列車ダイヤについて -- 3-8 5Gと鉄道
2019年3月16日
3-8 5Gと鉄道
5G(第5世代移動通信システム)は、近いうちに携帯電話で使用が予定されている、通信システムです。
その特徴として、大容量高速通信ができる、超大量接続、超低遅延 などがあげられます。
今回のコラムでは、5Gの技術が鉄道にどのように応用されるかについて、あくまで筆者の感覚による
可能性のいくつかということでまとめてみたいと思います。
列車のWi-Fiが速くなるでしょう。
通常の、Wi-Fiのアクセスポイントは、光回線でインターネットに繋がっていますが、
列車は移動しているので、一般的に4Gの携帯電話の回線で、インターネットに繋がっています。Wi-Fiを利用している
ユーザーからみれば、tetheringで利用しているような感じです。
通信速度最大1Gbps程度の回線を大勢で利用しているので、それほど速くありません。
これが、5Gになって最大100Gbps程度まで速くなれば、各利用者のWi-Fiもそれに応じて速くなります。
それから、超大量接続、超低遅延というのは、IoTの技術で多数のセンサーを接続することが可能になり、
データーを送り始めるまでの遅延が少なくなるということです。
地上デジタル放送や、あるいは4Kや8Kの画像も伝送できるBSデジタル放送は、大容量高速通信は可能ですが、
実際にスポーツを観戦しながら、放送を見ていると、実際より何秒か遅れていることがわかります。これが遅延です。
もし、列車の信号の情報を送るのに使用しようとすると、何秒かの遅れは致命的です。
非常に高い信頼性が要求されますから、いきなり5Gが列車の信号に使われることはないでしょうが、補助的な
情報を送る手段になる可能性はあります。
測位システムに使われる可能性があります。
JAXAのみちびきが使用可能になりました。しかしみちびきを使うだけですぐにセンチメートルレベルの測位が
可能になるわけではありません。RTK法(Realtime Kinematic) と呼ばれる、固定点の補正データを移動局に送信して、
リアルタイムで位置を測定する方法などで補助する必要があります。それ以外にもGNSSの受信機のみを工夫して、
センチメートルレベルの測位を可能にするアプローチもあります。
鉄道の場合、決まったルートしか走らないので、測位が必要な場所やルートは固定です。補正データを移動局に送信する
固定点として、5Gの中継局が利用されるかもしれません。5Gでは通話に使うための電波の位相をそろえるために、GNSSの
時計を使う可能性があります。RTK法の固定点としても利用できる可能性があります。
JR東日本の埼京線で使用されている、ATACS(アタックス)では、車上装置の列車位置情報は衛星測位システムから得ている
わけではありませんが、センチメートルレベルの測位が可能になれば、GNSS測位も補助的な情報として利用されるように
なるかもしれません。GNSS測位システムの利点として、営業列車のみでなく、保守作業車や、保守作業者(保守作業にあたる人)
にも容易に装着できます。
最後に、5Gではありませんが、列車にかかわる信号伝達システムとして、
INTEROS(INtegrated Train communication networks for Evolvable Railway Operation System、インテロス)を取り上げます。
山手線で営業をはじめた、E235系電車に搭載されています。
基幹伝送路が、イーサネットになったことが大きな特徴です。イーサネットはLANに用いられている汎用的な通信手段です。
車でも列車でも、信号伝達のために、ワイヤーハーネスが使われており、16両編成の新幹線に使われているケーブルをすべて
一本一本にほどくと総延長は東京〜名古屋間位になるそうです。イーサーネットは一本の伝送路で各機器へのパケットを送る
ことができるので、ケーブルの量がへり、車両が軽量化できます。
列車内の、イーサネットLANが強化されれば、5Gによる外部のインターネットの通信のみならず、
列車内の通信も高速化できます。
車内販売のワゴンの現在地や、メニューを表示したり、予約出来るようになるかもしれません。
列車には監視カメラがついていますが、この画像をAIでリアルタイムに解析して、問題を起こしそうな人の付近に
警備員や乗務員が移動できるようになるかもしれません。
駅の改札を通ったあとは、キヨスクでしか買い物ができなかった時代とくらべて、
駅ナカはずいぶん様変わりしました。それとくらべると、車内はそこまで変わっていないように思います。
現在は、グリーン車でしか提供されていない車内雑誌を、普通車でもタブレットで読むことができるようにするとか、
一回乗車するごとに記事を3つまでダウンロードして後からでも読めるようにするなどすれば、
列車内にCMを流している会社がすぐにスポンサーになるような気がします。
5Gと車内LANが車内サービス改善の切り札になるのではないかと思います。