各種のコラム -- 3ー162 政治資金管理の透明性を確保する
2025年3月10日
3ー162 政治資金管理の透明性を確保する
自民党の政治資金の裏金問題が発覚して以来、政治資金制度改革に関して
何回か、コラムを書いています。
今回、政治資金管理の透明性を確保するというタイトルでコラムを書くにあったて、
政治資金の裏金問題に関して、過去の犯罪に関する調査も不十分だし、これから、デジタル技術を活用した透明性を確保した
政治資金収支報告書を作るであろうという期待ももてないという気持ちは変わっていません。
今回のコラムでは、政治資金管理以外の分野で、IT技術を活用していろいろな観点で、
透明性の確保が図られるだろうという事例と、現状が行き詰まっていて改革も図られないのではないかという領域を取り上げます。
まず、IT技術の活用で社会の変革が起きるかもしれないという事例からとりあげます。
SDV(Software Defined Vehicle)に関して、スマホのようにクルマのソフトウェアーの
アップデートで機能の向上が可能になるという面が取り上げられますが、その他にも、多くの要素があります。
そのなかで、入力に対してすぐに出力が得られるという面を取り上げます。
Windowsのパソコンを使っていて、マウスをクリックした時、すぐに反応することもあれば、
くるくる回るマークになってしばらく反応しないこともあります。
クルマのオーディオであれば、Windowsパソコンの感覚で問題ないかもしれませんが、自動運転に
かかわるような事項ではとても許容できないという事もあります。
説明のための事例として、加速度センサーによる計測を取り上げます。
加速度センサーが、SPIインターフェースで繋がっている時、SPIインターフェースのクロックや、
信号がチップセレクトの状態になった時の正確なクロックレベルでの時刻を知りたいこともあります。
また、仮に1秒間に1,000回測定するとして、X−Y−Z軸の合計3,000回のデーターを
16ビットのサインドインテジャーから、0.326m/sec*secや9.8602m/sec*sec
などの値に変換する時、ソフトウェアーでは、3,000回のデーターを変換するための正確な時間は
わからないこともありますが、アーキテクチャーが公開されているマイコンなら、FPGAの上で
動作を再現して、設計ツールで回路のクロックレベルで、最初のデーターが変換されるまでには6クロック
かかるが、パイプライン処理で、3,005クロック時点で処理が終了するというようなことを
確認できる設計ツールなどの環境が急速に整備されてきています。
クルマ全体を制御する大脳のようなシステムや、心臓や内蔵のように、大脳からの命令がなくても
決まった範囲での決まった処理をするようなマイクロシステムなどを含めた全体の動きをシミュレーションするような
ツールも登場してきています。
最近のAI技術の発展には目をみはるものがありますが、これからは、多くの産業分野で、AI技術の活用が発展し、
さらに大きな社会の変革をもたらします。
例えば、タンパク質の合成や創薬の分野でのAI技術の活用が話題になっていますが、治験の分野でも、
AI技術の活用が期待されます。今より少ない治験数で、新薬が非常に効果的なグループや、副作用のおそれがある
グループを選び出すことが可能になるかもしれません。今すぐに効果が得られるということではないとしても、
将来は大きく変わるかもしれないという期待があります。
また、AI技術の活用が新しい物理の法則の発見に結びつくかもしれません。
中央リニア新幹線の試験線で新しい車両の表面に、リブレットフィルムを貼って、鮫肌にすることが話題になっています。
流れが剥離して車両の後に方大きな渦が発生すると、抵抗になるとともに発生する騒音が問題になります。
どのように制御された流れの剥離を起こして、予期せぬ渦の発生を抑止するかについては、流体力学の方程式を解いても、
満足する結果が得られるとは限りません。1990年代に有限要素法の流体力学への適用で、
