列車ダイヤについて -- 3-1 フリーゲージトレインは完成するの? 九州新幹線・西九州ルートの話です 

                                                                                2016年3月26日

 軌間可変電車(フリーゲージトレイン、 Gauge Changeable Train または Gauge Convertible Train (GCT))を
九州新幹線・西九州ルート(長崎新幹線)で使うといわれています。しかし、2022年度時点では、開発が間ね合わないので
在来線から、新幹線に同じホームで乗り換えるリレー方式になるともいわれています。

 鉄道事業に関わる会計のルールとしては、金融商品取引法、会社法、会社計算規則、企業会計基準 などの他に
鉄道事業法に基づく鉄道事業会計規則が適用されます。そのため例えば、ICカード乗車券に現金チャージされ、その金額が
他社線で利用され他社の旅客運輸収入になった場合、現金チャージされた会社側の預かり金を「預り連絡運賃」という勘定科目で仕訳するなど
固有の点があります。それらをすべて熟知しているわけではありません。ここで述べているのは、私の整備新幹線にたいする考え方です。

 一般に建物・設備を建築している段階では、建設仮勘定として有形固定資産に計上され、事業の用に供するまでは減価償却できません。
建設中は営業収入がなく建設費や借入金があるとしたら支払い利息を払うだけで、減価償却費を費用として計上できないためタックス・シールドの効果も得られません。
一部でも設備が完成したらなるべく早く事業の用に供することは事業経営の面からは好ましいことです。
リレー方式で暫定開業するのは鉄道事業経営から考えてある程度当然かもしれません。
 
 しかし、最終的にフリーゲージトレインを使うのが最適な方法かどうか疑問があります。

新鳥栖と武雄温泉間の距離は、45.0km 武雄温泉と長崎間は新幹線で、66.0km です。
博多・新鳥栖間は新幹線、新鳥栖・武雄温泉間は在来線、武雄温泉・長崎間は新幹線というのを
距離だけのイメージであてはめると、名古屋から京都に行くのに、名古屋・岐阜羽島間は新幹線、岐阜羽島・米原間は在来線、米原・京都間は
また新幹線で行くことになります。
 長崎県や佐賀県の事情は知りません。しかし素人考えとして、新鳥栖・長崎間をフル規格の新幹線(全国新幹線鉄道整備法で定める新幹線鉄道)
で建設するか、まったく建設しないかの2択だったと思います。
新鳥栖・長崎間がフル規格の新幹線なら、新大阪発長崎行きの列車の設定もできるでしょうから、利用価値が相当高くなるでしょう。

 フリーゲージトレインについては、もし新幹線で300km/hで安定して走行できるなら利用価値が相当高くなるでしょう。
台車などで試験をしていた時点で、新幹線で300km/hで安定走行の見通しがたったのなら開発継続、そうでないなら打ちきるべきだったと思います。
整備新幹線のために、260km/hで営業運転をめざすという目標設定が中途半端だったのではないでしょうか。基礎技術ではすぐれているのに、
製品化の目標を誤ったために魅力ある製品にならなかったり、外国の企業が先に製品化してしまうことがあります。
 JR東日本でも、連接台車など試験走行・営業運転も行ったが量産しなかった例があります。思い切って打ち切らないとフリーゲージトレイン
がコンコルドになるあるいは止まらない公共工事になるおそれがあります。

 技術的に可能かどうか知りませんが、もし新幹線で300km/hで安定して走行できるならフリーゲージトレインを導入すれば利用価値が高いと考える線区が
いくつかあります。例えば新大阪・高松間です。
現在は、新大阪・岡山間が山陽新幹線で、45分 岡山で乗り換えて、岡山から高松まで1時間弱です。新大阪から高松まで
乗り継ぎが良くておよそ2時間です。瀬戸大橋線(宇野線・本四備讃線)の一部はもともとの設計では新幹線を走らせる予定でした。線路形状は良いし、踏切もないので、
騒音問題がなければ、現在の130km/hよりさらに高速運転できる可能性があります。新大阪から高松まで乗り換えなしで、
1時間20分程度で行けるようになるかもしれません。大阪・高松間の高速バス(神戸淡路鳴門自動車道経由)がダイヤ上2時間30分位なので
乗り換えなしで、1時間20分程度で行ける価値は高いでしょう。

 北陸新幹線は2015年3月に長野・金沢間が開業し、将来の伸延が話題になっています。
JR西日本が検討している「小浜・京都ルート」を整備新幹線としてではなくJR西日本の路線として建設すればおもしろいと思います。
京都と大阪の間にさらに新規の鉄道を建設するのは、全国新幹線鉄道整備法の趣旨に反するかもしれません。
しかし、移動手段という観点で見れば、鉄道以外に自動車や飛行機、船舶があります。鉄道路線を新たに建設するのは鉄道輸送の
強みがもっとも発揮される区間にたいして行うのが事業経営の基本です。
 もちろん新規の鉄道の建設は期間の長い投資になります。民間の営利企業としては整備新幹線計画がある限り、自社で取り組む
ことはありえません。しかし事業の用に供するまでの期間が長い設備投資の建設費用に対して、税務上積立金繰入費用の損金計上が可能な
積立金の積立が可能になるとしたらどうでしょうか。特定都市鉄道整備促進特別措置法と同じ考え方です。新たな機械設備を導入した事業者に
特別償却が認められることがあるので、新規の鉄道の建設にたいし積立金を認めることが租税の公平性の観点で問題になるとは思えません。
 もし「小浜・京都ルート」がJR西日本の路線として建設されるなら、湖西線などの平行在来線問題は発生しません。民間の営利企業が新規事業を
おこなうために公共性のある路線を放棄するのは認められません。当然新規路線を建設することが企業全体の営利活動として妥当であることを検討したうえで
建設に着手すべきです。10年先のことか30年先のことかわかりませんが、「小浜・京都ルート」がJR西日本の路線として建設されるなら
JR西日本は博多と金沢(糸魚川・上越妙高)の間の自社の線路を保有して、自社の乗務員が自社の車両を走らせる鉄道事業者になります。
JR東海のリニモが営業運転を始めているでしょうから、東京まで列車を直通運転する必要はなくなります。
JR東日本、JR東海やJR九州の列車が必要に応じてJR西日本の区間に乗り入れることはあってもそれほど多くありません。
JR西日本の博多総合車両所と白山総合車両所があるのも自社路線の両端に車基地があるという理想の形になるかもしれません。