各種のコラム --  3ー147 政治資金改革、この先どうなる??

                                      2024年9月15日  

    3ー147 政治資金改革、この先どうなる??	
    
     政治とカネの問題をめぐり、自民党は、改正政治資金規正法で検討事項となった、
  新たに設ける第三者機関などの具体的な制度設計を議論するため、党内に作業チームを設けることを決めました。
  また、「裏金と自民総裁選 うみ出し切る覚悟見えぬ」と題した、9月5日の毎日新聞の社説は、
  失われた国民の信頼を取り戻せるかどうかの正念場だ。にもかかわらず、「政治とカネ」の問題に本気で取り組む覚悟が伝わらない。
  と述べています。
  
  政治資金規正法改正では、パーティー券の購入者を公開する基準額を「5万円を超える」に変更することなどが決まりました。
  しかし、今回の裏金問題で、一部の国会議員や、会計責任者が起訴された容疑は、政治資金収支報告書の不記載です。
  犯罪が起きて再発防止が必要となった時、まず考えるべきことは、なぜ、容疑の事項となった、
  政治資金収支報告書の不記載が起きて、どのようにすれば再発を防ぐことができるかを考えることです。
  パーティー券の購入者を公開する基準額が「20万円を超える」となっていた際に、不記載が発生したのなら、
  そしてその原因が、事務的な手続きの不備なのなら、基準額を「5万円を超える」に変更して、
  政治資金収支報告書に記載する件数が増えたら、事務処理が混乱して、さらに犯罪が増えるだろうと考えるのが普通です。
  いくら寄付を受けても、記載不要にすれば何をやっても犯罪ではないということになりますが、それは
  問題の本質の解決になりません。私が考えたいのはその点です。政治資金の会計処理がアナログで行われていた時は、
  具体的な問題の再発防止の手立てではないが、政治資金規正法を何か改正すると、担当者の
  綱紀粛正が図られ、しばらくは問題が起きなくなるという現象がよく見られます。しかし、デジタルシステムに、
  綱紀粛正は通用しないので、今までと処理手順が変わらなければ、同じ結果になります。
  
  どのようにすれば、問題の再発防止ができるかを具体的に考えなければなりません。
  政治資金管理団体に限らず、民間会社でも、家計でも言えることですが、入金の手段はそれほどないのに対して、
  出金に通じる、費用項目は多数あります。民間会社であれば、入金の手段は売上収益、資金の借り入れ、資本金払込の受け入れ
  などですが、費用項目は、仕入れを始めとして、給与の支払い、水道光熱費の支払い、家賃の支払いなど
  多種多様です。さらに設備などの資産購入のための出金もあります。
  政治資金管理団体も同様です。入金の手段は 政党交付金や政策活動費、寄付金など限られるのに対し、
  出金は、給与の支払い、水道光熱費の支払い、家賃の支払い、旅費交通費、選挙運動のための出費など、多種多様です。
  ということは、正確な 政治資金収支報告書の作成のためには、まず入金の項目を正確に測定しなければなりません。
  つまり、パーティー券の購入者を公開する基準額を「5万円を超える」に変更することは相当有効な手段です。
  政策活動費を廃止するあるいは、内訳を公表するのも有効な手段です。
  しかし、これだけでは不十分です。民間の会計のように、会計帳簿を複式簿記により作成し、貸借対照表と損益計算書を
  作成しなければなりません。収支報告書だけでは不十分です。入金の項目を正確に測定し、会計帳簿を複式簿記により作成して、
  現金預金や、有価証券などの貸借対照表項目の実査を定期的に行えば、費用の項目が多少不正確でも、
  財務諸表はすべての重要な点において適正に表示している、に近いと言えます。不正に選挙資金を調達しようとしても、
  払っていないのに、水道光熱費や、家賃の支払いの伝票を作ってくれる人は少ないです。ただ完全ではありません。
  親戚の人の事務所を借りて、お金を払っていないのに領収書を発行してくれる人はあります。その場合、
  親戚の人の確定申告書を調べて、不動産所得の額を調べることができればかなり防ぐことができます。
  ひとりの政治家に対し、政治資金管理団体が複数あるので、これでも不十分という点はあります。
  しかし、政治団体、政党支部など、すべての組織にこのような会計処理を義務付ければ、
  かなり正常な会計処理に近づきます。長期プロジェクトの売上の計上時期、資産の減損処理、損益取引か資本取引かなど民間会社では、
  不正会計の温床になりそうな項目はあまり存在しません。
  