風洞実験の回数を減らしても、効果的な実験結果が得られるようなシミューレーション技術と組み合わせる方法が
確立したように、AI技術の活用で、液体水素でも定常的に超流動の状態を作ることが出来るとか、
突然の渦が発生する乱流の状態の解析が進んで、風洞実験の回数を減らしても飛行機の翼のような複雑な形状の物体周りでの
渦の発生の解析が可能になったり、さらに進んで、新たな物理法則の発見に結びつく可能性もあります。
東北新幹線で、「はやぶさ・こまち」の連結が走行中にはずれるという事故が起きました。
昨年に続いて2度目の事故なので、徹底的な原因究明が必要です。前回の事故は、
”こまちの車両製造時の切りくずとみられる金属片が原因”と発表されました。製造後10年近く経って
なぜあのようなことが起きるのか疑問でした。今回も「こまち」側に原因がありそうといわれていますが、
前回と同様「はやぶさ・こまち」の事故です。前回は、JR東日本のE5とE6、今回はJR北海道のH5とJR東日本のE6
で事故が起きています。山形新幹線で連結運転が始まってから、30年以上経っているので、
E6系固有の問題なのか、時速320キロで運転することで、経年変化が起きたり、連結部分に発生する
風の渦が影響することはないのかなども確認する必要があります。それから、事故が起きたとき、
必ず、前側を走っている列車と後側を走っている列車の距離は広がって停車する仕組みがあって、
ぶつかることはないのかも知りたいところです。
事故後すぐに、原因が明らかになるまで連結運転を全面的に中止するとしたのは、正しい判断です。
事故はもちろん起きないようにすべきですが、このような事故後の対処も重要です。
さらに、列車の遅れに対応した案内や、事故の原因がすべてJR東日本側にあったのなら、
「はやぶさ」の遅延によってJR北海道側に発生した費用も含めて、関連費用は、JR東日本の
支出とするが、万が一JR北海道の車両に原因があったのなら、一部の費用を負担するなどの
事務的な処理も正確に行わないと、資本関係のない会社間の利益の移転につながり、
脱税につながる場合もあります。
一方で、現状が行き詰まっていて改革も図られないのではないかと懸念される状況もみられます。
テレビなどのマスメディアは、SNSなどとの比較でオールド・メディアと呼ばれることも有ります。
しかし、テレビとYouTubeを比べると、どちらも映像の間に流されるCMから得られる広告収入が、
主要な収益源であり、同じメディアであるともいえます。
テレビの再放送の場合、元通りの映像を再生すれば良いわけではありません。
CMは新しいものにする必要があります。誰がいつ再生するかわからない、YouTubeでは、
どのCMを流すかの選択はさらに複雑になり、人間がかかわって選択するのは事実上不可能です。
テレビの再放送の場合、個人的には、昔のCMのまま再生するのも面白いと思いますが、
実際は、現在入手不可能な製品の宣伝でも良いのかとか、現在の価格と異なる宣伝をしても良いのかなど、
多くの問題が有ります。SNSサイトでは、主要な収益源であるCMに関して詐欺行為が疑われるような
CMが再生されたことが問題になっています。巨大なデーターセンターを基盤とする、
SNSなどの業界全体が、オールド・メディアに分類される状況になり、
新たな業界発展の具体的な取り組みが見られない状況です。
テレビはアンテナを建てて見るというのが一般的ですが、難視聴地域などのために、NTTの、光ファイバー回線を使って
地デジ放送を含めたテレビを視聴する仕組みがあります。一つはフレッツTVとか光回線TVとよばれるシステムで
月額、850円です。もう一つは、ひかりTVと呼ばれるシステムで、今はもっと安いプランもありますが、
基本の通常料金は、2,750円で、さらに受信のための専用の機器をレンタルする必要があります。
NHKプラスなど、インターネット回線があればテレビ番組を受信できる状況のなかで、
