列車ダイヤについて -- 3−38 マイナポータルは、やはり期待を裏切りませんでした
2021年6月6日
3−38 マイナポータルは、やはり期待を裏切りませんでした
まず、今回のコラムのタイトルを説明します。
ふたりのコンビの刑事が出てくる、有名なテレビドラマがあります。
初代相棒の時、注意力が散漫になるなどのミスをした時、「君は、やはり期待を裏切りませんね」
というシーンがありました。相棒がかわって最近はあまり聞きません。
それと同じ気持ちで使っています。
何があったかを説明します。
携帯端末を買い替えたので、マイナンバーカードを読み取って、マイナポータルを使おうとしました。
以前の端末は、NFC(Near Field Communication 、近距離無線通信)をサポートしていませんでした。
新しい端末は、NFCをサポートしているので、さあ使おうということで、QRコードを読み取って、マイナポータルAPのアプリ
をダウンロードしようとしましたが、なかなか出てきません。しばらくして事情が理解できました。
新しいAndroid端末を、マイナポータルAPのアプリがサポートしていないのです。Google Playのサイトでは、
通常の検索では、その端末で使えないアプリは除いてリストが出てきます。
最近、コロナウィルス感染症の、ワクチン接種券が送られてきました。
市役所のプロジェクトチームの人は、大変な状況のなかでいろいろ苦労されていると思います。
しかし、予約サイトが、「君は、やはり期待を裏切りませんね」状態です。
ワクチン接種券に同封してある予定表では、7月8月に接種日があるのですが、
Web予約サイトには、8月の一部の接種日しかでてきません。
すべての接種日に空きあり、残りわずか、空き無しの記号があるはずですが、
なぜか、8月の一部の接種日しかでてきません。
Web予約のメリットとして、全体の接種場所のスケジュールを確認して、自分に都合の良い、場所と日付を
絞り込もうとしたのですが、それができません。まず、接種券番号、生年月日を入力して、
Myサイトを作り、続いて、接種場所を選択しなければ、接種日の選択ができません。
場所を選び直そうとすると、ページのリンクが途切れますというエラーがでます。
結局8月の表示されている日付で予約しました。
コロナウィルス感染症の、ワクチン接種に関しては、大規模接種の予約サイトに関する報道について、次のような発言がありました。
A:「極めて悪質な妨害愉快犯と言える。」
K: 「悪質な行為であり、極めて遺憾だ。厳重に抗議する」
「二重予約はやろうと思えばできてしまうが、くれぐれもしないでほしい」
もし、K氏が、あそこの基地は攻めようと思えば攻められる、くれぐれも攻めないでほしいというと、非常にまずいと思います。
報道関係者が、報道の公益性に関連して、A氏の発言を批判しているのは重要なことです。私が、注目した点は少し異なります。
実際にシステムを構築する人達が、A氏やK氏に忖度してシステムを作らないと、受注できないと判断すると、
利用者のことを考えたシステムを作らなくなるのが非常に良くないと思います。
最初にあげた、マイナポータルAPのアプリですが、apkファイルをダウンロードして、自己責任で導入して稼働した
という記事は、かなり出ています。やってみようかと思いましたが、やめました。
A氏やA氏に忖度する人達が、「極めて悪質な妨害愉快犯と言える。」と判断するかもしれないと思ったからです。
さらに、マイナポータルのサイトは、Windowsか、MacOSでないと使えません。 Linuxを使っていると
サポート外の環境ですという警告がでます。
マイナポータルAPが、内閣府番号制度担当室 が作ったアプリだということを一旦忘れて、
どこかの民間企業がつくったアプリだったら、使うか使わないかと観点で、レビューの星の数なども考慮して、
マイナポータルは使わない事にしました。
COCOAのアプリでもAndroid端末で、バグが出たので、行政のディジタル化は、
りんごをかじるだけにして、ケーキやかき氷はやめることにしたということではないようです。
マイナポータルAPのアプリがサポートしているAndroid端末もあります。
今のままでは、マイナンバーカードを健康保険証や運転免許証として登録するのにも支障がでますが、
民間企業のサービスと異なり行政のディジタル化では、とくにすべての人に公平にサービスを提供
することに重点を置いてほしいと思います。
税金を使って作るシステムなので当然ですが、それだけでなく、
Linuxを使っている人はサポート外にして、できるだけ指摘を受けないシステムを作ろうという、
何かトラブルがあってもそれはユーザーの使い方のエラーだという姿勢で、システムを作っていると、
システムを使う人の数も増えないし、問題が起きて品質の良いシステムができないということが起こりがちです。
企業のトップが、開発している製品のデザインに口をだすことがあります。
以前、テレビでみたのですが、鉄道会社の社長さんと車両のデザイナーが議論していました。
観光列車の窓側を、子供用の小さなサイズの椅子にしたいといっています。
しかし、それでは座席を回転させた時、通路側になる。転換式の回転しない座席では、特急車両としての
格が維持できなくなるのではないかと議論していました。
座席を回転させると、窓側の席が通路側になることは、社長でなくても、設計課長でも素人でもわかります。
しかし、社長が議論することで、観光列車にとって座席がものすごく大事なものだという考え方が伝わります。
一方、システムの開発で、最初の会議に企業のトップの人が出席して、
