて、新規の鉄道の開業についての全体像を見直すべき時だと思います。
  
  
  ここからは、鉄道の話題に限りませんが、今こそやり方を抜本的に改めるべき時だという
  話題をとりあげます。
  
  自動車工場では、ジャストインタイムシステムにより、部品の調達と生産管理を行なっています。
  およそ3万点の部品で、構成される自動車が、止まることなく順調に生産されています。
  現在では、自然災害があっても、生産を止める決定がされ、一部の部品が足りず、他の部品が
  在庫の山になるという事態をさける工夫がされています。
  
  ワクチン接種のためのV−SYSやVRSのシステムをみていると、ジャストインタイムシステム以前の
  レガシーシステムを使っているのかと疑いたくなります。
  全国レベルのワクチン接種のペース(例えば1日120万回)を忖度して、各自治体でのワクチン接種のペース
  を制御して欲しいというニュースだけを聞くと、そもそも司令塔がダメなんだという気持ちになります。
  しかし、実際に国のワクチン接種の責任者の方が、テレビに出演して、全体的な方針を話し、
  さらに、治療の現場の医療関係者の方と、若い人が重症化すると病床を専有する期間が長くなるというような現状について、
  意見交換をされている報道をみると、いろいろ納得できることがあります。私がいろいろ考えることがあったのですから、
  実際に、コロナウィルス感染症に関わる仕事をされている人が同じ報道を見ると、
  何倍も貴重な情報が得られたと思います。
    
  デジタル化が推進することで、業界を横断する形でベストプラクティスの利用が推進されるのではないかと思います。
  
  新幹線の場合、3ヶ月毎の臨時列車の運転計画が発表される時点で、運転することの目処が立っています。
  列車の編成の数が、100本か200本だから、簡単だということはありません。
  いつ工場に入れて検査するかとか、前の日にどこの車庫に収容しておくかなど、すべて実行可能なことを
  確認しておく必要があります。
  鉄道が止まると大変ですが、翌朝からダイヤ通りに動くだけで相当すごい事だと思います。
  人間が考えているのだと思いますが、量子コンピューターなら、人間並みに予定をたてることができるかもしれません。
  
  機械工学や建築工学の分野では、設計図面が大事で、設計図面をみれば、どのような製品ができるのかが、
  かなり確定的にわかります。
  ソフトウェアーの場合そうはいきません。私の場合、機能仕様書をみても、本当にシステムが完成するかどうかわからないまま、
  開発を進めていました。また完成した後でもどのようなシステムが出来上がったのか理解していませんでした。(??)
  
  3Dプリンターも、かなり生活を変えるものになり得ると思います。
  家をまるごと3Dプリンターでつくることができるようになるのがいつになるかは、わかりません。
  しかし例えば、システムキッチンの水道の蛇口が不良になった時、交換するための部品の型番をみつけるのが
  けっこう大変です。 3Dプリンターが広まれば、家とすべての部品の、「3D CAD」の図面を受け取っておけば、
  全く同じ部品をつくることができます。
  水道の蛇口が不良になってシステムキッチンを取り替えようとしたら、サイズがあわなくてヤケクソになって、
  家のリフォームをするなどということがなくなれば、SDGsの観点からも望ましいことです。
  
  業界の垣根を超えた、ベストプラクティスがフィードバックされ、いろいろな分野でイノベーションが起きるとともに、
  ITシステムの開発にも、他の業界のベストプラクティスがフィードバックされ、新しい手法が利用されるようになると思います。  
  その際、IT技術はもちろん重要な要素ですが、それにも増して重要なのが、
  どのような姿勢で業務を行いどのようなシステムを開発するかです。
  
  東京都で、4回目の緊急事態宣言の事態に際して飲食業者への「協力金を先渡し」するという報道がありました。
  常識的に、「協力金を先渡し」すると言えば、緊急事態宣言が出る前に協力金を払いますということだと思いますが、
  実態はそうではありません。
  マイナポータルに集まっている、税務に関する情報を用いれば、請求しなくても、
  協力金を払うことができるのではないかと思います。
   
  行政のデジタル化の場合では、誰のために、なにが重要だと考えて、職務を遂行するかの姿勢が
  そのまま、ITシステムに反映すると思います。

  小学校で、プログラミング教育が始まるのも、ITリテラシー向上の良い機会です。
  スマートホンで、ゲームとSNSを行い、卒業までに、パソコンでExcelの使い方を覚える
  というのを聞いていると、20世紀にTSO(タイム シェアリング オプション)でホストコンピューターを
  利用していた学生のほうが、ITリテラシーが高かったのではないかと思います。
  行政システムがクラウド化されるのが良い機会なので、日本政府専用のリージョンの開設を要求して、
  学生はアカデミックディスカウントでクラウドを利用できるようにするとか、
  富岳を学生が幅広く使えるようにすることで、ITリテラシーの向上が期待されます。
  
  また、民間企業の監査では、使用される会計基準は、日本の会計基準は
  度々変更がおこなわれて、限りなくIFRSの会計基準に近いものになっています。
  しかし、内部統制監査において、ダイレクト・レポーティングを行わないという点は
  アメリカとは異なります。
  日本のやり方がダメだというのではありませんが、これほど重要な点が
  諸般の事情で一度決まると、その後はほとんど議論することがないというのが良くありません。
  このようなことを続けていて、それに基づいて作成されたITシステムが一度完成されると、
  業務手順は、完成したITシステムに基づいて行わざるを得なくなります。
  
  2020年度の予算は、コロナ禍のため3回の補正予算を組み、当初予算102兆円が73兆円増え、
  総額175・7兆円になりましたが、結果的に2021年度への繰越金が30兆円あるそうです。
  お金が余っているのなら、積立基金が底をつきそうな地方自治体に配れば、
  もっと有効に活用されるのではないかと思います。
  単式帳簿をはじめとする理解が困難な仕組みを維持し、資料は、加工して再利用することが
  困難なように、pdfフォーマットで添付するということをあらためて、
  もっと透明性を確保しなければなりません。
  単式帳簿の根拠となる法律を説明してほしいと言っているのではなく、法律を改めて欲しいと言っています。
  そのためには、予算案が決まる年末の時期だけ大騒ぎして、結果のレビューには興味を示さないという
  報道姿勢にも問題が有ります。
  行政のデジタル化を絶好の機会ととらえて、国の財政状況を10年20年のスケールで比較分析できる手段や、
  各自治体の財政状況を格付け分析するとしたら必要となるような資料を、公開する仕組みにしなければなりません。
  
  行政のデジタル化では、IT技術の議論と共に、それにも増して、行政手順や、政治体制の議論が
  必要になります。
  「正直は最良の策」という元地方自治体の組長をされていた方の言葉が、
  デジタル化の時代になってさらに重要性を増していると思います。