NTTの、光ファイバー回線を使ってテレビを視聴する仕組みに関して、このようなまぎらわしい仕組みが存続する
理由が理解できません。
携帯電話の契約に関しても釈然としない状況があります。
全体最適の観点でみれば、端末の料金と、回線使用料を分離し、ひとつの回線をできるだけ継続的に使用して、
契約変更などの事務処理の費用の発生を防ぐほうが、事業者にも利用者にもメリットがあります。
しかし、実際は、他の会社から、利用者を奪うための料金プランなどが多く作られています。
ただし、基本的に他の会社から、利用者を奪うことで事業を推進しようとしている新規参入者のなかにも、
期待できるものがないわけではありません。例えば「メルカリモバイル」で、
アプリ上でデータ通信量を個人間売買できる機能などが目新しいところです。
携帯電話事業以外の分野ですでに事業を行っている会社の場合、注目される点があります。
業種は異なりますが、日本の鉄道会社の中には、本州のJR各社のように、先進的な技術を
鉄道会社が中心になって開発している例があります。航空機の場合は、世界的に有名な航空機製造メーカーがあり、
輸送会社は、基本的に完成品の飛行機を購入する形態です。日本の鉄道車両の製造メーカーのなかにも、
特定の鉄道輸送会社との関連ではなく、世界的に車両を納品しているメーカーもあります。
このように、IT技術を活用して社会の変革を起こすといっても、技術的に新しいものを開発してイノベーション
を起こすことだけではありません。本業と新規事業のシナジーにより、事業分野のエコシステムのなかで、
キーストーン種になるというのは、統一的な定義があることではなく、それぞれの事業者が考え出すことです。
アメリカは、フェンタニルが医療用の正規のルートではなく、違法なルートで販売されていて、メキシコの違法な麻薬製造グループが
かかわっているとして、メキシコからの不法移民を取り締まったり、メキシコに関税をかけています。
しかし、これは間違った対応です。アメリカで違法なルートで麻薬を販売すれば、膨大な利益を得ることができるという
仕組みがある限り、供給元をいくら取り締まっても無駄です。
コロンビアのメデジンは世界最恐の都市と呼ばれるほど治安の悪い場所でしたが、現在は観光地となっており、
麻薬組織の取締りが功を奏したと言われていますが、アメリカで、違法に麻薬を販売して、莫大な利益がえられるという
状態が変わらない限り、中南米で違法な麻薬栽培がおこなわれる土壌があります。
最近の世界情勢をみると、国連の総会で人口に関わらず各国が1票を持っているという基本的な仕組みに対する
挑戦といえるような事がおきています。
最後に、このような観点で、政治資金管理の問題を見直してみます。
30年前に、政治資金管理の問題が顕在化した際には、選挙制度の見直しなど、事態を根本的に
変革しようというような議論がありました。
結果的にすべての問題が解決したわけではありませんが、今回の政治資金管理の問題で、
収支報告書の改ざんの根本原因は、選挙資金では無いかというような、皆が知りたがっている事に
関する議論が何もおこなわれません。
与野党とも、政治資金管理の問題を自分の党の選挙活動を有利に導くための手段と考えていて、
民主主義はいかにあるべきかという観点で議論している様子がみられません。
「はやぶさ・こまち」の事故のように全面的に連結運転を中止するとか、事故の関連費用の負担に関して
税務上問題のない処理を行うなど、問題の重大性を自覚して、徹底的に原因究明を
行う姿勢が重要になります。
株式会社の株主総会では、出資額に比例する議決権が与えられますが、選挙では一人に一票が与えられます。
しかし、投票率の低さや、選挙運動の現場では、コアな支持者のサポートを確実なものにするための、
選挙カーによる名前の連呼や、支持者へのもてなしが欠かせないなど、多くの問題があります。
これは選挙制度の根幹にかかわるだけでなく、民主主義の危機ともいえる問題を含んでいます。
もう期待はできないといってあきらめるのではなく、なんとかしなければいけません。