各種のコラム -- 3ー158 税と教育と社会保障の一体改革を!
2025年1月25日
3ー158 税と教育と社会保障の一体改革を!
今回のコラムの、「税と教育と社会保障の一体改革を!」というタイトルは、よく話題になる社会保障と税の一体改革
のパクリではないかと思われるかもしれません。答えは明白です。パクリです。
日本国憲法第二十六条には、
第1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
第2項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
義務教育は、これを無償とする。
と定義されています。
親の経済状況にかかわらず、その能力に応じて、無償で、ひとしく教育を受ける権利を有することは、
将来の日本の国力の向上に資することです。
年金や、医療保険などの社会保障は、高齢者の生活を保証する面が多いので、どうでも良いかというとそうはいきません。
給与から社会保険料を控除されても、文句をいわないのは、将来高齢者になって、給与を得られなくなっても、
生活が保証されると思うからです。現役世代の働く意欲を向上するために、社会保障は欠くことが出来ません。
まず教育ですが、大学を卒業するまで、学校給食を含めてすべて無償で教育を受けることができるくらいの
思い切った政策も可能性のひとつとして検討に値します。
一方で、大学に行く人と行かない人との公平性や、経済的に豊かになると、教育への支出を拡大しても
それに比例する効果がえられなくなることも課題になります。
教育は何を目指すのかの具体例として、今年から大学入学共通テストに新設された「情報I」について考えてみます。
個人の感想としては、60分で、33ページの問題を読むのは大変だと感じました。
そんなことで困っていては受験生はつとまらないかもしれませんが、速読の能力があることが、
思考力があることなのかというのは疑問です。とくに日本語が母国語でない人にとってはかなり苦痛だと思います。
工芸品を作る工程に関するプログラミングの問題ですが、人間デバッガーが出来るような能力が
本当に必要なのか疑問です。何年プログラミングの勉強をしても、C言語のポインターがわからない人(私のことです)より、
人間デバッガーが出来る人のほうが優秀で、コンパイラーの設計をするような専門家には必須の条件かもしれませんが、
凡人なら、受験勉強の時のやり方で机の前で、うなっている人より、どんどんprint文を追加して、
プログラムが何をしているかを理解する能力のほうが役にたちます。
今年の問題ではなく、サンプルの問題ですが、AND回路やOR回路の出力を考える問題がありました。
しかし、実際の回路ではどんなシンプルな回路でも、出力を得ることができるのは、1クロック後です。
少し実際的な規模の回路なら、AND回路やOR回路や2進数のビットシフトが暗算でできても、あまり役に
たちません。論理合成の後は、シミュレーションで、横軸が回路のクロックに基づく時間のチャートで、
波形がどうなるかを検討します。アキュムレーター(加算器)の回路で、1クロック毎に入力する値の合計を求める回路で、
入力信号に対して、どの時点で、リセット信号をオンにしてどの時点でオフにすれば、正しく最初の要素から加算出来るかは、
たとえ、仕様書と回路図を机の上に置いて考えれば、動作が動画のように頭に浮かぶという人でも、
シミュレーションで確認するはずです。受験勉強の速読と国語の「てにおは」の能力を使って、理系の人間
が行うことはすべて自分の頭の中でシミュレーション出来ると言って、会議でがんばる人がいますが、
プロジェクトの進行を阻害するだけの人です。
プログラミングのデバッグはシングルコアで逐次処理をすると仮定して行いますが、実際のCPUはマルチコア
で並列処理です。スループットの向上と結果の同一性をともに保証するコンパイラーの設計をするような人は、
暗算でこのような状況が理解できる能力が必要かもしれませんが、凡人は、筆算で計算して机の前で
悩んでいるよりとにかく動かしてみて、何が起きるかを見るほうが大事です。
個人の感想ですが、高校の情報の教育は、このような受験勉強のために行うより、小学校の延長で、成績とは関係なく
情報処理が面白かったというような経験をするほうが重要ではないかと思います。
例えば、歩数計のアプリを作ってみるのも面白いです。まずステップカウンターのAPIを使ったプログラミングで、
歩数を計測します。続いて、加速度センサーの値から自分でプログラミングして、歩数を計測してみます。
