各種のコラム --  3ー151 健康保険証の発行がまもなく終了します

                                      2024年11月1日  

    3ー151 健康保険証の発行がまもなく終了します	
    
     現行の健康保険証は12月2日に廃止(新規・再発行終了)され、マイナンバーカードと
    健康保険証の一体化(マイナ保険証)を基本とする仕組みに移行されます。
   10月27日の衆議院総選挙で与党が過半数割れの結果になりましたが、依然自民党が第一党であることには
   変わりありません。今の所、現行の健康保険証 廃止の方針を覆すという具体的動きはありません。
    今ここでコラムでとりあげて、何かが変更されるということではありませんが、いろいろと課題が指摘される
    マイナ保険証について、あらためて考えてみたいと思います。
    
   健康保険証とマイナンバーを紐付けるという基本的な考え方には、私は賛成です。
   メリットがどれほどあるかは、現状ではあまり明らかではありませんが、将来的に、個人個人の診療記録を
   参照して医療分野の活動に活かすという基本的な考え方には、賛成です。
   
   しかし、今回の 現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行するという、
   業務の進め方には反対です。
   診察のたびに、受付のために、マイナンバーカードを持参するという業務手続きに反対です。
   
   一言で言えば、マイナンバーカードを健康保険証としても使うという考え方に反対で、
   健康保険証を持参すれば、健康保険証にマイナンバーが紐付いていて、希望する場合マイナンバーを使って参照した、
   過去の診療記録にアクセスすることができるという仕組みにすべきだと思います。
  
  現在の健康保険証には、写真がないため、不正利用など多くの問題があるそうです。
  それなら、現行の健康保険証の改善を考えるべきです。
  群馬県で行われている、交通系ICカードとマイナンバーの連携でも、登録した後、利用する時は、
  交通系ICカードを利用します。
  現在の健康保険証には、健康保険組合の名称が表示されているので、保険証を見ると、自己負担の割合などがわかります。
  しかし、マイナ保険証では、マイナンバーカードには何も表示されていないので、読み取り機で読み取り、
  マイナポータルから情報を得ないと、自己負担の割合などがわかりません。
  現在の健康保険証を使って、今までのように受付したい人はそのままできるが、電子処方箋を受け取りたい人は、
  健康保険証にマイナンバーを紐付いておく必要があるなど、マイナンバーとの連携による追加のサービスを使いたい
  人は、いままで以上のサービスが利用できるようにすべきです。
  そのようなやり方では広まらない、使う人にとって魅力がないところに、マイナ保険証事業の進め方に
  根本的な問題があります。
  厚生労働省の人がすべて、健康保険証とマイナンバーの紐付けを行い、一部の医療機関で、マイナンバーカードを持参
  しての受付や、試験のために発行するICチップ付き健康保険証による受付、マイナンバーカード機能を搭載した携帯電話に
  よる受付、顔認証による受付、さらに診察券との連携方法など各種の実証実験をおこなって、
  何が利用者にとって利便性が高いかの検証をおこなってから、全国的に展開すべきです。
   
  最近「みどりの窓口」が廃止されて異常に混んでいることが問題になっています。
  「みどりの窓口」の数が減ったことが問題なのですが、指定券の発売に関連するデジタル化がスムーズに進んでいないことも
  状況をさらに悪化させています。JR東日本の例でみてみます。
  ある週末に、例えばJR町田駅のような、それなりにみどりの窓口がある駅をいくつか訪ねてみました。
  待ち時間30分とか1時間という異常な込み方でした。なぜ行列をつくっているのか聞いてみたかったのですが、
  聞くとケンカになりそうなのでやめました。
  ただ見に行ったわけではありません。えきねっとのWebサイトで予約した、乗車券と特急券の発券をしたかったのです。
  あきらめたのですが、その後た立ち寄った、町田駅からふた駅目の淵野辺駅には、特急券の発券機が2台あり誰もならんでいません。
  そこで、Webサイトで予約した時受け取ったメールのQRコード(2次元バーコード)を読ませたところ、
  すぐに紙の乗車券と特急券が発券されました。持っていっていたクレジットカードも必要ありませんでした。
  この一連の手続きで何が問題かというと、まず、えきねっとのWebサイトで乗車券と特急券の予約をすることが問題です。
  携帯電話のえきねっとのアプリでは、チケットレスの乗車券と特急券の予約はできますが、
  最終的に紙の乗車券と特急券が発券が必要な乗車券類の予約はできません。
  よくわからないから、とりあえずみどりの窓口に行こうということになります。
  それから、予約した後の、紙の乗車券と特急券が発券は、みどりの窓口に行かなくても、多くの駅にある特急券の発券機
  で出来ることが周知されていません。
  
  それでは、えきねっとのアプリを使った、チケットレスの乗車券と特急券の予約はズムーズかというと、
  一筋縄ではいきません。Suicaのカードで入場・出場できる区間の在来線の特急券を予約しようとすると
  比較的スムーズです。しかし、新幹線の予約をしようとすると、予約した乗車券と特急券を使用するために、
  Suicaのカードとの紐付けを行って、実際の入場・出場はSuicaのカードで行うことになります。
  携帯電話のモバイルスイカのアプリと連携しようとしたのですが、よくわからなくなりました。
  幸いに、東京駅ではなく、地方の駅だったので、電車が出発すると窓口がしばらく暇になります。
  そこで、携帯電話を持っていって質問したところ、親切に教えてもらい、無事紐付けができました。
  しかし、新幹線の乗り換え改札口を通ろうとするとトラブルが発生しました。
  在来線の乗車に使ったのが、紐付けたモバイルスイカでなく、腕時計のウェアラブルスイカだったので、
  入場できませんでした。ふたたび窓口に行って手続きしてもらうと、
  最終的にすべての問題が解決し、無事新幹線に乗車できました。
  
