各種のコラム -- 3ー143 ふるさと納税の「ポイント付与」が禁止になる?!!
2024年7月10日
3ー143 ふるさと納税の「ポイント付与」が禁止になる?
総務省から6月25日に、ふるさと納税仲介サイトでのポイント付与禁止の方針が発表されました。
ふるさと納税とは、所得税の確定申告における寄付金控除の仕組みを利用した、特定の地方自治体への寄付です。
個人のふるさと納税では、基本的に、 ふるさと納税額(寄付額)から2,000円を控除した額が
総所得金額から所得控除され、それに 所得税の税率を掛けた額が所得税の納付税額から控除されます。
また、同じくふるさと納税額(寄付額)から2,000円を控除した額に10%を掛けた額が
住民税の納付税額から控除されます。その他に、
住民税からの控除の特例分(ふるさと納税額 ー 2,000円)X(100% ー 10%(基本分) ー 所得税の税率)があり、
多くの人が、自己負担額、2,000円で、ふるさと納税額分、税額が控除され、しかも返礼品がもらえて
ポイントが付与されるという感覚で利用しています。
それでは、ふるさと納税を受け取る市町村にとってはどのようなものでしょうか。
ふるさと納税額上位の、北海道紋別市の例で見てみます。令和4年度寄付金額は、194億3,290万円です。
北海道紋別市の統一的な基準による地方公会計の財務書類を見てみます。
行政コストの計上費用の額は、一般会計等 308億円、健康保険などを含む全体会計が 363億円
連結会計が 460億円です。連結資金収支計算書の業務活動収支(イメージ的に民間会社の
連結キャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロ ー)に計上された、
業務収入は、498億円です。内訳は、税収等収入が368億円 国県等補助金収入が60億円
使用料及び手数料収入が16億円 その他の収入が54億円です。
連結附属明細票は公開されていないので、それ以上の明細はわかりません。
194億3,290万円のふるさと納税は、返礼品などの支出額を控除した純額で、その他の収入に含めて
表示されているのかもしれません。
一般会計等の行政コストの額との比較でも、税収等収入の額との比較でも、ふるさと納税額が、
地方自治体の会計で重要な役割をもっていることがわかります。
一方で、総務省の発表による2022年度のふるさと納税の寄付総額が9654億円で国の一般会計の
100 兆円を超える予算規模や地方校税交付金の合計額、およそ17兆円と比較すると少額です。
ふるさと納税には、返礼品として地元産品の売上向上の効果があります。また、ふるさと納税仲介サイト
を利用することで、自治体独自では不可能な、地元産品の宣伝効果があります。
松本総務大臣は記者会見で「ポイントの原資まではコメントできないが、金の流れを見れば寄付額から仲介サイトに入り、
そこからポイントの金も出ていると言ってもいい部分もあるのではないか。
そうしたお金の流れは、やめていただきたいということで禁止させてもらった」と述べました。
”そこからポイントの金も出ていると言ってもいい部分もあるのではないか”という部分は重要です。
詳細を把握しているが、民間サイトの話なので、発表しないということなら問題ありませんが、
ふるさと納税にかかわるお金の流れを完全に把握しているわけではないが、とりあえずポイントの規制から
始めるということであれば、本末転倒です。
まず、地方自治体の会計の現状と、組織継続の前提について考え、住民税、法人住民税、地方消費税、固定資産税
健康保険料、介護保険料、地方交付税交付金等、ふるさと納税の全体像とそれぞれの意義について
総務省の見解を示し、各自治体と協議するのが先です。
地方自治の全体像に関する自身の見解を示す前に、ふるさと納税だけをとりあげて、
特定の自治体や民間業者と喧嘩をするのは、間違えた行政のやり方です。私は言いたいです。
「マイナポイントは、適正なお金の流れだったのか?あれだけポイントを付与しても、マイナ保険証のように
なかなか使われないものがある一方で、返礼品の還元率など、いろいろ規制しても多くの市町村が参加し、
民間企業も、自身がポイントを付与してでも参加する制度は、推進すべきものであって、
規制すべきものではないのではないか?」
ふるさと納税の制度にまったく問題がないというわけではありません。
総所得金額等の40%を上限として、控除の対象となるふるさと納税を行うことができます。
例えば、1億円の不動産所得があった人が、自分は、自然災害に見舞われた地域を支援したいから、
1億円の所得に対する所得税、住民税を払うかわりに、4,000万円を寄付したいというのはOKです。
しかし、以前は認められていたように、1,500万円の商品券の返礼品を目当てに、
ふるさと納税するというのは、本来の趣旨に反しています。返礼品の還元率を一律に3割以下というのではなく、
前年の総所得金額をもとに逆累進の上限率にすれば良いと思います。例えば、前年の総所得金額が1億円なら、
返礼品の金額は最高で、100万円というようにします。
いろいろな市町村にふるさと納税するから、各市町村を連携する必要があります。また、前年の所得を
把握するために居住地の税務課か税務署のシステムとの連携が必要です。まさにガバメントクラウドが
本領を発揮する領域です。中央省庁の人は、入省した省庁にずっととどまるのが基本で、
出向しても、総務省の人が、市町村に出向することはあっても、財務省や経産省に出向することは
ほとんどありません。このような人事の問題が障害になっているのかもしれません。
総務省は、ふるさと納税仲介業者を規制する前に、財務省や内閣府と協議すべきです。
行政で、このようなずさんなお金の管理によるコメントがでてくるのを見ると、
国会議員は政治資金収支報告書の内容を確認したことを示す「確認書」の作成が義務づけられることになりますが、