「次期システムは信頼性の高いシステムにしてください」と言うひとがいます。そのなかの一部に、
2回目の会議にも3回目の会議にも出席して、聞けば聞くほど、システムがわやになるようなことばかり言うひとがいます。
例えば、K氏が、防衛に関連するシステムだけはお金と時間をかけてテロ対策をするが、
それ以外のシステムは、テロ対策は考えず、突貫工事で作れば良いと考えていると、
それに忖度して、適当なシステムを作る人が現れます。
病院も石油のパイプラインも、食肉工場もすべてテロ攻撃の対象になります。
ワクチン接種のためのシステムが必要なことは、去年からわかっていたことです。
防衛省に話がきたのが、先月だからシステムを突貫工事でつくるのが当然だと思っている人は、
縦割りの弊害に気付くことができない人で、トップにいる限り、次回も
突貫工事で、テロ攻撃の対象になるようないいかげんなシステムを作ることを指示します。
最近、カップラーメンのシールがなくなって、耳がふたつつきました。
このように、SDGsのために高価になったり、不便になったりするのではなくて、
楽しんで、SDGsができるような設計は、日本のお家芸です。
しかし、デジタルが関わると、とたんに事情が異なってきます。
例えば通販サイトですが、aからzに矢印が付いたサイトをよく使います。
最近日本のサイトを使ってみたのですが、不便です。
まず商品選択の画面で、商品が画面のトップに大きく表示されるという当たり前のことが出来ていません。
注文を確定した時点で、配達日がいつからいつまでの間になるという情報がでてきません。
発送したというメールが来て、通販サイトをみると、どこの配送業者で現状がどうなっているという
当たり前の情報がでてきません。
通販サイトで、発送手配中となっていたのですが、突然配送されました。都合よく家に居たので、
結果オーライでしたが、その日の夜になって、発送したというメールが来て、通販サイトをみると、
配送済になっていました。システムを設計する時、
発送のメールを送る機能が有るか無いかのレベルでしか議論していないのかもしれませんが、
利用者にとっての価値は、メールを送る日が一日違うだけでまったく異なります。
ITシステムだけの問題ではなく、自社の倉庫があるかないかなど、事業全体の議論をしないと
解決しないのかもしれません。
株式時価総額を取り上げて、GAFAは、絶対王者であるというような議論があります。
しかし、商品を発送したメールを送るタイミングなど、意外と地味な改善が、
現在の評判につながっています。
Microsoft社と同じころに創業した有名なシリコンバレーのIT企業で、
すでに吸収合併で社名が無くなった企業もあります。
Microsoft社も創業から20年程した、Windows95を出荷した頃、
向かうところ敵なしのように見えましたが、意外とそうではなかったようです。
2005年ごろ、新しい、Windowsを出荷する時、CEOの人が、
Windows95以来のインパクトのある製品と表現したことがあります。
10年間、Windows95を上回るインパクトのある製品が出荷できてないとしたら、
一大事です。思わず出た言葉でしょうが、GAFAも事業活動のなかで、
カップラーメンのふたつの耳のような地道な改善を日々行なっています。
最近、東海道新幹線の定員が減りました。車椅子で利用できる数が、2席から6席に増えたからです。
1992年の300系の車両以来、JR東海の新幹線の車両の各号車の定員はまったく同じだったので、
大きな変更です。
東海道新幹線のダイヤは、3ヶ月毎の臨時列車のダイヤを発表する時点で決まっていますから、
列車が足りなくて運転できないということはありませんが、どの列車がどの車両になるかは、
当日の朝にならないとわかりません。だから車椅子で利用できる数が、2席から6席に増えた車両も、
増えた部分については、当日にならないと予約できません。
さらに、列車が遅れたりすると、日中に使用する車両が変わることがあり、対応しなければなりません。
車椅子の席の隣の席や、近くの席を予約したい人も居ますから、
共通していない部分は、座席マップからはずし、当日になって予約できるようになるそうです。
車椅子で利用できる数が、2席から6席に増えるのは、N700Sの編成のうち、今年度から生産されるものです。
昨年度造られた、N700Sの編成については、3年後の全般検査の時改造されるのかもしれません。
このように、ITシステムの問題を独立して議論していては課題は解決しません。
全体の業務手順のなかで、ITシステムについて議論しなければなりません。
行政のディジタル化についても、内閣府の担当室がアプリをリリースするより、
例えば、さとふるのように、ふるさと納税の運営に必要となる企画と関連業務を一括して代行
するような民間会社のほうがスムーズにいくような場合もあると思います。
一方で、道の駅で、ふるさと納税の手続きが可能で、その場で返礼品も受け取ることができるという
サービスも始まりました。その場所についての関心も深まるので、良い取り組みです。
最初の、刑事もののテレビドラマですが、オーベルジュがでてくる回で、
「君の舌は、時として、君自身より優秀ですね」という場面があります。
そう言われても、褒められているのかどうかよくわからず、あまりうれしくありません。
しかし、ITシステムを考える時、特に行政のディジタル化について考える時は、
逆転満塁ホームランで、一気に世界のトップになろうというような発想ではなく、
地道に、業務手順を見直していく作業が必要になると思います。