  正確な政治資金管理を行おうと関係者すべてが自覚することはもっとも重要です。
  政治資金規正法は改正せざるを得ないので改正するが、そのなかでも何とか今まで通り裏金作成ができる方法を
  考えている限り、またいつか不正が起きます。そして、中途半端なデジタル化は危険です。
  デジタルシステムは忖度しないし、関係者だけでなく、外部の犯罪者にもデーターへのアクセスが簡単になります。
  今まで通り裏金作成を続けていると、犯罪者に証拠をつかまれて政治家が脅迫されて、政治判断に影響を与えるような、
  現在の政治資金収支報告書の不記載などよりはるかに多くの国民が危険になるような、犯罪につながるおそれがあります。
  消費税の仕入税額控除とは切り離して、取引伝票として、Peppol仕様のデジタルインボイスを使うことには私は賛成です。
  デジタル化を本気で考えるのなら、政治家が率先して会計処理に利用して、アナログ処理より、合理的だという
  ことを実践するのが効果的です。病院を訪問してマイナ保険証を使ってみたら便利だったというような
  パーフォーマンスは意味がありません。過去の病歴が参照できるといいますが、どのような仕組みになっているのか
  説明がありません。マイナンバーは基本的に変わりませんが、カードの再発行などで変わることがあります。
  過去に所属していた健康管理組合の情報と過去のマイナンバーを通じて現在のマイナンバーがどのように紐付いているのか、
  日付を指定したらマイナポータルで確認できるのかなどを利用者が納得できるように説明する必要があります。
  運転免許証の情報がマイナンバーカードに統一されますが、私はマイナ免許証のみにするつもりはありません。
  マイナンバーカードを紛失した時、どうやって再発行のための身分証明をするのか本当に不安です。結局、
  現在より、450円余計に払って、両方持ち、運転する時は運転免許証を保持し、マイナンバーカードは
  家の引き出しに入れておくつもりです。マイナ保険証に関連して、政治家から、一気に行うほうが、
  費用を節約できるという発言がありました。独占事業で利用者のことを考える必要がない人に典型的に見られる
  発言です。受取手形のデジタル化の場合、2021年に方針が発表されてから、銀行で手形の発行をやめるまで、
  5年程の準備期間が設けられています。手形を使う企業のほうが、健康保険証を使う個人より多額の寄付を
  してくれるので、政治家が自分の事を一番に考えるとこのような処理になるのかもしれません。
  マイナンバーと関連して、キラキラネームの扱いが議論になっています。これも納得できません。
  人間とマイナンバーを1対1に結びつけたのなら、すべての本人確認はマイナンバーで行うべきです。
  もし番号だけでは確認できないなら、それはアルゴリズムの問題です。いままで名前と読みがなで本人確認していた
  というような従来の手続き(プロシジャー)に基づいて、アルゴリズムを変えるべきではありません。
  業務の手続きをデジタル化する時、まず新しいアルゴリズムを考え、新しい、アルゴリズムのもとで
  必要になるプロシジャーを作成する能力が行政のデジタル化には不可欠です。
  
  政治資金管理に限らず、デジタルシステムの利用方法がまずいと思われることがあります。
  
  ひとつは、以前に車の買い替えのための売却の際に、ディーラーだけでなく、ネットの中古車販売業者に
  見積もりを依頼しました。その時は、ネット入力のあと、近所の業者から電話がかかってきて、
  必ず売却すると言わない限り、見積もりはしないといったので、ことわりました。
  ところが、それから10年以上経つのに、その時ネット入力した内容で、メールで、ディーラーより
  高く買い取りますという案内がきます。売却時点で10年以上使っていた車です。いくら私でも、
  20年以上同じ車を使うということはありません。個人情報の管理ができていない販売業者だということがわかります。
  