「パーティー券収入の原資まではコメントできないが、金の流れを見れば適当に処理されているような気がする」
というようなずさんな確認書が作成されるのではないかという疑念があります。
お金の流れを明らかにするというのは、もっともデジタル化の恩恵が受けられる分野ですが、
国会議員や中央省庁ではなかなか実現しません。
また、総務省や厚生労働省のコメントでは、マイナ保険証になると便利になるということになっていますが、
実際に使ってみてのコメントかどうかが疑問です。マイナ保険証では毎回、ケースから出して、
読み取り機に差し込んで、顔認証をした後、毎回、診療・薬剤情報などの診療情報提供の同意を尋ねられます。
同意しないと、治療費が少し高くなるので、同意しますが、毎回同意のボタンを押すのは面倒です。
そして、同意してますが、診療や調剤の際に、提供した情報に基づいて、便宜供与を受けたことは一度もありません。
鉄道の改札でも、顔認証が始まっていますが、こちらは事前に顔を登録しておけば、毎回利用する際には、
カードなどを所持している必要はありません。運送約款に同意しているかなどの確認を受けることもありません。
鉄道の自動販売機では、多機能になっているのは良いのですが、使うのは、昔の自動販売機ほど簡単では
ありません。たまに、入場券を買おうとして、使い方で悩むことがあります。
スーパーでセルフレジが増えています。これも使い勝手がイマイチです。ICカードに事前にチャージしておくタイプで
オートチャージ機能もついているのですが、買い物の支払いをしようとするとチャージ金額が足りないことがあります。
その際、多くのセルフレジは、不足分を現金で払う仕様になっています。一部のセルフレジは、
現金でチャージして支払う機能もついています。しかし、ICカードと一体となっているクレジットカードから
チャージする機能はありません。クレジットカードからチャージしようとすると、お客様センターに設置してある、
別の端末から行う必要があります。
一回のオートチャージの金額を増額すれば、買い物の支払いをしようとするとチャージ金額が足りないという問題は
起きないのですが、お金の支払いが増えるような気がして、設定を変えていません。
家計簿をみると、2015年から2019年までは、毎年2%程食費が増えており、2020年に少し減って、
2022年まではほとんど変化ありません。しかし、2023年に10%近く増加し、2024年も月毎の比較で
さらに10%近く増加しています。会計の勉強を始めた時、前払費用などの経過勘定項目を理解するために、
家計簿をつけ始めたので、食費の内訳、何を食べたかは記録していませんが、最近の食料品の
値上がりは、総務省統計局が発表する、消費者物価指数の上昇率を上回るような気がします。
行政のデジタル化が課題となり、いろいろな手続きがデジタル化されていますが、統計データーは
昔のままです。データーの比較可能性のために、昔のデーターの収集方法を継続することにも価値はありますが、
POS端末のデーターをリアルタイムに収集して分析するなど、新しいデーターの収集を積極的に行い、
生活の実感に一致する経済指標を追加していくべきです。気象庁が発表する天気予報は、基本的に昔からの
やり方を踏襲しており、午後4時頃夕立があり、雨のち曇り時々晴れ、などという天気予報はありませんが、
民間の気象会社が、詳細な予報や、生活に関連するいろいろな指数を発表しています。
総務省統計局も一定の条件を満たす民間会社に統計データーを提供し、自由に各種の分析を行うほうが
生活の実感に即した統計データーがでてきます。あるいは、データーを他の企業の営業活動のために提供
することは禁止するような条件をつけた上で、民間会社がポイントを付与して、
一般の人から生活上の統計データーを収集することを容認するほうが、多くの人に資するデーター
が得られるかもしれません。
コンビニのレジが、コロナ感染症の頃に非接触が推奨されたこともあり、新しくなりました。
しかし、以前の、店員さんに、交通系ICカードで払いますとか告げて設定してもらうほうが楽です。
コンビニのATMも証明書の発行など、多機能になっていますが、私はほとんど出金にしか使いません。
最近テレビニュースを見ていたら、若い人は、ひとつのSNSサイトに3つか4つのIDを持っていて
使いわけるのが普通だそうです。モバイルSuicaとえきねっとが別のアプリになっているだけで、
混乱する私にとっては別世界の話です。高齢者の人はITに弱いといわれるたびに、若い人は皆
線形代数学やテンソルが理解できるのかと疑問を持っていましたが、やはりIT機器を使うのは
若い人のほうが得意なのかもしれません。
しかし、それにしても、多機能端末が必ずしも使い易いとはかぎらないと思います。
いっぽう無人店舗は意外と快適です。レジに来た時点で、かごにどれだけの商品がはいっているかは
把握されているので、会計は一瞬です。さらに万引きの心配もないのなら、さらに広まりそうな
予感です。
コンビニATMは例えばセブン銀行であれば、ゆうちょ銀行についで全国2位の設置台数です。
今では当たり前になっているPOS端末も日本のセブンイレブンから始まりました。
セブン銀行は、社長が釧路高専の出身というのも金融業界では異色です。
生活のなかで使い勝手の良いITサービスは、マイナ保険証などではなく、
民間企業が主導して広めていく時代になる方が便利な世の中になりそうな予感がします。
<追伸>
ドクターイエローが引退します。
6月13日にJR西日本から、
「2027 年以降を目途に「ドクターイエロー」による検測を終了する予定です。
以後の設備検測については、JR東海が保有する営業用車両に搭載された検測機器により
検測を行う方向で検討中です。」という発表がありました。
山陽新幹線の「こだま検測」も、JR東海の16両編成の車両により行われるそうです。
山陽新幹線に16両編成の「こだま」が登場するのでしょうか?それとも回送で走るのでしょうか?