OSの、HAL(Hardware Absorption Layer)の機能の重要性が理解できますし、
超優秀な一部の人を除いては、とにかく歩いてデバッグすることになるので、健康的です。
ここまでできたら、あとは自分で課題を見つけて、例えば、平地と上り坂、下り坂で、歩幅が変わるかの
計測などを行います。
受験勉強のように、出された問題の解答を見つける能力も重要ですが、自分で課題を見つける能力も
同様に重要です。あるいは、スペクトログラム(声紋)を表示するプログラムも面白いです。
地震の波形を分析するのも貴重ですが、いつ地震がくるかわかりません。自分の声ならいつでもデーターが入手できます。
フーリエ変換はライブラリーを呼ぶと簡単にできます。クラスにジャイアンが居ると、デバッグの時に
皆が保健室に避難することになるかもしれませんが、ジャイアンも画面で確認すると納得して、
街が平和になるかもしれません。
公認会計士試験の勉強をした時、繰り返し、不得意科目をつくるな不得意分野をつくるなと言われました。
各人の個性を伸ばす教育とは逆行するかもしれませんが、不得意科目をつくるな不得意分野をつくるなには納得しました。
それは、試験に合格するための勉強なので、試験にあわせて勉強しなければいけません。
そして、なぜそのような試験になっているかは、それは公認会計士に求められる重要な条件だからです。
会計監査の時に、自分が得意な分野を重点的に監査するのは、間違えたやり方で、被監査会社全体を見て、
リスクが高いエリアを重点的に監査しなければなりません。
公認会計士試験では問題文を速読で理解する能力と、電卓で正しく計算する能力が必須です。
一方US CPA(米国公認会計士)の試験では、問題文は英語ですが、一般に日本人でも
読むのに苦労するような難解な文は無いし分量的にも時間内に十分に読みこなせるほどの量です。
大学入試も、日本語で試験を行うとしても日本語が母国語で無い人も受けられるような問題にする時代だと思います。
大学での教育は、特定の資格試験の勉強などより、バリエーションが広いので、関係者が十分に
議論して、入試のやり方や教育の内容を決める必要があります。
20年ほど前、公共のプロジェクトで中央省庁から出向で参加していた人が、「ITは金食い虫で、役にたたない」
と言っていました。20年経ってもあまり現状は変わっていない部分があります。
マイナンバーカードを使ってコンビニで住民票を印刷しても、月に1回の健康保険証の確認でよかったのに、
毎回マイナンバーカードを使って受付をしても、便利になったとは感じません。
大学入試の成績が優秀で、公務員試験の成績も優秀だったかもしれませんが、そのあとは勉強しなかった人が、
システムの要件定義をしているような印象です。
税金、年金、医療保険など、それぞれ法律に基づいて運用しているので、公会計の”お財布会計”を行う
必要があります。金額の合計が一致しているから別の費目で支出して良いということにはなりません。
以前は、”お財布会計”を行うためには、組織も分けて、入金・出金の事務処理をおこない、会計の口座も
完全に分ける必要がありました。しかし、今は、個人と1対1で連携したマイナンバーが存在し、システムで
管理されています。物理的に別の組織で、入金・出金の事務処理をおこなわなくても、
システム上のバーチャルの世界で、個人毎の徴収額と支給額を計算することができます。
税務署と年金事務所というように、物理的に複数の窓口を設置する必要はありません。
マイナンバーカードの申請や、マイナポイントの申請で、市町村の窓口が混雑しますが、
本来マイナンバーによる行政事務の効率化は、中央省庁をはじめとした、行政組織内の事務処理の効率化
にもっとも効果があらわれるはずです。入試問題で、ITのクイズを解くのは得意でも、
IT技術が現在の業務にどう役立つかを考えるのは不得意な人が多いのかもしれません。私は昔風の分類でいえば
理系ですが、専攻は情報系ではありません。IT分野では、マサチューセッツ工科大学のメディアラボで
開発された技術が、5年ほどで自分のPCで実現出来るものがあるのが楽しくて、情報系の仕事につきました。
ただアプリを動かしてみたというだけで、もちろんメディアラボの先生のような技術開発をする能力を
身につけたということではありません。自分のPCで試してみて動かなかったら、黙っていれば良いだけで、
リスキリングを特に意識したことはありませんが、会計システムにかかわるようになったので、
会計の勉強をすることにも、授業料をどうやって払うかということの他はそれほど抵抗はありませんでした。