  ふたつめは、テレビ番組をPCにダビングできるソフトウェアーです。世界でも多くの人が名前を
  知っているだろうという有名なメーカーの製品です。
  以前は、テレビ番組をブルーレイ録画機に録画していました。HDDは300GBで保存したい番組は、
  ブルーレイディスクにダビングしていました。ブルーレイディスクは50GBなので、不便です。
  そこで、PCに6TBのHDDをとりつけ、ブルーレイディスクにかわって、PCにダビングしていました。
  圧縮モードでダビングしていました。そして、現在2TBほど使用したところで、警告メッセージが出るようになりました。
  保存する番組数が、1,500を超えると性能が低下するので、ブルーレイディスクなどにダビングするか、消去してくださいという
  メッセージです。性能が低下するだけなら、がまんするので、使えるまで使って、そこで番組の保存をやめようと思っています。
  20年ほど前に、写真を保存しようとした時にも、同じ問題がありました。デジカメからPCに取り込んで、
  アルバム作成など、きれいに編集するソフトは多くありました。しかし、ほとんどのソフトは、保存できる写真の数に
  制限があり、あまり多くの写真は保存できませんでした。今なら、海外の会社のクラウドにアップロードすれば、
  保存数に制限がなく、AIで写真を選択して、自動でアルバムを作成してくれるサイトがありますが、
  当時はありませんでした。そこで、デジカメからPCに取り込んで、どこのディレクトリーに保存したかを記録する
  PostgreSQLのDBのアプリを自作し、PCで写真を保存することにしました。しだいにアップデートし、
  デジカメからPCに取り込んだ後は、DBにディレクトリー名を入力すれば、写真の画像のEXIFデーターを読み込んで、
  いつどこで写した写真家などの情報を自動的にDBに記録するようにしました。写真は、自分で使うだけなら、
  技術的には自由に複写できます。しかし、テレビ番組はダビング回数に制限があるので、自作のアプリで管理することはできません。
  これは、日本人のITに対する考え方を象徴的に表しています。アルバムなどを、きれいに編集する腕前にはこだわるのですが、
  データーを無限に無期限に保存することには関心をもちません。業務に使うデーターも、保存期間が過ぎたら
  すべて消去するという業務手順で、過去のビッグデーターを解析して業務計画に活かすというアメリカ人が
  得意な考え方で作成されたアプリはわずかです。地デジ放送の変調方式や著作権の規定が国によって
  異なるので、テレビ番組の保存は日本製のソフトウェアーで行うことになります。そして、日本人のITに対する考え方
  が象徴的に表われます。
  
  しかし、これからは、日本人のITに対する考え方も変わっていくかもしれません。
  例えば、自動運転の車を制御するソフトウェアーは、いままでのPCのソフトウェアーのように、
  とりあえず導入して試してみるわけにはいきません。実際の車に導入する前に、システム上で、車がどのように動くかの
  シミュレーションを十分に行い、安全を確認しなければなりません。セキュリティーなどの問題が発生した時、
  個々の車にどのようなソフトウェアーのモジュールが導入され、バージョンがどうなっているかの記録が必要です。
  ソフトウェアーBM(部品表)の考え方が導入される必要があります。PCのソフトウェアーのように、
  何年かしたらサポートが切れますから更新してくださいということになり、一部の人は、サポートが切れても
  使い続けるというのも困ります。
  
