列車ダイヤについて -- 2ー43 山陽新幹線の「こだま」は、なぜ遅いの?
2022年3月20日
2ー43 山陽新幹線の「こだま」は、なぜ遅いの?
今回のコラムは、列車ダイヤに関連する話題です。
東海道新幹線の「こだま」と比べて、山陽新幹線の「こだま」は遅いのはなぜか、考えてみます。
最高速度は、285km/hでどちらも同じですが、東京〜新大阪間の「こだま」と新大阪〜博多間の代表的な「こだま」の
表定速度を比べてみると、東京〜新大阪間の「こだま727号」が、132.30km/h
新大阪〜博多間の「こだま849号」が、119.18km/hというように、新大阪〜博多間の「こだま」のほうが遅いです。
まず、歴史的に見てみます。
山陽新幹線の、新大阪〜博多間が開業した、1975年のダイヤでは、
東京〜博多間の「ひかり」が、6時間56分
東京〜新大阪間の「こだま」が、3時間56分
新大阪〜博多間の「こだま」が、4時間40分でした。
2016年のダイヤでは、新大阪、11時32分発の「こだま741号」の博多到着は、16時7分でしたが、
2017年のダイヤでは、新大阪、11時29分発の「こだま741号」の博多到着は、15時39分に速くなりました。
しかし、
2020年のダイヤでは、新大阪、11時32分発の「こだま851号」の博多到着は、16時11分になり、元にもどりました。
現在の、2022年のダイヤでは、
東京〜博多間の「のぞみ」が、4時間57分
東京〜新大阪間の「こだま」が、3時間54分
新大阪〜博多間の「こだま」が、4時間39分です。
「のぞみ」が相当速くなっているのに対し、「こだま」は基本的に到達時間を維持しています。
50年間のうちに、駅の数が増え、「こだま」退避する列車の数も増えていますが、
基本的に到達時間を維持しています。
「のぞみ」などの最高速度は山陽新幹線のほうが速いのですが、表定速度では、山陽新幹線の「こだま」は、最初から遅いです。
ここからは、 現在の2022年のダイヤで、東海道新幹線の「こだま」と、山陽新幹線の「こだま」を比べてみます。
(秒の部分は公表されている値ではなく、推測です。)
東京〜新大阪間の「こだま727号」
新大阪〜博多間の「こだま849号」
さらに、参考として、新大阪〜博多間が今より速かった、2018年の「こだま741号」のデーターも示します。
新大阪〜博多間の「こだま741号」
2018年の「こだま741号」の、新大阪〜博多間の表定速度は、133.29km/hです。
タイトルを訂正する必要があります。山陽新幹線の「こだま」は、遅いような気がすることが多いが、
速い時もあるということになります。
ということで、
東海道新幹線の「こだま727号」と比べて、山陽新幹線の「こだま849号」が遅くなるはっきりした理由があるわけではありません。
以前は、山陽新幹線の「こだま」は、時間調整のため、岡山で30分位停まったりすることがありましたが、
「こだま849号」はそのようなことはありません。
遅くなりそうな理由として、次のようなことがあります。
停車している時間の割合が高い。
「こだま727号」の停車時間の合計は、56分で、東京〜新大阪、3時間54分の、23.96%です。
「こだま849号」の停車時間の合計は、1時間23分30秒で、新大阪〜博多、4時間39分の、27.80%です。
平均時速が遅い。
「こだま727号」の走っている時間の合計は、2時間57分45秒で、東京〜新大阪間、515.4kmなので、
平均時速、173.97km/hです。
「こだま849号」の走っている時間の合計は、3時間21分15秒で、新大阪〜博多間、553.7kmなので、
平均時速、165.08km/hです。
ちなみに、2018年の「こだま741号」の場合は、停車時間の合計は、54分で、新大阪〜博多、4時間9分の、22.17%です。
また、走っている時間の合計は、3時間14分で、新大阪〜博多間、553.7kmなので、
平均時速、171.25km/hです。
駅間の平均距離は、東京〜新大阪間が、32.21km 新大阪〜博多間が、30.76kmなので、
山陽新幹線のほうが少し短いです。
山陽新幹線の「こだま」が遅くなるはっきりした理由はわかりませんが、三原、東広島、徳山のように
9分程停まっている駅があって、停車時間の合計が長くなります。
東海道新幹線では、長くても5〜6分位です。
東海道新幹線では、列車がすべてN700系なので、加速度が高いので、各駅停車で走る時、