中央省庁の人と話すと、忖度などの技術を身に着けていて、とても自分には出来ないと思うような
優秀な人が多いのですが、いくら専攻が精密機械の分野だったとしても、ITのプロジェクトにかかわったのなら、
自分はITはきらいだが、プロジェクトのマネージメントの能力があるというのをやめて、
とにかくPCを使ってみればよいのにと思うことがありました。
リスキリングの推進などのパケージをまとめるより、まず自分がリスキリングしてみるという
発想がない人がいました。
政治資金改革についても、将来は政治資金管理の透明性が確保されるという確証がえられません。
バンダナを巻いた大学の先生は、何度か指摘されていますが、政治資金規正法
第二十一条の二 何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附
(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。
2 前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。
に規定があるように、政治団体に対しては寄付できますが、政治家個人に対しては寄付できません。しかし、
政党から政治家個人への寄付は例外的に認められています。政治家個人は政治資金収支報告書の提出義務は
ありません。政治家個人が自らが代表をつとめる政治団体に寄付して
寄附金控除の適用を受けていたことが問題になり、政党からの寄付の原資となる、政策活動費についても
議論がありましたが、この政治資金規正法の例外規定を削除しようという指摘は野党からもでません。
どうしても、政治資金収支報告書に記載できないお金を政治家個人に支出しなければならない事情があって、
派閥からのキックバックは単なるカムフラージュだったのではないかという疑問があります。
政治資金規正法の改正に期待できないのなら、政治資金の管理システムを、RDB(関連データーベース)
を使った、ERPのようなシステムにし、さらにSQL/JSONファンクションのJSON_TABLEを使用して、
JSONデーターをRDBのカラムに投影し、ビューを作成することで、
取引データーとRDBシステムと報告書の連携が簡単に検証できる形にする必要があります。
会計データーでは、JSONではなくて、XMLやXBRL形式を用いることが多いので、具体的な
方法はさらに検討する必要がありますが、ITシステムの利用で、外部の第三者組織が
会計処理の妥当性をいつでも検証できる形にする必要があります。
トランプ大統領が、就任演説で、「掘って、掘って、掘りまくれ!」というのを聞くと、品格が感じられませんが、
本人はともかく、大統領の周りには、優秀な人が何人か居るはずで、それほど埋蔵量が潤沢ではない、
シュールオイルを価格維持の方針から、「掘って、掘って、掘りまくれ!」の方針に変更するのは、
直ちに再生可能エネルギーのみの世界に移行できない現実のなかで。良質なLNGの供給を増やし、
短期的には、ロシアの天然ガスの重要性を下げるなど、戦略的に考えられた方針かもしれません。
トランプ大統領の、Make America Greate Againという演説を聞く度に
思い出したのは、人民の人民による人民のための政治というリンカーン大統領の演説です。
トランプ大統領の、発言には、人民のための政治(for the people)に相当する
誰のためにおこなうのかという部分がありません。自分のためなのか、側近のためなのか、共和党のためなのか、
アメリカのためなのか、世界のためなのかについては何も発言していません。
”Why Japanese people”という人がいますが、私は今回のアメリカの大統領選挙について、
”Why American people”と言いたいです。イギリスのブレグジットの判断のように、
数年経てば、アメリカ国民は今回の判断を必ず後悔することになると思います。
また日本では、「ルールを守る」「国民を守る」といっても、本当に守りたいのは、政治資金の裏金問題に関連して
自分たちの事だけなのではないかという印象で、「日本を守る」ことに対する戦略性が感じられません。
高齢者の割合が増加するのは、今の日本ではしばらくは変えることはできませんが、
大学入試の時点までは優秀でも、それ以降はジェットコースのように転落するのみの日本人が多い現状では、
未来に希望がもてず、「楽しい日本」にはなりません。
税と教育と社会保障の一体改革を、実施して、「明るい日本」にする必要があります。