  また、最近、日本のメーカーから、格段に精度が高いMEMSの慣性センサーが発表されました。
  どの位精度が高いかと言うと、例えば、ジャイロセンサーであれば、ジャイロコンパスとして使うことができます。
  地球が自転しているので、日本でセンサーを使っているとして、南北方向に向ければ、東西方向に
  コリオリの力が働きます。東西方向に向けると、コリオリの力は上下方向(天地方向)になるので、
  方位の測定が可能です。コリオリの力というのは、北半球では台風が空から見て半時計向きの渦巻になると
  いう時に登場する力です。さらに、コリオリの力の大きさから角速度を測定するRateジャイロに加えて
  フーコーの振り子の原理を使って、角度を直接測定するRate Integratedジャイロも備えています。
  また加速度センサーであれば、1マイクロG以下のバイアス安定性を持っています。どの位微小な加速度を
  測定できるか、感覚的にはつかめませんが、大きな地震が600ガル(0.6G)位なので、
  百万分の一Gの加速度を測定できるというのは、高性能な地震計のレベルです。
  物が振動している時、振幅と周波数がわかれば加速度を計算することができます。
  この原理を応用した、差動共振型加速度センサー(Differential Resonant Accelerator:DRA)
  を採用しているそうです。
  グラフェン(graphene: グラファイトを構成する一枚の1原子の厚さのSP2結合炭素原子の六角形格子構造シート状物質)
  上のポジトロニウムビームの変位による測定の研究とか、あるいは日本の大学では、ダイヤモンド中の炭素原子を
  窒素に置換して作った空孔からなる格子欠陥である「窒素-空孔(NV)センター」のスピン状態を利用して磁場や電界、
  温度を測定するダイヤモンド量子センサーの研究が行われています。素人が炭素を虫眼鏡でみても、素粒子レベルの話は
  何もわかりませんが、いろいろなニュースを見ると、日本の研究のレベルが世界トップレベルにあることは想像できます。
    
  いつ地震が発生するかを、ピンポイントで予測することは不可能なので、地震の際建物の倒壊を防ぐことが重要です。
  建物に高感度のセンサーを取り付けておけば、小さな地震があるごとに、建物がどのように揺れるかのデーターをとる
  ことができます。9月1日のNHKスペシャルで、能登半島地震の際、軟弱地盤によって揺れが何倍にも増幅された可能性が
  指摘されました。阪神・淡路大震災の時の、S波の揺れが、15秒程度だったのに対し、能登半島地震では、60秒位続いたそうです。
  また、高感度地震計で、倒壊したビルの近くの地盤の振動を計測していました。
  能登半島では、最近、中小の地震が相次ぎ、地下水との関連について指摘する専門家がいました。
  過去の事は変えられませんが、今回のことを機に、各地の建物の揺れを高感度地震計並のMEMS慣性センサーで測定できる
  体制をととのえて、振動のRawデーターを記録しておけば、地震計で震度を計算する時のように、スペクトロ・グラムを作成し、
  建物の変位による柱や梁や杭基礎にかかる引張応力や、圧縮によるせん断応力を計算できます。
  阪神・淡路大震災で中層ビルの柱のせん断破壊が多発したことに対する対策として、公共のビルを中心に
  柱を、CFRP製の部材で補強したり、X字型の補強を追加する工事が行われています。
  杭基礎自体を補強するのは大変かもしれませんが、阪神・淡路大震災の際工事中の明石海峡大橋の淡路島側の橋脚は
  ほぼ震源という位置にあり、工事の専門家から、メインケーブルを敷設した後で良かったという声がありました。
  上から荷重がかかる状態でなかったら、橋脚がひっくりかえったという意味ではありませんが、橋脚にどのような
  荷重がかかっているかは、地震の際の揺れに大きく影響します。同じように、ビルの屋上に制振装置をとりつければ、
  ビルの揺れが変わって、杭基礎に加わる応力を大きく改善できるかもしれません。
  地域毎に建物の揺れと建物にかかる応力のビッグデーターを収集して、倒壊による、道路の封鎖などが起きないような
  対策を進めていけば、地震の際の被害を大きく削減できるかもしれません。
  
  業務のデジタル化を進める時、政治資金改革のように本音ではやりたくない事や、利用者があまり期待していないことに
  システム構築のための予算を使うのは、無駄使いになるだけでなく、アナログで業務を行っていた時より
  業務の品質が下がることがあります。地震対策のように、すぐにはできないかもしれないけれど、
  皆が必要な事だと思うことに、システム構築のための予算を使うというのは、業務のデジタル化による
  成果を得るための必須条件です。