  このように書くと、Suicaによるデジタル化は問題だらけのように思われるかもしれませんが、
  そうではありません。私が、よく出来ていると感じているは、Suicaのカード、モバイルスイカ、ウェアラブルスイカ
  ともに、十分な残高があるのに、改札を通過できなくなるというトラブルには一度も遭遇していない点です。
  特急券の予約などで、トラブルが発生しても、どこかで困っている人がいるのですが、
  改札を通過できなくなるというトラブルが発生すると、ただちに駅に人があふれます。
  カードのタッチなどに問題があって入場や出場の記録がなくて、改札を通過できない時も、
  窓口の人が持っている端末にカードをかざすといろいろな情報が表示されて、問題が解決しました。
  過去の実績から、改札で人があふれるというトラブルだけは起こさないという、利用者目線に立った
  設計と運用が行われているという印象です。
  
  マイナ保険証の話にもどしますが、マイナ保険証の読み取りで問題が発生したという事が、
  SNSなどで話題になっていることを非常に憂慮しています。
  万が一手続きのミスが発生して、医療費の自己負担分の計算が誤っていたとしても、事後的な修正が可能です。
  しかし、患者の受付の停止は、通常の場合でも、災害が発生した際の避難所の受付でも、
  大混乱を引き起こします。
  クリニックでの通常の診察を考えても、NTTのフレッツ光などに依存する通信回線を使って、
  マイナ保険証の読み取り機とマイナポータルを接続する業務処理の信頼性に疑問があります。
  通信回線に異常があった時の処理手順を定めておく必要があります。停電した時の対策も考えておく必要があります。
  マイナンバーカードには健康保険証の資格に関することは何も表示されていないので、
  どうしてもマイナンバーカードのICチップの読み込みが出来ない時の処理手順も定めておく必要があります。
  駅の窓口の人が持っている、端末にカードをかざすといろいろな情報が表示されるデバイスが必要になると
  思いますがそのようなデバイスは見当たりません。
  マイナンバーカードを読み込ませて、顔認証が済むと、情報の提供などに同意しますかという質問が
  毎回表示されます。情報を提供してかまわないと思う人は、マイナポータルで、同意するの設定を
  しておけば、毎回質問が出ないようにできないのでしょうか。
  初診の時は、同意したけれど、病気の内容がわかって途中から、情報を他の医療関係者には提供してほしく
  ないと思って、同意しないことにしたら、初診の時に翻って、今回の病気に関する一連の
  情報提供を抑止することができるのでしょうか。
  診察の料金を少し安くしたかったら、情報の提供に同意する必要があるというのは、非常に悪いやり方です。
  料金とは無関係に、個人情報を提供するか提供しないかを、個人情報の取り扱いの規定を
  理解した上で判断できる仕組みを提供すべきです。
  
  マイナンバーカードで受付をしても、実際の診察の順番を決めたりカルテの用意などは、従来通り、診察券
  で行うとか、情報の提供に同意しても電子カルテの情報に患者がアクセスできるわけではないなど、
  病院全体の業務手続きがデジタル化とはほど遠いという印象です。
  受付でのマイナンバーカードの利用率が、厚生労働省の官僚の、業務評価の基準になっているから、
  強制しようというのは、行政手続きの決定方法を根本的に間違えています。厚生労働省の官僚が
  医者に対しては、業務手続きの変更をお願いできないが、患者には強制できるという現状があるなら、
  行政事務が利用者本位の姿勢で行われるように監視するのは政治家の仕事です。
  政治も行政も、得票にむすびつく利害関係者のために行うのではなく、一般の利用者のために
  行うという原点に立ち返るべきです。
  業務をデジタル化することで、設備投資に必要な予算がいくら必要で、
  病院の業務の合理化で削減できる医療費がいくらなのか、そして利用者にどのようなメリットがあるのかの
  情報を公開して、利用者の判断をあおぐべきです。
    
  やはり強制的なマイナ保険証の推進は、一度立ち止まって、利用者本位の姿勢に立ちかえり、
  従来の健康保険証を継続して、それと並行して、利用者が便利だと感じるサービスを提供することで、
  利用者が希望して、マイナ保険証の利用に移行するという基本に立ち返って考え直す必要があります。
  与党が過半数割れの結果になっても、自民党裏金問題の対応は従来とほとんど変わりません。
  明日から、透明性を最大限確保した、会計報告をするといういような抜本的な改革案はでてきません。
  過去に、自民党をぶっ壊すといって、郵便局をぶっ壊した政治家が居ましたが、
  今回は、本当に自民党がぶっ壊れかけています。マイナ保険証の問題も、利用者本位の姿勢に立ちかえり、
  ゼロから、方針を国会で議論して決めるなど、今までの自民党1強時代とは、
  政治のやり方が変わったと誰もが認識できるような改革が必要です。