平均時速が速くなるのかもしれません。
両者の典型的な、「のぞみ」などの列車の退避の様子をダイヤで示します。
「こだま727号」のダイヤ
「こだま849号」のダイヤ
東海道新幹線では、「こだま727号」を三島でも新富士でも2本の「のぞみ」が追い越します。
2本の「のぞみ」の間隔は、およそ3分です。また、「のぞみ361号」と「のぞみ363号」の間隔が
およそ6分です。
東海道新幹線では、「こだま849号」を三原で「のぞみ85号」が追い越し、
東広島で「のぞみ23号」と「のぞみ141号」が追い越すのですが、どちらも9分停まります。
また、「のぞみ85号」と「のぞみ23号」の間隔は15分です。
「こだま849号」はハローキティーの500系の車両です。山陽新幹線は色々な車両が使われていて、
見るのは楽しいのですが、何年かするといずれ、「みずほ」「さくら」などに、N700Sの車両が導入され、
「こだま」も、N700系になるでしょう。
その時、走っている時間の部分の平均速度が速くなるかもしれません。さらに「みずほ」「さくら」などと、
「こだま」の最高速度も同じになるので、追い越しのパターンも変わるかもしれません。
あるいはひょっとすると、山陽新幹線の「こだま」が、N700系になっても、現在とあまり状況が変わらないかもしれません。
東海道新幹線は、連続する2本の「のぞみ」の間隔は、およそ3分で、次の連続する2本の「のぞみ」との間隔が6分のパターンが
基本です。「ひかり」も走っているし、「のぞみ」が3本続く箇所もありますが、日中は、同じパターンのダイヤです。
それに対して山陽新幹線は、「みずほ」の時間帯と「さくら」の時間帯があるなど、ダイヤのパターンが変わります。
将来にわたって継続的にダイヤを見ていくと、山陽新幹線の「こだま」が遅いような気がするのかのはなぜか、
もっと明らかになるかもしれません。
今回、山陽新幹線の「こだま」の表定速度に注目したのは、これからどのように変化していくかに注目しているからとも言えます。
2018年には速かった「こだま」が、2020年には元にもどって遅くなったのは、
山陽新幹線に乗りい入れる臨時列車を含めた「のぞみ」の本数が1時間あたり5本から6本になったことと関係して、
駅で退避のために停まっている時間がながくなったことと関係しています。
そして今コロナ感染症の影響で、一部の臨時列車の運行本数が減少しています。
ゴールデンウィークなど、年に数回運転される臨時列車のために、毎日運転する「こだま」が、駅に停まっているのは
改善の必要があるかもしれません。
その課題が、車両の性能が統一されることで解決されるのか、コロナ後にあわせた減量ダイヤで解決されるか、
あるいは、毎日運転する「こだま」を優先して速くし、年に数回運転される臨時列車は他の定期列車より遅くするという
解決方法も考えられます。そして、IC乗車券の普及もあって、運賃の決め方が弾力化していくのとあわせて、
年に数回運転される臨時列車は他の定期列車より遅いかわりに安くするという方法も考えられます。
将来にわたって継続的にダイヤと運賃決定の仕組みを見ていくと、いろいろなことがわかってくるかもしれません。
話は変わりますが、山形新幹線の「つばさ」は、「やまびこ」と並結運転が基本ですが、
2022年のダイヤ改正で「つばさ」単独運転になる列車が増えます。
「つばさ」「やまびこ」の並結運転の場合、上りの「やまびこ」は福島駅で下り本線を2回横切ることになるので、
東北新幹線のダイヤに余裕が生まれたら、「つばさ」単独運転にするのは、理にかなっています。
福島駅に、山形新幹線の上りのアプローチ線ができるまで、「つばさ」単独運転が続くかも知れません。
そして、アプローチ線が完成した後は、「こまち」が単独運転になるかもしれません。
試験車両のアルファーXは、鼻がとがっています。「こまち」「はやぶさ」の並結運転の場合、定員が減ります。
また、高速走行の場合、「こまち」「はやぶさ」の並結運転の部分は、騒音の発生源になります。
さらに、「こまち」が盛岡側、「はやぶさ」が東京側に連結されているため、
盛岡駅での切り離しのため、「はやぶさ」の停車時間が、1〜2分増えます。
将来は、「こまち」と「はやぶさ」が単独運転になるかもしれません。
このように、 将来にわたって継続的にダイヤを見ていくと、いろいろなことがわかってくるかもしれません。